MTG │ 大会レポート │ 高橋優太【「ゼンディカーの夜明け」チャンピオンシップ】
Hi,
今年を締めくくるプレミアイベントゼンディカーの夜明けチャンピオンシップに参加しました。
以下、大会レポートになります。
※ゼンディカーの夜明けチャンピオンシップ(日本公式サイト)
※ラッシュメディア記事内紹介のカードは
カード名のリンク、記事末尾のバナーを
クリックで通販サイトへアクセスできます
通販サイト(https://www.cardrush-mtg.jp/)
■使用デッキ スタンダード : グルールアドベンチャー
4《エッジウォールの亭主》
4《山火事の精霊》
3《漁る軟泥》
4《恋煩いの野獣》
4《砕骨の巨人》
4《カザンドゥのマンモス》
2《切り裂かれた帆》
1《アクロス戦争》
3《怪物の代言者、ビビアン》
3《グレートヘンジ》
2《エンバレスの宝剣》
4《髑髏砕きの一撃》
4《寓話の小道》
4《岩山被りの小道》
1《奔放の神殿/Temple of Abandon》
9《森》
4《山》
サイドボード
2《焦熱の竜火》
2《魂焦がし》
2《アクロス戦争》
3《アゴナスの雄牛》
1《萎れ》
1《打ち壊すブロントドン》
2《解き放たれた者、ガラク》
2《運命の神、クローティス》
現在のスタンダードは緑のデッキが頭一つ抜けている印象があります。
《恋煩いの野獣》《カザンドゥのマンモス》からの4ターン目《グレートヘンジ》は対処することが難しく、返しで破壊できなければ大量にアドバンテージを稼がれてゲームエンド。
《グレートヘンジ》を出させないために除去を多用する相手に対しては、消耗戦に強い《怪物の代言者、ビビアン》があり、序盤中盤終盤どのレンジでも戦う事が出来ます。
緑単やティムールではなくグルールを選択した理由は3つ。
①赤を足す事での2マナ除去《砕骨の巨人》《焦熱の竜火》と《アクロス戦争》が緑対決の先攻ゲーを緩和してくれる。特に《アクロス戦争》はこれでしかできない後手での盤面大逆転を狙える。
②赤で使えるサイドカード《運命の神、クローティス》《アゴナスの雄牛》の2種類が非常に効果的。青黒ローグには2種類とも通ればゲームに勝利する決定打となり得るし、エスパー《予言された壊滅》に対して《アゴナスの雄牛》はリソース確保によってサイド後の相性を大きく改善する。緑単よりもサイドボードが強い。
③《エンバレスの宝剣》は除去に弱い性質があるもの、盤面や相性差を覆して勝つほどのカードパワーがある。
《グレートヘンジ》が多用される環境であり、メインに何かしらのアーティファクト破壊は少量必要です。
最初は《エンバレスの盾割り》から調整をスタートしていました。1マナのアーティファクト破壊なので、《グレートヘンジ》を破壊+3マナのクリーチャーと動きやすく、出来事で1ドローできるのがメリット。
しかし《エンバレスの盾割り》は青黒ローグに不要牌になることと、《峰の恐怖》等の飛行クリーチャーを除去出来る点を考慮して《切り裂かれた帆》を採用しました。
《萎れ》《切り裂かれた帆》などを構えてエンドするだけでは相手がアーティファクトを出さなかったときにテンポ損してしまいますが、《打ち壊すブロントドン》には先に3/4ボディが出せるというメリットがあります。
また、クリーチャーであることで自分の《怪物の代言者、ビビアン》《グレートヘンジ》からの恩恵も受けます。
しかしブロントドンは起動含めて合計4マナと重く、フルタップで出すと《アクロス戦争》で奪われて悪用される場合もあるというデメリットもあります。
軽さ優先で2マナのカードを多くしました。
■使用デッキ ヒストリック : スゥルタイタッチ白
4《自然の怒りのタイタン、ウーロ》
3《ハイドロイド混成体》
2《鎮まらぬ大地、ヤシャーン》
4《思考囲い》
2《致命的な一押し》
4《霊気の疾風》
4《成長のらせん》
2《無情な行動》
2《衰滅》
1《絶滅の契機》
4《世界を揺るがす者、ニッサ》
4《ゼイゴスのトライオーム》
4《インダサのトライオーム》
4《繁殖池》
3《草むした墓》
1《水没した地下墓地》
2《氷河の城砦》
4《寓話の小道》
2《島》
1《沼》
2《森》
1《平地》
サイドボード
2《否認》
4《サメ台風》
1《軽蔑的な一撃》
1《衰滅》
2《肉儀場の叫び》
2《長老ガーガロス》
1《鎮まらぬ大地、ヤシャーン》
1《ゴルガリの女王、ヴラスカ》
1《魂標ランタン》
ヒストリックでも選りすぐりの精鋭を集めた4色のグッドスタッフです。
カラデシュリマスターで《致命的な一押し》が追加されたことで、序盤のタップイン遅れのときに動きやすくなり、1マナで使えるカードが増えた事で《自然の怒りのタイタン、ウーロ》の脱出も早くなりました。
しかしヒストリックで除去したいクリーチャーは《ゴブリンの戦長》《波乱の悪魔》など3マナのクリーチャーが多く、紛争条件を達成するためには《自然の怒りのタイタン、ウーロ》《寓話の小道》が必要なので、除去を《致命的な一押し》だけに絞るのも良くないと考えて《無情な行動》と分けました。
現在のヒストリックのメタゲームはスゥルタイ、ゴブリン、サクリファイスの三すくみ。
生贄能力を封じる《鎮まらぬ大地、ヤシャーン》はサクリファイス系に対して非常に強く、相手の《魔女のかまど》《パンくずの道標》など全て封殺する事が出来ます。
ゴブリンに対しても《ずる賢いゴブリン》《スカークの探鉱者》によるマナ加速を封じるので、そこまで悪いカードではありません(ただしサイド後のアウトは検討します)
《鎮まらぬ大地、ヤシャーン》のためにタッチする白でサクリファイス系への相性がかなり改善したため、タッチ白のスゥルタイを使用しました。
三すくみの内ゴブリンに対して、スゥルタイは相性が悪いです。
ゴブリンの《人目を引く詮索者》《ゴブリンの女看守》《ゴブリンの首謀者》は単体でアドバンテージを稼ぐため除去に強い性質があり、《上流階級のゴブリン、マクサス》は通ってしまえば一撃必殺の盤面を形成してきます。
そのためスゥルタイを使用するときはメインに《上流階級のゴブリン、マクサス》を打ち消せるカードが合計4枚以上は必要で、《霊気の疾風》以外の候補としては《軽蔑的な一撃》《本質の散乱》などが挙がります。
しかし《軽蔑的な一撃》《本質の散乱》は状況を選ぶ打ち消しである分少し弱いです。《軽蔑的な一撃》はサクリファイス系に効きにくく、《本質の散乱》はスゥルタイ同型で《世界を揺るがす者、ニッサ》に対処できない欠点があります。
状況依存の打ち消しを入れるよりは《霊気の疾風》と考えて、4枚採用しました。今回の三すくみ全てに《霊気の疾風》が効くのも理由のひとつです。
全体除去枠はゴブリンに対して《上流階級のゴブリン、マクサス》されても希望が持てる《衰滅》にしましたが、ここはサクリファイス系に対して《鎮まらぬ大地、ヤシャーン》を維持できる《ヤヘンニの巧技》でも良かったかも知れません。
《肉儀場の叫び》は追放効果のためサクリファイス系の《大釜の使い魔》《真夜中の死神》をまとめて対処出来て、ゴブリンに対してもサイドインできるので非常に良かった部分です。
《肉儀場の叫び》発案の原根さんGood Job。大会上位のGabriel Nassifが《肉儀場の叫び》をメイン採用していたのも納得。
■大会結果
初日
〔ヒストリック〕
〇ジャンドサクリファイス
×青白サイクリング
〇スゥルタイ
〔スタンダード〕
〇青黒ローグ
〇エスパー《予言された壊滅》
×ティムールランプ《獲物貫き、オボシュ》
〇青黒ローグ
ヒストリック2-1,スタンダード3-1で初日を通過。
2日目
〔ヒストリック〕
×ジャンドサクリファイス
×ジャンドサクリファイス
×スゥルタイタッチ白
〇ラクドスサクリファイス
〔スタンダード〕
×ティムールランプ《獲物貫き、オボシュ》
〇グルールアドベンチャー
×緑単フード
〇ティムールランプ《獲物貫き、オボシュ》
ヒストリック1-3,スタンダード2-2で合計8-7。
最終成績59位。
ヒストリックでの大敗はデッキ決定が遅かったことによる自分の練度不足と、サイドボードの無駄遣い。
直前になって僕だけが追加した《魂標ランタン》《ゴルガリの女王、ヴラスカ》は完全に蛇足。スゥルタイというデッキが選べたことは良かったのですが、締め切り1時間前に決定したリストだったためサイドボードが少し足りていませんでした。
同型に強い《覆いを割く者、ナーセット》と、ゴブリンとサクリファイス用に《肉儀場の叫び》の3枚目が欲しかった。
「君の敗因は容量の無駄遣い」(byヒソカ)
■自分のデッキ選択の傾向
僕のデッキ選択の傾向として、「○○が対処できず負け」を嫌う傾向にあります。前回記事の《神秘の論争》グルールもそう言った思考から生まれています。
だから《切り裂かれた帆》のように限定的でも少しは対処できるカードをメインに入れたい、コントロールしたい思考になりやすい。
しかし《切り裂かれた帆》のように「状況を選ぶが相手次第ではクリティカルヒットする除去」は手札で腐る可能性があり、自分のメインの動きを阻害する可能性すらある。
レガシーで愛用する《紅蓮破》《突然の衰微》のように汎用性がとても高い除去ならこの思考は成立しますが、《切り裂かれた帆》は《紅蓮破》《突然の衰微》ではない。
相手を○○を対処するよりも、自分のデッキの強い押し付けが○○を無視できるといった考え方も必要です。
例えば《峰の恐怖》を《切り裂かれた帆》で除去するよりも、《峰の恐怖》がアクティブになる前に《エンバレスの宝剣》で押し切る。
例えば相手の《世界を揺るがす者、ニッサ》を無視して《上流階級のゴブリン、マクサス》で押し切る。
「攻撃は最大の防御」という言葉はマジックにも当てはまり、僕のカード選択は少し防御に寄りすぎているのかも知れません。
■おわりに
ライバルズリーグやチャンピオンシップを終えて、徐々に自分の課題も見えてきました。
今僕が目指すべきはGabriel Nassifかなと。元々Nassifは大のコントロール好きで、かつては青系コントロールを愛用していました。
しかしプロリーグになってからはそのこだわりを捨てて、ベストなデッキであればアグロも使用。そうなってからのNassifの勝率は凄まじく、毎回大会でTop8に残るハイアベレージを叩き出しています。
– Gabriel Nassif twitterプロフィール画像より引用 –
Nassifからの教訓
※王道デッキを使って練度最大でミラーマッチを勝つ。
※アグロも使う。
※コントロールしたい思考で限定除去よりも、攻撃は最大の防御。
負けたものの、自分の思考が整理できて実りのある大会でした。
来年1月から再開するライバルズリーグに活かします。
それではまた。