MTG │ 攻略記事 │ 高橋優太【パイオニアメタゲーム考察】
Hi,
12月17日のパイオニア禁止改定で大きな変化がありました。
パイオニア禁止制限告知:《王冠泥棒、オーコ》・《運命のきずな》が禁止に。次回の禁止改訂は2020年1月6日
ついにオーコが禁止!
オーコは歴代最強のプレインズウォーカーであり、今やどの環境にもオーコデッキが跋扈しています。
特にパイオニアでは《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》からのオーコを防ぐ手段が限られており、大会上位デッキの半分がシミックフードランプという閉塞した環境になっていました。
そして《運命のきずな/Nexus of Fate》も禁止。
シミックネクサスはシミックフードランプの次に高い勝率で、なおかつ長いゲーム時間をかけながら無限ターンに入るストレスを与える事から禁止されました。
パイオニア発表から続いていた禁止改定もここでようやく一区切りと言ったところでしょうか。
これによりメタゲームがどう変化していくか考えて行きます。
※ラッシュメディア記事内紹介のカードは
カード名のリンク、記事末尾のバナーを
クリックで通販サイトへアクセスできます
通販サイト(https://www.cardrush-mtg.jp/)
■黒単アグロ
4《血に染まりし勇者/Bloodsoaked Champion》
4《どぶ骨/Gutterbones》
4《漆黒軍の騎士/Knight of the Ebon Legion》
4《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger》
4《残忍な騎士/Murderous Rider》
3《悪ふざけの名人、ランクル/Rankle, Master of Pranks》
2《騒乱の落とし子/Spawn of Mayhem》
4《思考囲い/Thoughtseize》
4《致命的な一押し/Fatal Push》
3《闇の掌握/Grasp of Darkness》
15《沼/Swamp》
4《ロークスワイン城/Castle Locthwain》
4《変わり谷/Mutavault》
1《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》
サイドボード
4《強迫/Duress》
4《害悪な掌握/Noxious Grasp》
4《生命散らしのゾンビ/Lifebane Zombie》
3《ゲトの裏切り者、カリタス/Kalitas, Traitor of Ghet》
以前の記事でも紹介した黒単アグロ。安定したマナベースと、《思考囲い/Thoughtseize》《致命的な一押し/Fatal Push》という最高級の妨害呪文。《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger》など後半でも能力を活かせるクリーチャーで粘り強く戦えます。
《密輸人の回転翼機/Smuggler’s Copter》は禁止されたものの、黒単はもともと《夏の帳/Veil of Summer》《王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crowns》が禁止される前からシミックフードと渡り合っていた強いデッキ。オーコ禁止後のパイオニアでは、黒単がメタゲームのスタート地点になることが予想されます。
《密輸人の回転翼機/Smuggler’s Copter》だったスロットは、最近では《闇の掌握/Grasp of Darkness》に入れ替わっていますね。マイナス修正なので、《熱烈の神ハゾレト/Hazoret the Fervent》など破壊不能クリーチャーも除去できるのが強み。
オーコは禁止されたものの、緑単信心やバント等の緑デッキは健在。《生命散らしのゾンビ/Lifebane Zombie》はそれらへのサイドボード候補として良さそうです。
■青白コントロール
3《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》
2《覆いを割く者、ナーセット/Narset, Parter of Veils》
2《思考を築く者、ジェイス/Jace, Architect of Thought》
3《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria》
4《選択/Opt》
2《神聖な協力/Blessed Alliance》
4《アゾリウスの魔除け/Azorius Charm》
2《中略/Syncopate》
4《吸収/Absorb》
3《排斥/Cast Out》
4《至高の評決/Supreme Verdict》
2《時を越えた探索/Dig Through Time》
6《島/Island》
5《平地/Plains》
4《神聖なる泉/Hallowed Fountain》
4《氷河の城砦/Glacial Fortress》
2《ヴァントレス城/Castle Vantress》
2《アーデンベイル城/Castle Ardenvale》
1《廃墟の地/Field of Ruin》
1《ガイアー岬の療養所/Geier Reach Sanitarium》
サイドボード
2《安らかなる眠り/Rest in Peace》
2《黎明をもたらす者ライラ/Lyra Dawnbringer》
1《太陽の勇者、エルズペス/Elspeth, Sun’s Champion》
3《霊気の疾風/Aether Gust》
1《神秘の論争/Mystical Dispute》
1《厚かましい借り手/Brazen Borrower》
1《覆いを割く者、ナーセット/Narset, Parter of Veils》
3《ドビンの拒否権/Dovin’s Veto》
1《真髄の針/Pithing Needle》
打ち消しと全体除去で場をコントロールし、プレインズウォーカーの奥義で勝利を目指すデッキです。
《至高の評決/Supreme Verdict》はパイオニアのカードプール全体を見ても最も優秀な全体除去。《神の怒り/Wrath of God》も《滅び/Damnation》もない環境なので、《至高の評決/Supreme Verdict》を使える事こそが青白コントロールを使う理由になっています。お馴染み《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》の[+1]との組み合わせで、相手ターンにも全体除去できます。
《思考を築く者、ジェイス/Jace, Architect of Thought》の[+1]能力はクリーチャーの横並べに強く、1/1トークンを無力化。
黒いデッキ相手には、《残忍な騎士/Murderous Rider》されても良いように出したターンに[-2]から入ることも多いです。打ち消しと除去でプレインズウォーカーたちを守り、最終的には《思考を築く者、ジェイス/Jace, Architect of Thought》《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria》の奥義で勝利します。
多くのリストでは《吸収/Absorb》が4枚採用されていますが、ここには少し疑問が残ります。打ち消し呪文は2マナが望ましいですが、2マナの候補は《否認/Negate》《ドビンの拒否権/Dovin’s Veto》《検閲/Censor》とどれも限定的であり、状況を選ぶことが多い。
確かにアグロデッキを考えると3点回復は強いですが、トリプルシンボルなので3ターン目に撃つためにはマナベースに大きな負担をかけます。
《吸収/Absorb》を多く入れると、無色マナの土地を採用しにくくなるのも難点。《吸収/Absorb》は2枚くらいで、《神秘の論争/Mystical Dispute》などマナシンボルの薄い打ち消し呪文と散らす方が良いのかなと考えています。
黒単アグロの粘り強さを支えているのが《変わり谷/Mutavault》で、青白コントロールはこの《変わり谷/Mutavault》を苦手とします。《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》《覆いを割く者、ナーセット/Narset, Parter of Veils》が《変わり谷/Mutavault》の攻撃により落とされやすいのが理由です。
そのため相手の《変わり谷/Mutavault》と相討ちするために自分も《変わり谷/Mutavault》、もしくは《廃墟の地/Field of Ruin》を複数採用したい所。
青白コントロールのマナベースは、《吸収/Absorb》の枚数含め要検討です。
■バントスピリット
4《霊廟の放浪者/Mausoleum Wanderer》
4《無私の霊魂/Selfless Spirit》
4《鎖鳴らし/Rattlechains》
4《至高の幻影/Supreme Phantom》
2《厚かましい借り手/Brazen Borrower》
4《天穹の鷲/Empyrean Eagle》
2《拘留代理人/Deputy of Detention》
4《呪文捕らえ/Spell Queller》
2《呪文貫き/Spell Pierce》
2《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》
4《集合した中隊/Collected Company》
4《氷河の城砦/Glacial Fortress》
4《植物の聖域/Botanical Sanctum》
4《繁殖池/Breeding Pool》
4《神聖なる泉/Hallowed Fountain》
4《寺院の庭/Temple Garden》
2《島/Island》
2《平地/Plains》
サイドボード
2《悔恨する僧侶/Remorseful Cleric》
2《神秘の論争/Mystical Dispute》
2《至高の評決/Supreme Verdict》
2《アゾリウスの造反者、ラヴィニア/Lavinia, Azorius Renegade》
3《反射魔道士/Reflector Mage》
2《ドロモカの命令/Dromoka’s Command》
2《秋の騎士/Knight of Autumn》
《霊廟の放浪者/Mausoleum Wanderer》は相手の動きを制限し、《鎖鳴らし/Rattlechains》で除去から守ります。《天穹の鷲/Empyrean Eagle》が実はスピリットなので、8枚のロード体制でパイオニアでもバント・スピリットが実現しました。
テフェリーの常在型能力「自分がソーサリーを唱えられるときにのみ呪文を唱えられる」は《呪文捕らえ/Spell Queller》と相性が良いです。相手の呪文を《呪文捕らえ/Spell Queller》で追放した状態で場に《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》が自分の場にあると、たとえ《呪文捕らえ/Spell Queller》が除去されても追放した呪文は唱えられなくなります。
《集合した中隊/Collected Company》デッキは通常26枚以上のクリーチャーが必要なので、これまでインスタントやソーサリー呪文が採用しにくいという欠点がありました。
しかし《厚かましい借り手/Brazen Borrower》がその悩みを解決。3マナの飛行クリーチャーとしても及第点で、クリーチャーの枚数を崩さずにバウンスが出来るようになりました。ただスピリットでは無いので、2枚が適正かなと。
「打ち消されない」《至高の評決/Supreme Verdict》はバントスピリットにとって苦手なカードですが、《無私の霊魂/Selfless Spirit》なら《至高の評決/Supreme Verdict》からも味方を守れます。青白コントロール対策として、バントスピリットだけでなく色々なデッキで《無私の霊魂/Selfless Spirit》は使われそう。また、自分の《無私の霊魂/Selfless Spirit》を起動しつつ《至高の評決/Supreme Verdict》を使えば、相手のクリーチャーだけ破壊できます。
■おわりに
まずは黒単アグロ、次に青白コントロール。それらを追う形で他のデッキが出てくるでしょう。現在のクリーチャー達の選択がタフネス1に寄っているため、《ゴブリンの鎖回し/Goblin Chainwhirler》デッキが台頭する可能性もあると思います。
プレイヤーズツアー名古屋まであと1か月。パイオニアに本腰入れて練習していくので、またメタゲームの変遷を追って書いて行きます。
それではまた。