MTG │ 解説記事 │ 高橋優太【「ダスクモーン:戦慄の館」リミテッド、カードランキング】
先週末は友人たちとのドラフト合宿に参加して、2日間ドラフト三昧でした。
「ダスクモーン:戦慄の館」のドラフトは、昂揚させるためにエンチャント・アーティファクトを多くピックするなど、カード同士の細かいシナジーが多くて、かなり面白い!
真っすぐなアグロデッキや、多色化したコントロールなど、取れる戦略が多く、非常に楽しい環境です。
今回は、ダスクモーンのドラフトについて解説していきます。
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■キーワード能力
■『ダスクモーン:戦慄の館』の速度感
最近は毎セットそうなのですが、2ターン目から展開することが求められる、ゲームスピードの速い環境です。
理由としては、キーワード能力の「生存」が攻撃した後にアドバンテージを得る能力だからです。
「生存」を達成できれば、カード1枚分のアドバンテージを得る能力が多い。
相手に「生存」能力を使わせないためにも、序盤からしっかり相討ちするクリーチャーを用意する必要があります。
軽くて強いコンバットトリックが多い事も、「生存」の強さを後押ししています。
《小麦畑の孤児たち》は攻撃時に味方のクリーチャーをタップするので、「生存」を誘発させる事が出来ます。
「生存」の影響で、パワーが低くタフネスが高いクリーチャーの価値が、他の環境と比べて下がっています。
0/4や1/4では、ブロックしたとしても無料で「生存」能力を使われてしまいます。《草むした盲信者》や《髑髏鳴らしの嫌がらせ》は、あまり多くの枚数を入れたくないクリーチャーです。
なるべくパワー2やパワー3のブロッカーを用意して、相手に簡単に「生存」させないようにしたい。
ドラフト環境初期は、白赤緑のナヤカラーに人気が集中しています。白赤、赤緑の2つは、実際のドラフト合宿でも勝率が高く、3-0の回数も多かった!
白赤、赤緑のどちらもマルチカラーのアンコモンが強力で、コモンのクリーチャーと除去も軽くて強いものが揃っています。
統計サイト17Landsの数値を参照しても、上位のカードはナヤカラーだらけです。
勝率が低かったのが青黒、赤黒、青赤の3種類。
白赤、赤緑のアンコモンはドラフト初手級の強いカードが多いのですが、青黒、赤黒、青赤はクセの強いものが多い。
《髑髏鳴らしの嫌がらせ》は生存クリーチャーを止めにくく、《無限への恐怖》は殴り始めれば強いのですが出したターンはブロック出来ない。
《侵入する憤怒霊》は強く使うには部屋をたくさんピックする必要があり、難易度が高め。
《鋸刃の皮膚裂き》はシステムが完成すれば強力ですが、生贄にするカードをバランスよく取る必要があります。
軽いクリーチャーととコンバットトリックが取りやすい白赤緑に比べると、青黒、赤黒、青赤はピックの難易度が高く、現在は不人気の色となっています。
特に青と黒はクリーチャーの質が白や緑に劣るため、相手の3/3や4/4といったクリーチャーに苦しむ展開が多いです。
コントロールデッキになりやすいのは白黒。序盤を除去やブロッカーで凌いで、後半に7マナのクリーチャーで逆転するのを目指します。
リアニメイト戦略を主軸にしており、《不快な切断魔》や《帷大足》を《蛾の儀式》で4ターン目に出せれば勝利は目前。
ただ2色だと大型クリーチャーを墓地に落とす手段が少し足りず、青や引いて捨てる能力や、緑の切削などと組み合わせて3色になる事もあります。
特にリアニメイト戦略は、白黒緑のアブザンカラーになりやすいです。
黒緑も序盤を除去やブロッカーで凌いで、後半に逆転するコントロールデッキになりやすいです。
《繁殖蜘蛛》は、諜報で安定性を上げつつ、後半は飛行トークンに生まれ変わります。《繁殖蜘蛛》が流れてきたら黒緑を意識する、デッキの中心になるカード。
さて、ここからはランキング形式でカードを紹介して行きます。
■コモンランキング
1位《焦熱の竜火/Scorching Dragonfire》
デッキに何枚あっても嬉しい、最上級のコモン除去。墓地を参照する能力も多いので、追放効果が嬉しい!
2位《画面の中への幽閉/Trapped in the Screen》
万能除去。エンチャントやアーティファクトも触れるので、相手のレアにも対処しやすい!
今回のセットにはコモンに《解呪》系のカードが存在せず、《解呪》系は全部アンコモン以上なので、《画面の中への幽閉》が破壊されにくいです。
3位《怪物的出現/Monstrous Emergence》
今までこの手のカードは場にクリーチャーが居ないと使えませんでしたが、今回の《怪物的出現》は手札から公開でも使える!
これで相手が先手2ターン目に強いクリーチャーを出した時でも、除去が間に合うようになりました。
4位《声も出せない/Unable to Scream》
能力も失わせるので、死亡誘発とかも全て防いでくれます。軽くて良い除去。
付けた後に生贄にされてしまう事がデメリットですが、それでも1マナ除去は強い。
5位《機械仕掛けの打楽器奏者/Clockwork Percussionist》
序盤数点ダメージを稼ぎ、アーティファクトクリーチャーなので昂揚達成が早くなり、ブロックして死亡してもアドバンテージで損しない。
これだけ良い性能なら、構築でも出番がありそう。
6位《脊柱狙いのムカデ/Spineseeker Centipede》
このカードのおかげで、緑はシングルシンボルのカードの1色タッチがしやすいです。《画面の中への幽閉》など単色の除去や、レアをタッチするときに便利。
序盤を安定させてくれて、後半も昂揚すると3/3警戒で良いサイズ。
7位《裏の裏まで/Turn Inside Out》
軽くて使いやすいコンバットトリックで、これがあるからこそ赤白が継続して攻撃する事が出来ます。《機械仕掛けの打楽器奏者》で相討ちすればアドバンテージが取れます。
8位《ガラス工場+粉々の作業場/Glassworks+Shattered Yard》
除去として3マナ4点は及第点。場に残るので、エンチャントを生贄にする効果と組み合わせるとなお良し。
9位《殺害/Murder》
除去としてはかなり強いのですが、黒という色が弱めの環境なのでこの位置に。
カードは強いので、流れてきたら黒をやる動機になります。
10位《広漠なる変幻地/Terramorphic Expanse》
意外かも知れませんが、自分から墓地に落ちる土地なので昂揚達成を手助けしてくれます。
1色タッチもしやすくなるので、序盤に《広漠なる変幻地》を取っておくことでその後の受けが広がります。微妙なコモンを取るくらいなら《広漠なる変幻地》を取るのがおすすめ。
■アンコモンランキング
1位《幽霊による庇護/Sheltered by Ghosts》
除去しながらフィニッシャーが作れるエンチャント。特に飛行持ちにつければ、攻撃を維持しやすい。
護法の2マナが重く、除去できたとしても2-3回攻撃された後になる事が多いです。その頃には絆魂でライフを多く稼いでくれています。
2位《悪魔祓い/Exorcise》
便利な除去。相手の大主などが、兆候でクリーチャーで出なかった場合でも対処できます。追放なのも嬉しい。
これくらい強い除去なら、白タッチで使う可能性もあります。
2位《見捨てられた人形、アラベラ/Arabella, Abandoned Doll》
他のマルチカラーアンコモンに比べて、明らかに突出した性能。これが流れてきたら白赤を意識するほど、超強力アンコモンです。
白赤はクリーチャーの横並べを得意としており、3-4体出せれば能力で3-4点ドレインします。複数回攻撃出来ればもう勝ち!
4位《ひと皮剥けば/Under the Skin》
2枚見れば土地が見つかる事が多く、序盤は土地を回収しながら2/2を用意。
後半は除去された強いクリーチャーを回収しながら2/2。序盤から終盤までいつ引いても強いです。
5位《裏切り者の駆け引き/Betrayer’s Bargain》
5点ダメージはほとんどのクリーチャーを除去出来ます。
レアの《永劫の無垢》シリーズなど、単純な除去では倒せないクリーチャーもいるので、追放効果が嬉しい。
6位《孤立への恐怖/Fear of Isolation》
一度使用した部屋などを回収する事でアドバンテージを得ます。《底なしプール+更衣室》を戻して1マナバウンス出来たら最高。
相手に《声も出せない》などのエンチャント除去を貼られた場合にも、味方クリーチャーを回収できます。2/3飛行のスタッツも良き。
7位《肝冷やしの手/Unnerving Grasp》
バウンスしながら2/2。相手の4マナ以上を戻せたら、マナ効率面で得できます。
8位《不注意な読書家/Oblivious Bookworm》
特に準備しなくても毎ターンエンド時にルーター能力で、戦慄予示できていれば1ドロー。
流れてきたら青緑をやる理由になる、高性能クリーチャー。
9位《呑気な物漁り/Optimistic Scavenger》
部屋などで上手くエンチャントシナジーを組めた場合は、高打点を叩き出してくれます。
強いとは思うのですが、エンチャントを多くピック出来ないと使いにくい事もあるので、この位置に。
10位《焼殺への恐怖/Fear of Burning Alive》
昂揚達成していれば、本体4点とクリーチャーに4点与えながら4/4が出てきます。ゲームに勝つ性能!
昂揚を達成していれば効果は継続するので、例えば赤の4点部屋《ガラス工場+粉々の作業場》を5マナで開いて、本体に1点入るダメージで相手のクリーチャーにも1点飛ばせるようになります。
その他10位と並ぶ性能のアンコモン達。
《逃げ場なし》はかなり強いのですが、黒の不人気などを鑑みてランクインせず。
《至る所に脅威》は、戦慄予示を多く取れていればかなりアドバンテージを取れます。出したターンの盤面が弱いのが弱点。
マルチカラーは2色固定になるので、10位以内には入れませんでしたが、どれもその2色をやる理由になる性能があります。
《画家の仕事場+汚された画廊》は味方全員のパワーを1上げて攻撃しやすくしながら、ライブラリートップ2枚を公開してアドバンテージ獲得。
特に白赤で、横並びの攻撃を補助してくれます。トップ10に比類する、高性能アンコモンです。
■おわりに
ランキング形式でコモン・アンコモンを紹介して行きました。
昂揚や色のタッチなど考える事が多く、かなり面白いドラフト環境なので、遊んでみてね。
それではまた。