MTG │ 大会レポート │ 井川良彦【8月の3フォーマット・トライアスロン編】
皆さんこんにちは。Rush Prosの井川です。
次の僕の目標は10月末の世界選手権なので、7-8月はゆるふわ期間。フォーマット問わず好きな大会に出たり、友だちとドラフトに興じたりとカジュアルマジックを満喫しています。
8月はスタンダード、モダン、レガシーと3フォーマットの大型大会に参加しましたので、その簡易レポートと調整について書いていこうと思います。
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■スタンダード:ジャパンオープン
まずは8/11-12に開催されたジャパンオープン。
発売後から時間も短かったので、使い慣れたドメインに決め打ちで調整を開始しました。ハツカネズミやトカゲも考えましたが、脳内でゴルガリやボロスに勝てる気がせず断念。。。
世に回っているリストや配信を見ていて気になる点が2点ありました。
①:《寓話の小道》がないとドメインは回らないのか?
一般的なリストは「諜報土地10枚+《寓話の小道》4枚」ですが、これは要するに「3ターン目まで確定タップインの土地が14枚」ということです。
僕がPTサンダージャンクションで使ったときのリストはトライオームが13枚。これですら当時一般的だった12枚より1枚多くてかなりギリギリだったのに、14枚は正直耐えられません。3ターン目まで全部タップインすらありえる数字です。
また、単色フェッチがドメインランプとして単純に強くないというのもあります。
確かに最終的に5種類の基本土地タイプを揃えたいですが、最初に揃っている必要はありません。そうなると単純に単色しか出ない《寓話の小道》は色事故、タップイン事故の要因になりがちなのです。初手に複数枚ある場面を想像してみてください。
②:《一時的封鎖》は本当にメインに必要なのか?
コレも当たり前のようにメインに搭載されているカードですが、個人的にはかなり狭いカードという認識です。
ボロス/ジェスカイ召集にはクリーンヒットしますが、オルゾフやゴルガリは3-4マナも強力なので効果は低いです。相手が先手で2マナ→3マナと動かれた返しに《一時的封鎖》をしたいですか?《グリッサ・サンスレイヤー》に対してはプレイすることすら憚られます。
黒系ミッドレンジには《豆の木をのぼれ》での継戦能力が重要で、そこと噛み合いが悪いのもマイナス。僕がプロツアーで使ったときは、《一時的封鎖》をサイドインするマッチ=早くて置く余裕がないマッチということで、常に《豆の木をのぼれ》をサイドアウトしていました。
強力である3-4マナ域に触れない《一時的封鎖》より、確実な全体除去を使うべし!ということで僕は《証人隠滅》を採用しました。
気になった上記2点を主に変更しつつ、最終的に使ったのはこちら。気になった点を修正しつつ、自分なりに納得したリストになりました。
《完成化した精神、ジェイス》だけ不満ですが、これはミラーを見るうえで仕方ないかな。ジェイスなしの60枚がベストでしたが、抜きたいカードもなかったので61枚でサブミットしました。
・デッキリスト
一応ラダーの成績はこんな感じでした。ブロンズスタートなので参考程度ですが、少なくとも《寓話の小道》がなくてもデッキがちゃんと回る証左ではあると思います。
ちなみに負けた3敗はグルール果敢、青黒コントロール、グリクシス《多元宇宙の突破》。納得。
★大会結果
R1 アゾリウスミッドレンジ ◯◯
R2 グルールアグロ ◯◯
R3 ゴルガリミッドレンジ ◯◯
R4 ボロスミッドレンジ ×◯◯
R5 グルールアグロ ××
R6 赤単ミッドレンジ ◯◯
R7 アブザンランプ ××
R8 ゴルガリミッドレンジ ◯◯
R9 ボロスミッドレンジ ××
6-3で初日突破。
ボロスミッドレンジは初めて当たりましたが、メイン不利・サイド後有利って感じでした。こちらの《豆の木をのぼれ》《偉大なる統一者、アトラクサ》と《世話人の才能》でアドバンテージ勝負をしてきつつ、勝ち手段を《一時的封鎖》《太陽降下》で完封されるのでメインは厳しいです。ただサイド後は《否認》《温厚な襞背》が強く、ドメイン側が有利に戦えるなという印象です。
ジェスカイコントロール ◯×◯
アブザンコントロール ×◯×
とトップ32で敗退しました。
デッキの調整自体は手応えありましたし、ドメインの中では良いリストに仕上がったと思いますので個人的には十分満足です。トライオームがなくなっても、やっぱりドメインは強かった!!
ただドメインが今後も勝てるかというと疑問ではあります。
アブザンランプ/コントロールという、自分より重い《死人に口無し》デッキが現れたのは明確にマイナスだからです。
実際にジャパンオープンでも2回当たって2回完敗。同じ除去+フィニッシャーという方向性ならドメインに強い分向こう側の方が明確に良いと思いますので、次に大会に出るなら篠原くんのアブザンランプをベースにした形を調整して使いたいですね。
■レガシー:BIG MAGIC OPEN LEGACY
次は先週末に開催されたBMOレガシー。
年末に開催されたエターナルパーティ以来のレガシー。せっかく出るなら現状の圧倒的Tier1であり、すぐにでも禁止になりそうなデッキを使おう!ということで青黒リアニメイトに決まりました。モダンのナドゥもそうですが、使えるデッキは旬のうちに使っておいた方が楽しいですし、良い経験になりますからね。
※8/22撮影。一時期はリアニメイトが30%越え、2番手ですら1桁という見たことないような地獄絵図でした。
goldfishでリストを眺めて、適当にいじったリストで突貫!翌日のモダンの方にリソースを割いていたこともあり、ノー練習で突撃です。
・デッキリスト
BIG MAGIC OPEN レガシー by井川良彦 | |
---|---|
デッキリスト | |
1:《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》 1:《島/Island》 1:《霧深い雨林/Misty Rainforest》 4:《汚染された三角州/Polluted Delta》 1:《沸騰する小湖/Scalding Tarn》 1:《沼/Swamp》 1:《地底街の下水道/Undercity Sewers》 4:《Underground Sea》 3:《不毛の大地/Wasteland》 18 lands 4:《超能力蛙/Psychic Frog》 |
4:《渦まく知識/Brainstorm》 1:《闇の裏切り/Dark Betrayal》 4:《納墓/Entomb》 3:《目くらまし/Daze》 4:《意志の力/Force of Will》 4:《思案/Ponder》 4:《再活性/Reanimate》 4:《動く死体/Animate Dead》 28 other spells 2:《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》 |
上位にいけば行くほど《超能力蛙》デッキ祭だと思った&ミラーで出た大型を《厚かましい借り手》でしか触れないのが嫌だなと思ったので、メインに1枚だけ《闇の裏切り》を採用。
腕に自信がないときはこういう尖ったカードに頼りましょう。
★大会結果
R1 グリクシスデルバー ◯×◯
R2 グリクシスデルバー ◯◯
R3 青黒リアニメイト ◯××
R4 青黒リアニメイト ◯◯
R5 青黒リアニメイト ××
R6 エルドラージ ◯×◯
R7 エルドラージ ◯◯
R8 スニーク・ショー ◯◯
R9 《鏡に願いを》コンボ ◯×◯
7-2でトップ32入賞!
リストがちょっと適当過ぎて、ミラーに弱くなっていたのが主な敗因ですね。(ミラーで2敗)
上位はみんな《未認可霊柩車》や《オークの弓使い》がサイドに入っていて、羨ましかったです。
大会通して実感したのは、レガシーにおける《超能力蛙》の強さです。
もちろん青黒テンポやグリクシスデルバーなどでも十分過ぎるほど強いカードなのですが、青黒リアニメイトで使う《超能力蛙》は別格ですね。
古来のリアニメイトはサイド後の墓地対策に対しては ①割ったりハンデスしたりして墓地対策を対処する ②《実物提示教育》や《要塞の計略》のように別角度から踏み倒す で、結局は重いところで勝つしかなかったのですが(《ダウスィーの虚空歩き》《オークの弓使い》入ってからまた少し変わりましたが)、《超能力蛙》は相手の対策を無視して1枚で勝てるパワーカードです。
しかもメインプランとも相性が良く、《意志の力》《悲嘆》両方のコストになるという最高っぷり。
まだ『モダンホライゾン3』が出て間もないですが、《レンと六番》をすぐに禁止したように、次回の禁止改定で禁止になってもなんら不思議はないなと思います。
それぐらいこの青黒リアニメイトは強いですし、《超能力蛙》というカードがひたすら強いなと実感しました。
■モダン:BIG MAGIC OPEN チームモダン
そして最後はチームモダン。
MSD内でチームモダン出場希望者を募って、ダイスを振った結果、今回のチームメイトはあんちゃんと加茂くんに決定!
(もう一方のチームは市川、行弘、平山チームになりました)
あんちゃんがディミーアマークタイドのマスターなので彼にはそのまま使ってもらい、残りのデッキは加茂くんと相談。
最初は加茂くんのエネルギーの知見を生かして「加茂:ボロスエネルギー 井川:ナドゥ」にしようかと思いましたが、エネルギーがボロスだと不安(《致命的な一押し》はあんちゃんが使っているので不可)。
そんな時、ちょうどストームがMagic Online上で勝ち始めていたので、「加茂:ナドゥ 井川:ストーム」に変更し、これで行くことにしました。
プロツアーのレポートでも書きましたが、僕はプロツアー調整時にストーム担当で元々やり込んでいたので知見が生かせます。その上でMagic Onlineや予選をストームで勝っていた石渡くんの記事を購入して勉強。さらに同じく別チームでストーム担当になった市川くんと情報交換をしつつ、最終的には以下のリストで落ち着きました。
・デッキリスト
BIG MAGIC OPEN チームモダン by井川良彦 | |
---|---|
デッキリスト | |
4:《乾燥台地/Arid Mesa》 2:《商業地区/Commercial District》 1:《焦熱島嶼域/Fiery Islet》 2:《宝石の洞窟/Gemstone Caverns》 4:《山/Mountain》 1:《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》 4:《樹木茂る山麓/Wooded Foothills》 18 lands 4:《モンスーンの魔道士、ラル/Ral, Monsoon Mage》 |
4:《捨て身の儀式/Desperate Ritual》 4:《魔力変/Manamorphose》 4:《発熱の儀式/Pyretic Ritual》 2:《ヴァラクートの覚醒/Valakut Awakening》 2:《一攫千金/Strike It Rich》 4:《無謀なる衝動/Reckless Impulse》 4:《レンの決意/Wrenn’s Resolve》 4:《不可能の一瞥/Glimpse the Impossible》 3:《願い/Wish》 3:《炎の中の過去/Past in Flames》 4:《ルビーの大メダル/Ruby Medallion》 38 other spells 1:《炎の斬りつけ/Flame Slash》 |
石渡くんの影響もあり《願い》2:《炎の中の過去》4のリストが増えつつありますが、僕は試した結果3:3に落ち着きました。
メインの勝率(=コンボの達成速度)は確かに《炎の中の過去》4の方が安定するのですが、問題はサイド後です。様々なデッキから墓地対策はされるので《炎の中の過去》は減らすことになりますし、そうなると《願い》にかかる比重が高くなります。2T《レンの決意》で追放されようもんなら、あと1枚だけで勝たなければいけなくなったりして、一気に勝つためのハードルが上がるなと感じました。
《願い》3枚であればある程度対処札=シルバーバレット戦略として1枚使っても良いですし、《電位式リレー》でリソース回復/次のターンの準備に使っても良いので、僕は3:3派です。
長い間否定派でしたが、4枚目の《夏の帳》よりは良いなと思い採用。特に僕は《願い》3枚型なので、サーチ先として優秀というのもあります。
実際本番でも、エルドラージトロン相手の先手で2T《ルビーの大メダル》→3T《捨て身の儀式》から《願い》《血染めの月》で一度封じ、3Tに《炎の中の過去》から《巣穴からの総出》で勝ちました。こういう勝ち方ができるのも《血染めの月》だったり《巣穴からの総出》の利点ですね。
★大会結果
R1 スゥルタイマークタイド ◯◯ チーム◯
R2 エルドラージトロン ◯◯ チーム◯
R3 ストーム ◯◯ チーム×
R4 ネオブランド ◯×◯ チーム◯
R5 ナドゥ ◯◯ チーム◯
R6 エルドラージトロン ◯×◯ チーム◯
R7 エルドラージトロン ×◯× チーム◯
R8 ヨーグモス ◯×× チーム×
最終戦段階でチーム成績6-1でしたが、オポが低くてIDできず→負け!トップ8入賞を逃しました。
2キル3キル連打で一日ノリノリだったのですが、最終戦でライフ管理を怠った結果、ラストターンに《力線の神童、ラル》で変身するまでにスペルを6枚プレイしたら、5/6でダイスを外して5点食らって敗北。。。かなりの下ブレですが、防げた負け方だったので反省です。勝ちたかったー!
ストームというデッキはナドゥに対して五分程度戦えますし、《減衰球》などのサイドボードが少し甘くなりやすいチーム戦では良い選択だったと思います。何より使ってて楽しいのがいいですね。またモダンのトーナメントに出るときがあったら、ストームをブイブイ回したいです。
久しぶりに会う友人も多く、やはりチーム戦はリアルマジックの華だなと再認識した一日でした。
組んでくれたあんちゃんと加茂くん、そして開催してくださったBIG MAGICの皆さんに感謝!!
■終わりに
どれも単体の記事にするにはボリューム不足だなと思っていたので、まとめて書いてみました。
取り留めのない内容にはなりましたが、各デッキ/フォーマットとも要点だけは書けたかなと思うので参考になれば嬉しいですね。
9月は世界選手権に向けてスタンダードの助走をしつつ、スタンダード神やパイオニア神に出場しようかなと思っています。大会出るの楽しいですしね。
そんなところで今回はここまで。また次回の記事でお会いしましょう!