MTG │ デッキ解説 │ 高橋優太【スタンダードTierランキング】
毎週最強のデッキが入れ替わる群雄割拠のスタンダード環境。
今回は、先週行われた参加者286名の大会、『ストリクスヘイブン』チャンピオンシップ予選の結果を元に、スタンダードのメタゲームをまとめて行きます。
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■これまでのスタンダード
毎週各デッキの勝率を出してくれるMTG Dataさんのツイートを元に、3/8から3/14の勝率を分析すると、先週まではアドベンチャーに強いデッキだったサイクリングが低迷、赤単や白単のアグロデッキが復権、ティムールとスゥルタイは現状維持しています。
-MTG DATA より引用-
墓地対策やトランプル付与などで、先週はサイクリングがメタられた週だったように感じます。
■白単アグロ
『ストリクスヘイブン』チャンピオンシップ予選:優勝 Joaquin Effertz 【インポートデータ】 | |
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デッキリスト | |
20《冠雪の平地/Snow-Covered Plains》 4《不詳の安息地/Faceless Haven》 24 lands 4《命の恵みのアルセイド/Alseid of Life’s Bounty》 |
4《スカイクレイブの大鎚/Maul of the Skyclaves》 1《影槍/Shadowspear》 5 other spells 1《巨人落とし/Giant Killer》 |
チャンピオンシップ予選を優勝したのは白単アグロ。
白単アグロの利点は赤緑アドベンチャー系統の《恋煩いの野獣》に対する耐性です。《恋煩いの野獣》を苦にしない、というのはスタン環境の基準でもあります。
《巨人落とし》《スカイクレイブの亡霊》で相手の3マナ域を除去しやすいので、簡単には《グレートヘンジ》を着地させませんし、地上ブロッカーは《スカイクレイブの大鎚》で飛び越えて行きます。
《スカイクレイブの亡霊》はとても便利なカードですが、《型破りな協力》《アイレンクラッグの紅蓮術師》を除去出来るこため、特に対サイクリング戦で優秀です。
サイクリングは1/1トークンでチャンプブロックを繰り返すので、それを乗り越えるためにトランプルを持つカード選択をしていますね。前週にサイクリングが多かった影響です。
《影槍》は絆魂で《天頂の閃光》圏外に逃げる、《石とぐろの海蛇》は後半のマナフラッドの受けにもなります。
スゥルタイ根本原理を意識するなら是非採用したいのが《傑士の神、レーデイン》。マナコストを増やす能力で《影の評決》《出現の根本原理》のターンをずらして、得たターンで大きくダメージを稼ぎます。
赤単に対してはまた裏面の《守護者の盾、ヴァルクミラ》としても出す事もあります、しかし軽減能力は《砕骨の巨人》で無効化される点にも注意。
サイクリングの生み出すトークンたちも無効化できるので、《守護者の盾、ヴァルクミラ》は案外便利。
■スゥルタイ根本原理
スゥルタイ根本原理は80枚デッキなため、除去・打ち消し・必殺技と揃っていて何でも出来るのですが、メタゲームに合わせた最適なカード選択が難しく、デッキを組むのが難しいことが課題です。
たとえば除去を一つとっても、《無情な行動》は《繁栄の狐》に弱く、《取り除き》は《黄金架のドラゴン》に弱いなど、それぞれ弱点があります。
どちらもカバーするために2マナ除去を多く入れるとアグロやアドベンチャーには良くなりますが、根本原理のミラーマッチでは除去が多すぎることが敗因になります。
かといって根本原理のミラーマッチ用に《否認》を多く入れすぎると、今度はアグロに弱くなる原因になります。
とはいえ、データ上でスゥルタイ根本原理は白単赤単に勝率が悪いため、ここは意識すべき。ナヤとティムールのアドベンチャーも考えると、2マナ除去は多めの7枚ほどが良さそうです。
ナヤや白単の《巨人落とし》に弱い欠点がありますが、サイクリングにはトランプルでトークンを突破でき、《天頂の閃光》以外ではほとんど対処出来ません。
ティムールアドベンチャーも《厚かましい借り手》による一時的なバウンスのみであり、《長老ガーガロス》は、サイクリングと《黄金架のドラゴン》に強いクリーチャーなので、再評価されて来ています。
緑の入ったデッキなら優先して採用したいクリーチャーだと思います。
■ディミーアローグ
『ストリクスヘイブン』チャンピオンシップ予選:3位 Tulio Jaudy 【インポートデータ】 | |
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デッキリスト | |
4《ゼイゴスのトライオーム/Zagoth Triome》 2《欺瞞の神殿/Temple of Deceit》 4《清水の小道/Clearwater Pathway》 4《寓話の小道/Fabled Passage》 5《島/Island》 5《沼/Swamp》 24 lands 4《遺跡ガニ/Ruin Crab》 |
1《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》 1《否認/Negate》 4《無情な行動/Heartless Act》 2《取り除き/Eliminate》 4《湖での水難/Drown in the Loch》 2《無礼の罰/Didn’t Say Please》 2《息詰まる噴煙/Suffocating Fumes》 4《物語への没入/Into the Story》 2《アガディームの覚醒/Agadeem’s Awakening》 22 other spells 1《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream Den》 |
元々、打ち消しとライブラリー切削で中速に強いデッキですが、主要デッキの採用する除去が《砕骨の巨人》《巨人落とし》に寄って、タフネス3が処理されにくくなったことも、好成績に影響しています。
ディミーアローグは相手のライブラリーを切削する関係上、一撃20点の《天頂の閃光》が直撃することがあり、またトークン横並べ《雄々しい救出者》《型破りな協力》などもあるため、サイクリングに対して不利です。
そのため、このディミーアローグもサイクリングを意識して《息詰まる噴煙》を採用しています。トークンを横並べされてもまとめて対処。効かない相手にはサイクリングすればよいので腐りません。
ディミーアローグはメイン戦は強いのですが、赤緑アドベンチャー系統のサイド後に《運命の神、クローティス》《アゴナスの雄牛》で相性をかなり改善されてしまうという短所があります。
ただし今は、《アゴナスの雄牛》が効く相手がディミーアローグと《予言された壊滅》系のデッキのみと少なく、ゆえに採用枚数が減っています。
メタゲームが回り、天敵のグルールと赤単が減ったこと、それにより《アゴナスの雄牛》を見なくなったことで、ディミーアローグが復権してきました。
白単やスゥルタイ根本原理にも五分以上なので立ち位置が良いですが、これからメタられて《アゴナスの雄牛》が増えるか次第であり、ポジションデッキの印象です。
■ティムールアドベンチャー(オボシュなし)
『ストリクスヘイブン』チャンピオンシップ予選:5位 Andreas Hamann【インポートデータ】 | |
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デッキリスト | |
4《ケトリアのトライオーム/Ketria Triome》 4《岩山被りの小道/Cragcrown Pathway》 4《河川滑りの小道/Riverglide Pathway》 4《樹皮路の小道/Barkchannel Pathway》 4《寓話の小道/Fabled Passage》 3《島/Island》 1《山/Mountain》 2《森/Forest》 26 lands 4《エッジウォールの亭主/Edgewall Innkeeper》 |
2《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》 1《火の予言/Fire Prophecy》 1《襲来の予測/Saw It Coming》 2《多元宇宙の警告/Behold the Multiverse》 2《サメ台風/Shark Typhoon》 4《アールンドの天啓/Alrund’s Epiphany》 2《髑髏砕きの一撃/Shatterskull Smashing》 14 other spells 1《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》 |
奇数カード限定構築になる《獲物貫き、オボシュ》を諦めて、偶数マナコストのカードを採用している形のティムールです。
《軽蔑的な一撃》はナヤ・ティムール・スゥルタイ根本原理の3つに対して特に強く、《黄金架のドラゴン》から構える打ち消しとしては最高。ただし《軽蔑的な一撃》は白単・ローグに対して弱いという欠点もあります。
《多元宇宙の警告》《サメ台風》は打ち消しを構えてエンドする、対ティムールの中盤やスゥルタイ根本原理に対してのカード。
ただメインフェイズでマナを使う出来事クリーチャーと重いインスタントアクションは噛み合わせが悪く、《サメ台風》も中盤の出来事クリーチャーよりサイズが劣るため、5-6ターン目に構えるカードです。
偶数マナコストのカードが使えることのもう一つのメリットは、《焦熱の竜火》です。《遺跡ガニ》《鍛冶で鍛えられしアナックス》などのタフネス3が対処しにくい点を解消してくれています。
また、このリストもサイクリングを意識してか、サイドボードに《エンバレスの宝剣》を採用しています。これも偶数のカード。
しかし、《獲物貫き、オボシュ》は《厚かましい借り手》《黄金架のドラゴン》の飛行クリーチャーでの最後の押し込みが強く、《巨人落とし》されないサイズも、白単やナヤに良いです。
初期手札が1枚増えるオボシュの方が、偶数カードよりもメリットが大きい印象です。
■ナヤクラリオン
『ストリクスヘイブン』チャンピオンシップ予選:22位 Bill Comminos 【インポートデータ】 | |
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デッキリスト | |
4《枝重なる小道/Branchloft Pathway》 4《岩山被りの小道/Cragcrown Pathway》 4《針縁の小道/Needleverge Pathway》 4《寓話の小道/Fabled Passage》 2《平地/Plains》 2《山/Mountain》 3《森/Forest》 23 lands 4《ヤスペラの歩哨/Jaspera Sentinel》 |
3《カビーラの叩き伏せ/Kabira Takedown》 3《フェリダーの撤退/Felidar Retreat》 2《エシカの戦車/Esika’s Chariot》 3《スカルドの決戦/Showdown of the Skalds》 11 other spells 1《湧き出る源、ジェガンサ/Jegantha, the Wellspring》 |
《クラリオンのスピリット》《エシカの戦車》によってトークンを並べ、それらを《フェリダーの撤退》で全体強化していくデッキです。
クリーチャーの横展開により、単色アグロに対して非常に有利にゲームを運べます。
《秘密を知るもの、トスキ》はトークン軍団によって膨大なドローに繋がり、破壊不能を持つ1/1のため、《恋煩いの野獣》を動かすと相性バッチリ。
サイクリング、白単、そしてこのナヤクラリオンと、クリーチャーを横並べするデッキが環境に複数あるため、《激しい恐怖》《弱者粉砕》のような全体除去はサイドボードに少量欲しいですね。
ナヤクラリオンはタフネス2が多い為、ナヤを意識するなら《猛火の斉射》よりも《弱者粉砕》を優先。
■サイクリング
『ストリクスヘイブン』チャンピオンシップ予選:34位 thales augusto 【インポートデータ】 | |
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デッキリスト | |
4《ラウグリンのトライオーム/Raugrin Triome》 4《河川滑りの小道/Riverglide Pathway》 4《連門の小道/Hengegate Pathway》 4《針縁の小道/Needleverge Pathway》 2《平地/Plains》 1《山/Mountain》 19 lands 4《繁栄の狐/Flourishing Fox》 |
4《血の希求/Go for Blood》 3《驚くべき発育/Startling Development》 3《型破りな協力/Improbable Alliance》 2《切り裂かれた帆/Shredded Sails》 4《願い与えの加護/Boon of the Wish-Giver》 4《天頂の閃光/Zenith Flare》 20 other spells 3《ガラスの棺/Glass Casket》 |
トークン横並べ戦略により、《恋煩いの野獣》《黄金架のドラゴン》の攻撃をチャンプブロック、十分に墓地を貯めてからの《天頂の閃光》で、サイクリングは中速デッキに対して有利にゲームを運べます。
最近は《アイレンクラッグの紅蓮術師》型になっており、これによりアドベンチャーや単色アグロへの優位を保っています。
ディミーアローグの時にも同じことを言いましたが、除去が《砕骨の巨人》《巨人落とし》になっているため、今はタフネス3以上のシステムクリーチャーが活躍しやすい環境です。
ただし3マナのクリーチャーが増えた事で黒の除去に対して弱くなっており、特に《エルズペスの悪夢》は《天頂の閃光》も弱体化するため、まさに悪夢。
スゥルタイ根本原理が増えると考えるなら、3マナ中心の《アイレンクラッグの紅蓮術師》型ではなく、《夢の巣のルールス》型にするなどの検討が必要です。
基本的に《アイレンクラッグの紅蓮術師》型サイクリングはアドベンチャー系統に有利です。
ただ《グレートヘンジ》《黄金架のドラゴン》を対処できず負けるパターンがあるので、両方をカバーできる《切り裂かれた帆》は取りこぼしを無くしてくれます。
■おわりに
僕が現在考えるスタンダードTierランキングは以下の通りです。
・ティムールアドベンチャー
・スゥルタイ根本原理
・白単アグロ
・ナヤクラリオン
・サイクリング
・ディミーアローグ
・赤単アグロ
上から順に数が多そう、強いと感じるデッキです。
ティムールアドベンチャーとスゥルタイ根本原理は除去・打ち消し・クリーチャーの質と、3色ゆえに対応できる幅が広いですが、その分デッキ構築がかなり難しい。
今週末はカードラッシュも協賛しているセカコロ決勝トーナメントもありますし、どんな結果になるか楽しみですね。
セカコロ決勝も是非チェックしてください。
それではまた。