MTG │ 大会レポート │ 高橋優太【PT名古屋2020】
Hi,
先日パイオニアフォーマットで開催されたプレイヤーズツアー・名古屋2020の大会レポートです。
公式カバレージにも何度か取り上げられました
→https://mtg-jp.com/coverage/ptnag20/(外部リンク)
※ラッシュメディア記事内紹介のカードは
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■デッキ選択
青黒インバーターを使用しました。
4《タッサの神託者/Thassa’s Oracle》
4《真実を覆すもの/Inverter of Truth》
4《選択/Opt》
4《思考囲い/Thoughtseize》
4《致命的な一押し/Fatal Push》
2《海の神のお告げ/Omen of the Sea》
2《検閲/Censor》
2《思考消去/Thought Erasure》
2《湖での水難/Drown in the Loch》
3《神秘を操る者、ジェイス/Jace, Wielder of Mysteries》
4《時を越えた探索/Dig Through Time》
4《湿った墓/Watery Grave》
4《水没した地下墓地/Drowned Catacomb》
2《異臭の池/Fetid Pools》
2《詰まった河口/Choked Estuary》
4《寓話の小道/Fabled Passage》
6《島/Island》
3《沼/Swamp》
サイドボード
1《ヴリンの神童、ジェイス/Jace, Vryn’s Prodigy》
3《神秘の論争/Mystical Dispute》
1《究極の価格/Ultimate Price》
1《喪心/Cast Down》
1《軍団の最期/Legion’s End》
1《最後の望み、リリアナ/Liliana, the Last Hope》
2《衰滅/Languish》
1《正気泥棒/Thief of Sanity》
2《悪夢の詩神、アショク/Ashiok, Nightmare Muse》
1《墓掘りの檻/Grafdigger’s Cage》
1《減衰球/Damping Sphere》
《真実を覆すもの/Inverter of Truth》の能力によってライブラリーを0枚、もしくは0枚に近い状態にして、《タッサの神託者/Thassa’s Oracle》《神秘を操る者、ジェイス/Jace, Wielder of Mysteries》により特殊勝利を決めるコンボデッキです。
以前モダンに存在した《欠片の双子/Splinter Twin》のように、2枚でゲームに勝つコンボなため「ディミーア・ツイン」と呼ばれる事もあります。
《欠片の双子/Splinter Twin》コンボとの違いは、クリーチャー除去ではコンボ達成を防げない事。ライブラリーが0枚の状態なら《タッサの神託者/Thassa’s Oracle》の誘発型能力にスタックで除去されても特殊勝利に影響がありません。
墓地対策は《時を越えた探索/Dig Through Time》などを防ぐためには有効ですが、肝心の《真実を覆すもの/Inverter of Truth》《タッサの神託者/Thassa’s Oracle》コンボを防ぐことが出来ません。
クリーチャー除去が効かず対策する手段が限られており、勝利条件はわずか6マナ。
デッキの種類が多いパイオニアでは、対策に枚数を割くよりも自分が簡単に勝つ方が重要だと考えて、この青黒インバーターを使用しました。
過去の記事でも紹介したように、《思考囲い/Thoughtseize》《致命的な一押し/Fatal Push》はパイオニアで黒の強さを支えています。相手によって強さがブレにくく、後半引いても役に立つ最高級の1マナ呪文です。
《致命的な一押し/Fatal Push》の紛争を達成できるように《寓話の小道/Fabled Passage》が必要で、これは《時を越えた探索/Dig Through Time》の探査にも役立っています。
これら1マナ呪文の採用により墓地が貯まりやすく、《時を越えた探索/Dig Through Time》は2-3マナで撃てるデッキです。優秀な1マナ呪文によりモダン・レガシーでも禁止されている《時を越えた探索/Dig Through Time》を4枚使えることが青黒インバーターの長所です。
今回のプレイヤーズツアーは通常の大会と異なり、「メインデッキは60枚全て対戦相手に公開、サイドボードは入っているカードの種類のみ公開で枚数は非公開」という特殊ルールでした。
このルールの場合、出来るだけカードの種類を散らした方がサイドボーディングを予想されにくいです。
例を挙げると
→ロータスコンボは《減衰球/Damping Sphere》が苦手。こちらのサイドボードに《減衰球/Damping Sphere》のカード名があったためアーティファクト破壊を3枚サイドイン。実際は《減衰球/Damping Sphere》が1枚しか入っていないのでアーティファクト破壊が無駄になる可能性がある。
→青白コントロールは、コンボに対して不要になるクリーチャー除去を残したくない。こちらのサイドボードに《ヴリンの神童、ジェイス/Jace, Vryn’s Prodigy》《正気泥棒/Thief of Sanity》が入っているため除去を少し残す必要がある。しかし実際のクリーチャー枚数は2枚。
特殊なルールなら、その特殊なルールに合わせたデッキ構築をする必要があります。1枚差しのブラフの効果が通常よりも高く、逆に「4枚、4枚、4枚、3枚」のようなサイドボードは読まれやすく相手のプレイが簡単になってしまうので、この大会形式だとマイナス評価です。
■1stドラフト
1《命の恵みのアルセイド/Alseid of Life’s Bounty》
4《群れの英雄/Hero of the Pride》
1《太陽に祝福されしダクソス/Daxos, Blessed by the Sun》
1《ヘリオッドの巡礼者/Heliod’s Pilgrim》
1《ニクス生まれの英雄/Hero of the Nyxborn》
1《暁の福音者/Dawn Evangel》
1《競技会の英雄/Hero of the Games》
3《夜明けのキマイラ/Daybreak Chimera》
1《スコフォスの迷宮守り/Skophos Maze-Warden》
2《スコフォスの戦導者/Skophos Warleader》
2《ケイラメトラの恩恵/Karametra’s Blessing》
2《立腹/Infuriate》
1《存在の破棄/Revoke Existence》
1《幻惑する竪琴/Entrancing Lyre》
2《イロアスの恩寵/Iroas’s Blessing》
10《平地/Plains》
6《山/Mountain》
1-1
1-2
1-3
周りの評価は低いですが、白をやる上で必須になる2マナ域。クリーチャーを横並べしてから能力による全体強化で一気に攻めます。
〇青白
〇赤緑
〇赤緑
綺麗な赤白を組めて3-0。
■初日パイオニア
〇青黒インバーター
〇赤単ミッドレンジ
〇白単信心
〇黒単タッチ白吸血鬼
〇白黒オーラ
〇青黒インバーター
初日9-0。
青黒インバーターは手札破壊も打ち消しも無い相手にはゲームプランが簡単で、有利な赤単や白単に当たったことが勝因でした。
■2ndドラフト
4《苔のバイパー/Moss Viper》
2《鎖巣網のアラクニル/Chainweb Aracnir》
1《ぬかるみのトリトン/Mire Triton》
1《毒々しいキマイラ/Loathsome Chimera》
1《毒の秘義司祭/Venomous Hierophant》
1《大食のテュポーン/Voracious Typhon》
1《苦悶の侍祭/Acolyte of Affliction》
1《ナイレアの先駆け/Nylea’s Forerunner》
2《明日の目撃者/Witness of Tomorrows》
1《啓蒙の敵/Enemy of Enlightenment》
1《旅行者の護符/Traveler’s Amulet》
2《自然への回帰/Return to Nature》
1《執拗な探求/Relentless Pursuit》
1《狩猟の神のお告げ/Omen of the Hunt》
2《葬儀/Funeral Rites》
1《エルズペスの悪夢/Elspeth’s Nightmare》
1《最後の死/Final Death》
1《島/Island》
7《沼/Swamp》
8《森/Forest》
1-1
同じパックに白黒レアの《エイスリオスの番犬、クノロス/Kunoros, Hound of Athreos》が居ましたが、脱出デッキの基盤である《ぬかるみのトリトン/Mire Triton》をピック、
1パック目で多色のカードを取るとピックが固定されやすいので、単色を優先しました。
1-2
1-3
これも本体の性能が高く、脱出デッキの基盤になるカード。ここで黒を固定。
1-4
しかしその後のピックで、2色目を青に行くか緑に行くか迷ってしまい中途半端に。
墓地に落とすカードを序盤に取れたことで緑黒脱出を強く意識してしまい、本当は青黒を目指すべき流れだったのに緑に固執して結果弱いデッキに。
《明日の目撃者/Witness of Tomorrows》をタッチしなければカードが足りないほどの失敗デッキで、ピック終了後は冷や汗が止まりませんでした。
×赤黒
×緑黒
〇青赤
1-2。
2戦目の緑黒では相手がトリプルマリガンしたにも関わらず負けて、しかも3戦目は2-0してきた行弘賢さん。(ドラフト1番卓では勝ち点が異なるため、自分が0-2しても2-0の人と当たる可能性があります)
しかし相手の土地事故に助けられる形でなんとか勝利。
■2日目パイオニア
〇5色二ヴミゼット
ID
ID
初日全勝の貯金のおかげで、2日目は2勝でトップ8が確定。
■決勝トーナメント
〇青黒インバーター
×白黒オーラ
この大会で行弘賢さんと3回当たりましたが、最後はリベンジされて終了。
最終成績4位。
■後攻を選ぶ思考
カードゲームの常識として、基本的には先攻が有利です。
「相手より先に土地が置ける」「相手より先に攻撃できる」「相手より先に強いパーマネントが置ける」の3つが主な理由です。
例えば《苦花/Bitterblossom》《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》等のように、先に出して有利になるカードがある場合は間違いなく先攻を取ります。
準々決勝での対戦相手はMPLプレイヤーLee, Shi Tianで、青黒インバーターのミラーマッチでした。準々決勝では相手のデッキリストはすべて公開情報となり、試合前にリストが渡されます。スイスラウンドで僕の方が上位だったため先攻を選ぶ権利はあったのですが、考えた上で後攻を選択しました。
理由を挙げて行きます。
Lee, Shi Tianのデッキ
理由1:お互いのデッキに《思考囲い/Thoughtseize》が4枚入っており、リソースを奪い合うゲームになる。
理由2:お互いのデッキに《検閲/Censor》が入っているので、4マナフルタップで《神秘を操る者、ジェイス/Jace, Wielder of Mysteries》を出すようなプレイはしない。コンボ前には土地が5枚以上必要になる。
理由3:お互いの勝ち手段は《真実を覆すもの/Inverter of Truth》によるコンボのみで、序盤に出して有利になるパーマネントがほとんど入っていない。
これらの理由を総合して、後攻を選んで相手よりも多くカードを引くことが重要だと考えました。
青黒インバーターのミラーマッチは先に《真実を覆すもの/Inverter of Truth》を出すと相手の《神秘を操る者、ジェイス/Jace, Wielder of Mysteries》でライブラリーアウトする危険もあり、相手の動きを見てそれに合わせて行く方が勝ちやすいです。
ただしこれはメインデッキのみの話。サイド後はお互いのデッキが最適化されて、先攻で出して強い《宝物の地図/Treasure Map》《ヴリンの神童、ジェイス/Jace, Vryn’s Prodigy》などがあるため先攻を選びました。
後攻を選ぶことはリミテッドでも良く起こることで、相手のデッキに除去が多く長期戦になるような場合にも選びます。「先攻ゲー」なんて言葉もありますが、実は同じように「後攻ゲー」もあります。盲目的に先攻を取るのではなく、後攻でカードを1枚多く引けていたら勝っていたか、ゲーム終了時に考える癖をつけていくと後攻の取り方がわかるようになります。
■おわりに
シーズン最初のイベントで結果を残すことが出来て、今後さらに練習を続けるモチベーションにも繋がりました。
今回のプレイヤーズツアーの上位者のみが出れる大会、プレイヤーズツアー・ファイナルが4月末に開催されるので、それに向けてさらに積み上げて行きます。
それではまた。