MTG │ 大会レポート │ 高橋優太【なぜ人は誤ったデッキ選択をしてしまうのか】

先週は「日本選手権2022 -Tabletop Returns-」に参加しました。

先に結果だけ述べると、3勝4敗で初日落ち。今回は1人で練習したのですが、デッキ選択やカード選択で失敗したと感じています。

その後「なぜ人は誤ったデッキ選択をしてしまうのか」というツイートをした所、多くの反響を頂きました。

今回は失敗から学ぶ記事です。

日本選手権カバレージページ
トップ8デッキリスト

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■デッキ選択:イゼットドラゴン

イゼットドラゴン
デッキリスト
1:《反逆のるつぼ、霜剣山/Sokenzan, Crucible of Defiance
2:《バグベアの居住地/Den of the Bugbear
5:《島/Island
3:《山/Mountain
4:《嵐削りの海岸/Stormcarved Coast
4:《河川滑りの小道/Riverglide Pathway
1:《天上都市、大田原/Otawara, Soaring City
20 Lands


1:《船砕きの怪物/Hullbreaker Horror
1:《溺神の信奉者、リーア/Lier, Disciple of the Drowned
4:《黄金架のドラゴン/Goldspan Dragon
6 creatures

1:《プリズマリの命令/Prismari Command
4:《表現の反復/Expressive Iteration
4:《棘平原の危険/Spikefield Hazard
4:《ジュワー島の撹乱/Jwari Disruption
4:《鏡割りの寓話/Fable of the Mirror-Breaker
4:《大勝ち/Big Score
2:《否認/Negate
1:《記憶の氾濫/Memory Deluge
1:《白熱する議論/Heated Debate
2:《ドラゴンの火/Dragon’s Fire
2:《炎恵みの稲妻/Flame-Blessed Bolt
1:《削剥/Abrade
2:《かき消し/Make Disappear
2:《消えゆく希望/Fading Hope
34 other spells


2:《勢団の銀行破り/Reckoner Bankbuster
3:《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke
2:《心悪しき隠遁者/Malevolent Hermit
1:《プリズマリの命令/Prismari Command
1:《削剥/Abrade
2:《燃えがら地獄/Cinderclasm
2:《白熱する議論/Heated Debate
1:《記憶の氾濫/Memory Deluge
1:《溺神の信奉者、リーア/Lier, Disciple of the Drowned
15 sideboard cards

鏡割りの寓話》は、現在のスタンダードで最高の3マナ域と言えます。

ゴブリン・シャーマンの宝物トークンによる序盤のマナ加速、2章で手札の入れ替え、《キキジキの鏡像は除去しなければアドバンテージを生み続けます。序盤から後半まで無駄になりにくいカードです!

そして生み出された宝物トークンは《黄金架のドラゴンともシナジーを形成し、中盤の複数アクションを手助けしてくれます。《鏡割りの寓話によって相手の除去を引き出せるので、それによって《黄金架のドラゴン》が生き残りやすいというメリットもあります。

そして《表現の反復》がこれらのパーツ集めて、あるいはフィニッシャーに繋げていきます。

鏡割りの寓話》《黄金架のドラゴン》《表現の反復》、この3枚を使ったデッキが良いと考えて、イゼットドラゴンを使用しました。

今のスタンダードは《婚礼の発表》《鏡割りの寓話》《エシカの戦車》《放浪皇》といった、単純なクリーチャー除去では対処しにくい3-4マナ域が多く活躍しています。

それらに対して最も有効なのは打ち消し呪文だと考えたので、打ち消し呪文はメインに8枚。上に挙げた4種類が特に強いので、否認》はメインに入る環境だと考えています。

黄金架のドラゴン》から2マナの打ち消し呪文を構えるのが、最も簡単な勝ちパターンです。

消えゆく希望》は特に赤いデッキに対して強く、《鏡割りの寓話》のゴブリン・シャーマンに対して除去として機能します。逆にトークンが少なかったり、バウンスしてもすぐ出し直されて根本的な解決にならない相手に対しては弱いので、エスパーに対してはリーアと一緒にサイドアウトしていました。

溺神の信奉者、リーア》は《消えゆく希望とセット運用するカードで、主にアグロデッキに対して強いです。1マナで《消えゆく希望》で守れる状態で出して、墓地の除去を再利用するのが、アグロデッキに対しての勝ちパターンです。

船砕きの怪物は打ち消し呪文を構えあう青対決で特に強いカードで、これはサイドに追加で採用するべきでした。

■大会結果

×緑単アグロ
〇バントトークン
〇グリクシス吸血鬼
×ジャンドミッドレンジ
×ジャンドミッドレンジ
×オルゾフ天使
〇グルール狼男

3勝4敗で初日落ち。

日本選手権のトップ8には異なるイゼットドラゴンが2つ残っていました。

「打ち消し呪文を使う」「《鏡割りの寓話》《黄金架のドラゴン》《表現の反復》を使う」という考え方は途中までは合っていたのですが、出た宝物トークンを上手く使う先がなくマナフラッドに陥るゲームが多く、デッキ構築の時点で失敗していました。

それと比較して、今回準優勝されたイゼットコントロールのリストは《セレスタス》でマナフラッドを回避しつつ、《記憶の氾濫》《船砕きの怪物》といった後半強いカードが多めに採用されており、これこそ求めていた方向性でした!

僕は《セレスタス》をデッキに入れたがらない傾向があるので、次回以降は好みではなくデッキ全体のバランスで判断できるようにしたいです。

■なぜ誤った選択をしてしまうのか

1.成功バイアス

頻繁に起こることなのですが、1回のゲームでカード1枚が効果的に作用して勝利・敗北すると、そのカードが強く印象に残りやすい

今回のデッキで言うと、例えば《呪文貫き》《ジュワー島の撹乱といったマナ払え系の打ち消し呪文は、相手の呪文を打ち消して勝因になったことを高く評価してしまいがち。相手の4マナ域と《ジュワー島の撹乱》を交換したときは、どうしてもバイアスがかかってしまいます!

しかし実際には、勝因になった回数と同じくらい敗因にもなり得るのです。《ジュワー島の撹乱は土地として見た時はタップインで遅れますし、マナ払え系の打ち消し呪文が多く入っていると、後半のトップデッキ合戦になったときに自分のデッキの中身がスカスカになってしまいます。

今回は軽い打ち消し呪文に寄せた影響で、後半のトップデッキ合戦で負けることがかなり多かったです。

これはマナ払え系の打ち消し呪文に限った話ではありません。たとえば《家の焼き払いで1対5交換した時や《浄化の野火連打で相手が事故った時も成功体験を得てしまいます。

しかしその《家の焼き払い》は、その前に1マナと2マナの除去を使う方がライフを安全に保てていませんでしたか?《浄化の野火は相手に基本地形が2枚入っていたら機能しますか?

教訓:全てのカードには強い場面も弱い場面も存在して、絶対的に強いカードはほとんど無い。メリットとデメリット、どちらか一方だけの側面を見るのではなく、両方をしっかり考えてデッキを構築すべき!

2.効率的な練習の不足

前回のニューカペナチャンピオンシップが終わってから期間が短かったこともあり、練習は主にMTGアリーナのランクマッチで行っていました。

MTGアリーナ上ではジャンドミッドレンジと対戦する機会が増えており、今回のイゼットドラゴンではよく勝てていて、《消えゆく希望》《溺神の信奉者、リーア》を揃えて勝ち!というのが頻発しており、体感としては有利マッチ。

しかし実際の日本選手権ではジャンド相手に0-2で敗北。ランクマッチは気持ちよく《ジュワー島の撹乱》《かき消しが刺さって勝っていましたが、本戦では《強迫で手札を見られてマナ払え系打ち消し呪文をケアされながら、《真っ白》で墓地を無くされて《溺神の信奉者、リーアが機能不全に。

今言った2枚は特別でも何でもなく、サイド後に打たれるであろうことを想像できるカードです!

これは1の成功バイアスにも通じる話なのですが、3-4回の勝利で有利だと決めつけてそれ以上探求しなくなっていました。

目的を持たずランクマッチを続けることは、時として成功バイアスとして自分のフラットな視点を失う原因になります。ある程度実力が付くと、弱いデッキを使っても不利マッチで勝ってしまうこともあるので、ランダムな対戦に対して過信は禁物!

しっかりしたデータを出したいのなら、自分と同じかそれ以上のプレイヤーと、目的を定めて練習する必要があります。お互いに話しながら出来る環境ならなお良いです。

教訓:目的を持たずにデッキを回すと、考え方がブレる原因になる。特に大会の前は、自分が出したいデータに対して、実力の近い相手と意見交換しながらの練習を行う方が効率的!

■おわりに

自戒を込めて、今回の教訓をおさらい。

1.全てのカードには強い場面も弱い場面も存在して、絶対的に強いカードはほとんど無い。メリットとデメリット、どちらか一方だけの側面を見るのではなく、両方をしっかり考えてデッキを構築すべき!

2.目的を持たずにデッキを回すと、考え方がブレる原因になる。特に大会の前は、自分が出したいデータに対して、実力の近い相手と意見交換しながらの練習を行う方が効率的!

 

そして次回は『統率者レジェンズ:バルダーズ・ゲートの戦い』の新カード記事を予定しています。

それではまた。


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