MTG │ 解説記事 │ 高橋優太【再録禁止カードについて -第3回-】
Hi,
懐かしのウルザブロック。ウルザズサーガのスターター表紙の《稲妻のドラゴン》がカッコいいですよね。
ちょうどウルザブロックからインベイジョンブロックまでがマジックのブームが来た頃であり、青春時代をカードに捧げた方も多いのではないでしょうか。
もちろん僕もその一人です。当時は某少年誌でカードゲームを題材にした漫画が流行した影響もあり、日本国内でカードゲームブームが来た時代でした。
今回はそのウルザブロックの再録禁止カードについて、S-Cの四段階で語る記事です。
ウルザブロックはマジックの歴史上でも最強と言われる、強力なカード山盛りのセット。セット全体のカードが強く、当時は安かったものでも今では信じられないほど高騰したものが沢山あります。
早速見て行きましょう。
※記事内の価格は2020年7月時点、状態がニアミントの英語版を想定したものです。
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■再録禁止カードとは
アルファからウルザズ・ディスティニーまでに収録されたカードが対象。
再録禁止に指定されたカードの再録と、それらとカード・タイプ、サブタイプ、能力、マナ・コスト、パワー/タフネスのすべてが一致するカードの印刷を禁止する。現在の再録禁止カードリストが今後更新される予定は無いと発表されている。
これはかつて第4版やクロニクルが発売されたときに、再録することでシングルカードの価格が暴落する可能性を無いとアピールするために作られたものだと言われています。
再録禁止カード一覧(MTG公式サイト)
禁止カード・制限カード一覧(MTG公式サイト)
前回までのあらすじ
■Sランク
Sランクはこれの上位互換を作るのが不可能な程に強力で、それぞれがデッキの核になるようなカードです。
レガシーやヴィンテージで良く見かけて、毎年10%から20%ほどは値上がりしています。
《ガイアの揺籃の地》
自分のコントロールしているクリーチャーの数だけ緑マナを生み出す伝説の土地、レガシーの「エルフ」デッキに採用されており、統率者でも緑のデッキならほぼ全てに入る超強力カードです。
毎年ジワジワと値上がるカードでしたが、今年5月に3万円→5万円と急上昇。統率者で需要が高まったことが影響でしょうか。
しかし5月での値上がりはまだ序の口で、なんと8月には5万円→8万円と更に上昇中!あと2回くらい変身を残していそうで怖い。
「レガシーで4枚使うデッキがある」「統率者での需要が大きい」「再録禁止」と言う高騰条件を満たしているため、今後も値下がりはしにくいと僕は考えています。
ジャッジ褒賞版のFoilも存在するのですが、そちらも高騰しており現在30万円。
こちらは市場に流通している枚数がかなり少ないため、今後は大幅に値上がりする可能性があり、欲しい方は見かけたら買う気持ちでいた方が良いでしょう。
《金粉のドレイク》
2マナで3/3飛行。戦場に出た時に相手のクリーチャー1体とコントロールを交換し、交換できない場合は生贄になる能力。
相手に3/3飛行を渡すデメリットはあるものの、2マナで相手のコントロールを奪うことが出来ます。大抵の場合は3/3飛行よりも強いクリーチャーを奪うことが出来るため、統率者で青いデッキならほとんどに採用されています。
またレガシーでも《引き裂かれし永劫、エムラクール》等の大型クリーチャーと交換出来るため、サイドボードに採用されることがあります。
現在はなんと2万円!やはり「統率者での需要が大きい」「再録禁止」が組み合わさると爆発的な値上がりが起こりますね。
《ヨーグモスの意志》
ターン終了時まで自分の墓地にあるカード全てをプレイできるようになり、その後に墓地に置かれたカードは全て追放されるソーサリー。
《Black Lotus》《暗黒の儀式》等のマナ加速再利用でマナが増えますし、《Ancestral Recall》《Time Walk》などパワー9を再利用すれば超強力。
デザイナーであるMark Rosewaterですら「これを作ったのは最大の過ち」と認めるほどのカードパワーがあり、マジック歴史上最強の呪文です。
ヴィンテージでも「パワー9級に強いのはどれか」と言った時に真っ先に名前が挙がるカードでもあります。
あまりにも強過ぎるためレガシー禁止、ヴィンテージでは制限されているカードですが、なぜか統率者では使用可能です。
使用できるフォーマットが少ないにも関わらず、「統率者での需要が大きい」「再録禁止」「強すぎる」ことで毎年値上がりしており、現在は1万5000円。
《厳かなモノリス》
2マナで設置、タップで3マナを生み出すアーティファクト。通常のアンタップステップでは起きないですが、《通電式キー》《多用途の鍵》と組み合わせればデメリットを緩和できます。
レガシーでは《古えの墳墓》から1ターン目に出すことで2ターン目に爆発的なマナ加速が出来ますし、《雲上の座》などの茶単デッキで4枚採用されています。
アーティファクトであるため、どのデッキでも採用できるマナ加速として統率者でも強力で、これもまた「レガシーで4枚使うデッキがある」「統率者での需要が大きい」「再録禁止」と言う高騰条件を満たしていますね。
現在は2万円。ただ、アーティファクトであり4枚入るカードであることを考慮するとまだ値上がり幅はありそうです。
■Aランク
Aランクは統率者の人気カードだったり、レガシーやヴィンテージのデッキで採用されるカードです。唯一無二の効果が多く、上位互換を作るのが難しいものを選んでいます。
《時のらせん》
全てのプレイヤーは墓地と手札をライブラリーに戻してから7枚ドロー。その後自分の土地を最大6枚アンタップ。ほとんど《Timetwister》と同等の性能で、土地が並んでいれば実質0マナでプレイできます。
《Timetwister》《Wheel of Fortune》と同様にこう言った「全員7ドロー」は統率者で好まれる傾向があるため、その系譜である《時のらせん》も高騰しており現在は1万円。
レガシーで《High Tide》と組み合わせて大量マナを生み出すコンボで用いられた経歴もあります。
《トレイリアのアカデミー》
自分のコントロールするアーティファクトの数だけ青マナを生み出す伝説の土地。
《Mox》系のアーティファクトを並べれば1ターン目から爆発的なマナ加速が可能で、1ターン目から2ケタマナを生み出しそれを《精神力》でアンタップする「MoMa」は環境を支配しました。
《ヨーグモスの意志》と同様に「マジック史上最大の過ち」と呼ばれる、壊れた性能を持つ土地です。
生み出すのが青マナでドローに繋がるのが強すぎるので、もしこれが他の色のマナだったらまた違ったかも知れません。
レガシーでは当然禁止、ヴィンテージでは制限、統率者でも禁止です。現在は1万円。
ヴィンテージでしか使えないにも関わらず高値を維持しているのは、再録禁止であり今後これを超える性能のカードが作れないからでしょう。
《セラの聖域》
自分のコントロールしているエンチャントの分だけ白マナを生み出す伝説の土地。
レガシーのエンチャントレスデッキで採用されており、《力線》複数と組み合わせて1ターン目から《オパール色の輝き》で攻撃するデッキも存在します。
同サイクルの《ガイアの揺籃の地》《トレイリアのアカデミー》が強すぎるためどうしても見劣りしますが、それでも「再録禁止」「レガシーで複数枚使う」ことにより需要があり、現在18000円。
《パリンクロン》
7マナ4/5飛行で、戦場に出た時に自分の土地を最大7枚アンタップ。4マナで自身をバウンス。
土地7枚から合計12マナ以上出るようにすれば、自身の出し入れの繰り返しで無限マナコンボが出来ます。土地からのマナが2倍になるエンチャント《春の鼓動》《ほとばしる魔力》等と組み合わせると良し。
統率者でのお手軽コンボでお馴染みのカードで、現在は3500円。
《記憶の壺》
これを生贄に捧げることで各プレイヤーは自分の手札を裏向きのまま追放し7枚ドロー。ターン終了時にその7枚を全て捨てて、裏向きのカードを手札に戻す効果です。
かつては《偏頭痛》とのコンボが強過ぎて、発売後45日で緊急禁止されてしまったカードでもあります。この記録は《夢の巣のルールス》の32日禁止で破られるまでは最速禁止記録でした。ルールスすごい!
もちろんレガシーで禁止、ヴィンテージでは制限。しかし統率者では使用可能で、アーティファクトなので様々なデッキで採用可能です。
《Timetwister》系譜の全員7ドロー系は統率者で好まれるため高騰中で、現在は4000円。
《アカデミーの学長》
死亡した時に自身を墓地から追放することで、ライブラリーからエンチャントをサーチして戦場に直接出す事が出来ます。
レガシーでも《陰謀団式療法》で生贄に捧げて《圧倒的輝き》をサーチするなどで使われた経歴アリ。統率者では全てが1枚投入なためこう言ったサーチ系統は重宝されます。
これも高騰しており現在7000円。新しいエンチャントが出る度に強化されるカードなので、将来性もあります。
《金属細工師》
手札にあるアーティファクトを公開して、公開した枚数の2倍のマナを生み出すクリーチャー。
デッキの大部分をアーティファクトにすれば1回の起動で10マナを生み出す事も可能。かつては《修繕》デッキのお供でしたが、除去耐性のない3マナクリーチャーなので最近はあまり使われていませんでした。
しかし再録禁止カードの全体的な高騰に伴いこのカードも上昇して、現在は1万円。使用率が高いわけではないので、ここまで上がるとは予想外でした。
ただし《金属細工師》は統率者でもかなりデッキを選ぶカードなので、一時的な高騰で収まるかも知れません。
■Bランク
Bランクは「レガシーで少数見かけるカード」「古くてコレクション性の強いカード」「たまに統率者で見るカード」です。
《練達の魔術師バリン》
パーマネントを生贄に捧げてクリーチャーをバウンスする元祖バリン。基本セット2021で《トレイリアの大魔導師、バリン》として、カードとしては20年ぶりに再登場しましたね。
コストは少し重いですが、青では珍しくサクリ台になります。(他を生贄に捧げるカードの通称)
現在は1400円。
《ラノワールの使者ロフェロス》
タップで森の数だけ緑マナを生み出すマナクリーチャー。
《金属細工師》《スランの発電機》もそうですが、ウルザズ・ディスティニーでマナ加速の適正値を計っている感がありますね。ウルザズ・サーガとウルザズ・レガシーのマナ加速は正直やりすぎだった。
伝説のクリーチャーでジェネラルに設定すると強すぎたため統率者で禁止されています。禁止なため値段は伸びず、現在は2000円。
《補充》
自分の墓地にある全てのエンチャントを戦場に戻すソーサリー。青白補充やパンデバーストと言ったデッキで時代を築きました。
《再利用の咆哮》《再拘束》など調整版が多く作られましたが、結局はオリジナル版の《補充》が最も強く、レガシーのエンチャントレスデッキで少数採用されています。
これの上位互換が作りにくいためか年々上昇し、現在は6000円。
《不実》
5マナでクリーチャーのコントロールを奪取して、戦場に出た時に自分の土地を最大5枚アンタップ。
《パリンクロン》と同じく実質0マナで唱えられる《不実》は昔からカジュアル人気の高いカードで、長らく1500-2000円を維持していました。
ここ再録禁止の値上がりに伴い上昇し、現在は4000円。統率者でも使いやすいので、今後も値段を維持して行きそうです。
《ヤヴィマヤのうろ穴》
緑マナとタップで対象のクリーチャー1体を再生する伝説の土地。
レガシーでは正直イマイチですが、統率者では自分のジェネラルを守れる土地として緑なら採用の余地あり。
現在は5500円。長年カジュアル需要のあるカードで、Foil版が3万5000円と驚くほど高いです。
■Cランク
Cランクは現在ではマイナーですが、今後に期待できると考えているカードです。
《命綱》
クリーチャーが死亡した時、他にクリーチャーがいるならターン終了時にその死亡したクリーチャーをオーナーのコントロール下で戦場に戻すアーティファクト。
各プレイヤーに効果があるため相手にも影響しますが、自分のデッキにサクリ台を多くすれば強く使うことが出来ます。
現在は2000円ですが、これにしか出来ない効果なので今後に期待。
《魂のカーニバル》
クリーチャーが戦場に出る度、自分が1点のライフを失い黒マナを加えるエンチャント。0マナクリーチャーやトークンでもカウントするため、上手く使えば1ターンで爆発的なマナ加速が出来ます。
ただしその分デメリットも凄まじく相手にクリーチャーを出されてもライフを失うため、無限コンボが達成できるタイミングで使いたいですね。
再録禁止系の中では安い方で、現在は600円。
《火薬樽》
アップキープに任意でカウンターを置くことが出来て、生贄に捧げると置いてあったカウンターのマナコストを持つクリーチャーとアーティファクトを全て破壊。
《仕組まれた爆薬》《爆発域》などのデザインの元になったカードで、かつては汎用性の高い除去として使われていました。《仕組まれた爆薬》《爆発域》と異なるのは、《天界の列柱》などのクリーチャー化した土地も破壊できる点ですね。
現在は400円。
■昔強かった系
年々クリーチャーの性能は上がっており、かつて強力で再録禁止になったクリーチャーも現在はイマイチ。
あの頃強かったクリーチャーを見て行きましょう。
《変異種》
5マナ3/3、青マナを払うと飛行、被覆、アンタップ、パンプ能力を持つ多相の戦士。
単体除去で倒されず、昔はダメージがスタックに乗ったので戦闘でも倒す事も困難。「青い悪魔」と呼ばれるフィニッシャーでした。
昔からイラスト人気の高いカードで、他の色でも「○○異種」が似たイラストで存在します。現在は900円。
《ファイレクシアの抹殺者》
3マナ5/5トランプル、ダメージを受けるとそのダメージ分のパーマネントを生贄に捧げるデメリット付き。
《暗黒の儀式》から1ターン目に出す事で相手によってはそのまま勝てる、黒を代表するカードでした。返しに《ショック》されて全てを失うのもテンプレ。
時代の波に逆らえず、現在は200円。しかし根強いイラスト人気があるため、Foilだと4000円します。
《欲深きドラゴン》
アーティファクトをコントロールしていないと生贄になる、5マナ6/5飛行のドラゴン。
Kai Buddeが世界選手権99を制した「赤茶単」で《燎原の火》で生き残るフィニッシャーとして採用されていました。
しかしこれも現在は200円。Foilだとドラゴン需要も相まって6000円します。
《マスティコア》
4マナ4/4、アップキープに手札1枚を捨てないと生贄、2マナで対象のクリーチャーに1点、2マナで再生。
手札を捨てるデメリットはキツイですが、当時はタフネス1が多く追放除去もほとんど存在しなかったため、これ1枚で盤面を制圧できるフィニッシャーで、アーティファクトなためあらゆるデッキで投入されていました。
当時4000円のトップレアでしたが、クリーチャー性能の上がった現在では300円。
時の流れは残酷だ。
■おわりに
ウルザブロックはあまりの強さに、デザインした開発陣が社長室に呼ばれたと言う逸話があります。
しかし強すぎるカードの方が記憶に残りやすく、ウルザブロックを好きなプレイヤーも多いでしょう。再録禁止以外でも《実物提示教育》《騙し討ち》などはまだまだレガシー現役で、ウルザブロックは本当に層が厚い。
今回は高騰したカードに注目しつつ、懐かしのカードを振り返る記事でした。反響があれば、再録禁止以外でも過去のカードを振り返る記事も書いて行こうかなと思います。
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それではまた。
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