MTG │ 考察記事 │ 高橋優太【ヒストリック環境分析】

Hi,

MTGアリーナで行われるミシックインビテーショナルに参加しました。

今回はバントコントロールを使用。結果は残念ながら3勝4敗で初日落ちでしたが、ヒストリックの環境分析をこの記事で述べて行きます。

https://mtg-jp.com/coverage/2020mi/

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■ヒストリックとは

「MTGアリーナ」専用のフォーマットです。

イクサラン以降の通常セットに収録されたカードや「ヒストリック・アンソロジー」シリーズなどのMTGアリーナのみに存在するセットのカードが使用でき、セットのローテーション(入れ替え)はありません。

先日発売されたアモンケットリマスターにより《思考囲い》《集合した中隊》など強力カードも多数増えており、パイオニアと同じくらいのカードプールの広さでデッキを組むことが出来ます。

使用可能なカード一覧はこちらを参照してください(公式サイト)

ヒストリック

ヒストリックはデジタルゲーム「」専用のフォーマットです。 『イクサラン』 以降の通常セットに収録されたカードや「ヒストリック・アンソロジー」シリーズなどのMTGアリーナのみに存在するセットのカードが使用でき、セットのローテーション(入れ替え)はありません。 ヒストリックは構築フォーマットです。したがって、以下の構築ルールが適用されます。 デッキの枚数は60枚以上 デッキの枚数に上限はなし サイドボードを使用する場合、その中のカードは15枚まで 「一時停止カード」「禁止カード」に指定されているカードは使用不可 基本土地(《 平地》、《 島》、《 沼》、《 山》、《 森 》)を除き、デッキとサイドボードを合わせて4枚までしか英語カード名が同じカードを入れることはできません。 ヒストリックで使用可能な通常セット以外のカード 『Jumpstart』(MTGアリーナ版) その他のカード(イベント等で実装) 一時停止/禁止カード 2020年8月24日改定 一時停止カード(デッキに入れることはできませんが、常時解禁が検討されています) 禁止カード(デッキに入れることができません)

■ゴブリン

使用者 Noah Walker
ミシックインビテーショナル 初日6-1


4《スカークの探鉱者
4《人目を引く詮索者
4《ずる賢いゴブリン
4《ゴブリンの戦長
4《ゴブリンの酋長
4《ゴブリンの女看守
4《群衆の親分、クレンコ
4《上流階級のゴブリン、マクサス
3《アイレンクラッグの妙技
3《忘れられた洞窟
3《エンバレス城
2《ファイレクシアの塔
17《

サイドボード
3《ゴブリンの首謀者
3《マグマのしぶき
2《ひっかき爪
1《レッドキャップの乱闘
2《ゴブリンの損壊名手
1《ゴブリンの鎖回し
2《削剥
1《宝石の手の焼却者

ジャンプスタート収録の《上流階級のゴブリン、マクサス》を中心としたゴブリンデッキです。

上流階級のゴブリン、マクサス》の誘発型能力で速攻付与の《ゴブリンの酋長》《ゴブリンの戦長》を場に出し、《群衆の親分、クレンコ》を起動すれば一挙に50点以上のダメージが入ります。

マクサスさえ出ればどんなに不利な盤面でも形勢逆転してしまうほど、ヒストリックでも随一のカードパワーがあります。

マクサスは6マナと重いことが難点ですが、それを補助するのがマナ加速。

スカークの探鉱者》→《ずる賢いゴブリン》なら3ターン目に6マナ出ますし、《アイレンクラッグの妙技》でも3ターン目マクサスを狙えます。

例えダブルマリガンしたとしても手札5枚から3ターン目マクサスは実現可能で、それこそがこのデッキの強みでもあります。ゴブリンに限らず、ダブマリでも勝てるというのは強いデッキの性質です。

A→B→C→勝ちという点はウルザトロンにも似ていますね。

単色アグロであるにも関わらず、リソース回復手段が豊富なのがゴブリンの強みです。

どこかで《人目を引く詮索者》《ゴブリンの首謀者》でアドバンテージを取られてしまうため、単純に除去を繰り返すだけではゴブリンを倒すことは出来ません。マクサスも除去では対処しにくいです。

ゴブリンを倒すためには除去+自分の攻め手を作る必要があります。

上記のリソース手段によりゴブリンはある程度長期戦も見据えることが出来るデッキであり、手札が使いきれない方が負けやすいです。

土地が詰まる方が負けやすく、マナフラッドにも耐性があるので土地25枚が一般的ですね。

赤単だと妨害手段が少ない為、相手の全体除去や打ち消し呪文に対して《思考囲い》を入れるタッチ黒ゴブリンもあります。

ただしタッチ黒により土地がタップインするリスクもあり、単色の方がマナベースでもたつくことがないので、どちらを取るかは悩みどころ。僕としては赤単を推奨。

ゴブリンと言うデッキは《上流階級のゴブリン、マクサス》《ゴブリンの首謀者》でめくることを考慮すると、非ゴブリン呪文のサイドインは3-4枚程度に抑えた方が良いです。

■ジャンドカンパニー

使用者 Ivan Floch
ミシックインビテーショナル 初日7-0

4《大釜の使い魔
4《忘れられた神々の僧侶
4《戦慄衆の解体者
2《血の芸術家
4《悲哀の徘徊者
4《真夜中の死神
4《波乱の悪魔
4《集合した中隊
3《初子さらい
4《魔女のかまど
1《ファイレクシアの塔
2《
4《血の墓所
4《草むした墓
4《踏み鳴らされる地
4《竜髑髏の山頂
2《根縛りの岩山
2《森林の墓地

サイドボード
3《思考囲い
2《帆凧の掠め盗り
1《初子さらい
2《削剥
2《漁る軟泥
2《再利用の賢者
2《ゴルガリの女王、ヴラスカ
1《フェイに呪われた王、コルヴォルド

モダンやパイオニアでも活躍する《集合した中隊》。

しかしヒストリックのカードプールはパイオニアより少なく、緑単色やバントカラーでは《集合した中隊》を上手く使いにくいです。バントスピリットなどもありますが、相手への干渉力が低いのが短所。

その点ジャンドの場合は《波乱の悪魔》《悲哀の徘徊者》という優秀な3マナ域があり、クリーチャーでありながら除去として機能する分他の《集合した中隊》デッキより優れています。

忘れられた神々の僧侶》《波乱の悪魔》によりクリーチャー主体のデッキのほとんどに有利が付くのが長所。

もっと緑を濃くして《金のガチョウ》などを入れたバージョンも存在しますが、マナクリーチャーを沢山入れてしまうと《集合した中隊》の当たりが減るというデメリットもあります。

このデッキリストで注目すべき点は《真夜中の死神》がフル採用な所でしょう。

大釜の使い魔》《魔女のかまど》が揃えばドローエンジンになりますし、《集合した中隊》以外でのアドバンテージ獲得手段が少ないという欠点を解消しています。

今回のメタゲームはゴブリン、ジャンドカンパニー、スゥルタイが中心であり、極端に早くライフを詰めてくる単色アグロなどが少ないと判断しての《真夜中の死神》フル採用には納得。

特に除去の多いスゥルタイに対しては《真夜中の死神》が輝きます。

■スゥルタイ

使用者 Montserrat Ayensa
ミシックインビテーショナル 初日6-1

4《自然の怒りのタイタン、ウーロ
4《ハイドロイド混成体
4《思考囲い
1《見栄え損ない
2《無情な行動
2《取り除き
4《成長のらせん
1《大渦の脈動
2《絶滅の契機
1《ゴルガリの女王、ヴラスカ
4《世界を揺るがす者、ニッサ
3《否定の契約
4《ゼイゴスのトライオーム
4《草むした墓
4《繁殖池
3《水没した地下墓地
1《内陸の湾港
1《異臭の池
4《寓話の小道
3《
2《
2《

サイドボード
1《覆いを割く者、ナーセット
1《サメ台風
1《軽蔑的な一撃
1《物語の終わり
2《神秘の論争
2《肉儀場の叫び
2《見栄え損ない
1《再利用の賢者
1《探索する獣
2《漁る軟泥
1《永遠神の投入

思考囲い》で失ったライフを《自然の怒りのタイタン、ウーロ》が補填し、脱出のコストにもなる。ヒストリックで使えるカードの中でもトップ10に入る性能の《思考囲い》を一番強く使えるのがスゥルタイです。

序盤は1対1交換を繰り返して、後半はウーロでアドバンテージ差を広げるコントロールデッキです。

スタンダードでもお馴染みの《世界を揺るがす者、ニッサ》《ハイドロイド混成体》コンビ。

どちらもソーサリータイミングでの重いアクションなため、返しの《上流階級のゴブリン、マクサス》《ボーラスの城塞》が怖いですが、このデッキリストでは《否定の契約》が3枚とがっつり採用されており、フルタップでもマクサスを打ち消す意思を感じます。

マナランプ戦略からの《否定の契約》で自分のニッサを守りつつ、ニッサにより契約の5マナを払いながら更に行動できます。

スゥルタイは《サメ台風》の枚数など人によってかなり差異がありますが、今大会スゥルタイで初日最上位だったのは《否定の契約》が3枚の形。

相手に合わせたリアクションスペルよりも、5-6マナの押しつけを維持する《否定の契約》の方が結果を残していますね。

■その他

・ジャンドサクリファイス《ボーラスの城塞
・赤黒《戦慄衆の秘儀術師
・黒単《王神の贈り物
・《隠された手、ケシス》コンボ
・緑単ランプ
・青白オーラ

今大会のメタゲームはゴブリン・ジャンドカンパニー・スゥルタイの3つが多く、それに次ぐ形で他のデッキたちがバラけています。

これらのデッキはメインは確かに強力なのですが、サイド後の墓地対策を乗り越えることが困難という短所があります。

墓地依存のカードが多すぎると《虚空の力線》で大ダメージを受けてしまう。

墓掘りの檻》はライブラリーと墓地から唱えることを禁止するため、ジャンドや赤黒《戦慄衆の秘儀術師》に良く効くサイドカードです。

黒単《王神の贈り物》には効かないので注意。

青白オーラは《思考囲い》の増加と《忘れられた神々の僧侶》《波乱の悪魔》の除去能力により立ち位置悪め。

■バントコントロール

4《自然の怒りのタイタン、ウーロ
4《成長のらせん
3《検閲
2《霊気の疾風
1《物語の終わり
1《神秘の論争
2《中和
4《神の怒り
4《サメ台風
4《ドミナリアの英雄、テフェリー
3《スフィンクスの啓示

4《寓話の小道
4《神聖なる泉
4《繁殖池
1《寺院の庭
4《灌漑農地
1《まばらな木立ち
3《陽花弁の木立ち
2《ヴァントレス城
2《
2《
1《平地

サイドボード』》
4《不可解な終焉
2《安らかなる眠り
1《エルズペス、死に打ち勝つ
1《霊気の疾風
2《終局の始まり
1《神秘の論争
1《長老ガーガロス
2《ドビンの拒否権
1《墓掘りの檻

ゴブリン・ジャンドカンパニー・スゥルタイを仮想敵として、ミシックインビテーショナルではバントコントロールを使用しました。

現在のヒストリック環境で、特にゲームの焦点となるカードはこの4つ。

上記4種類はどれも除去耐性があるため、単純にクリーチャーを除去して行くだけでは対処できません。

これら3種類全てに1:1交換できるのは打ち消しor手札破壊に限られており、それこそが各デッキの対処を難しくしています。

ただ、どれも4-6マナと重いため、打ち消し呪文が効きやすい性質があります。

その点に注目し、除去や手札破壊よりも打ち消し主体のデッキを組もうと考えたのが最初の構想です。

ヒストリックでは《時を解す者、テフェリー》が使用停止であることも、打ち消しデッキを作る理由になりました。

そして打ち消し呪文と相性の良いプレインズウォーカーと言えば《ドミナリアの英雄、テフェリー

テフェリーを[+1]して打ち消しを構えるインスタント主体のデッキで、イメージとしては前環境スタンのティムール再生に近いです。

練習仲間の井川さんのアイディア。ゲームの焦点になる《上流階級のゴブリン、マクサス》《群衆の親分、クレンコ》《ボーラスの城塞》を消せますが、手札で腐る可能性もあるので1枚。

ゴブリンやジャンドはクリーチャーのサイズが2/2や3/3なため、《サメ台風》が除去として使える事が多いです。

メタゲーム上位であるゴブリン、ジャンド、スゥルタイ3種に対して強く使えるため、フル採用しました。

コントロールデッキを作る上で《成長のらせん》《自然の怒りのタイタン、ウーロ》は入れないと、相手の《成長のらせん》《自然の怒りのタイタン、ウーロ》がキツ過ぎるので採用。

カードを1対1交換し続けて《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を脱出するというのがゲームプランになってしまうのが凄い。ゼンディカーの上陸環境で禁止されないか心配です。

ミシックインビテーショナル本戦

〇黒単王神
×スゥルタイ
×スゥルタイ フラッシュ
〇赤単アグロ
〇赤単ゴブリン
×スゥルタイ
×ジャンドカンパニー

3勝4敗で残念ながら初日落ち。

スゥルタイに全敗しており、スゥルタイへのサイドボーディング枚数とプランが甘かったことが敗因です。

スゥルタイとの3戦、その中の2つは《否定の契約》入りで、6マナから《思考囲い》→《世界を揺るがす者、ニッサ》→《否定の契約》で負けたゲームが複数ありました。

デッキの中のニッサを対処できるカードが《霊気の疾風》《ドミナリアの英雄、テフェリー》で、結局ライブラリーに戻るため再度プレイされたときに打ち消す必要があり、根本的な対処になっていませんでした。

ニッサを倒せて、かつテフェリーも復活できる《エルズペス、死に打ち勝つ》をサイドボードに複数枚取るべきでした。

マジックの強さとは結局、相手よりも多く考えられることだと思います。

相手がどうサイドインするか、どう選択するか、それを考える。今回の大会で、自分にとって最も不利な形のスゥルタイに対するプランが足りていなかった。

次回の大会への反省とします。

■おわりに

僕は負けてしまいましたが、チーム「曲者」の仲間たちは全員二日目進出。

彼らの中からトップ8進出者が出ることを願いつつ、二日目の観戦を楽しもうと思います。

それではまた。

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