MTG │ デッキ紹介│ 井川良彦【世界選手権で感銘を受けたスタンダードのデッキたち】
皆さんこんにちは。Rush Prosの井川です。
第29回マジック世界選手権、熱かったですね!!!日本勢の小坂さんの奮闘も素晴らしかったですし、これまで優勝を逃し続けてきたDeprazがついに栄冠を手にしたのも個人的にはかなり嬉しい&感慨深かったです。2年前にあんちゃんに破れたDeprazが《フェアリーの黒幕》を使って優勝。なんてドラマチックなんでしょう!
世界トップの100+名が参加した世界選手権、創意工夫が見られたデッキが多数ありました。そんな中でも個人的に感銘を受けたデッキたちを今回は紹介していきたいと思います!
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★デッキ紹介
◎アゾリウス兵士 by Simon Nielsen
【インポートデータ】
世界一のチームと名高いTeam Handshakeが持ち込んだデッキの一つがアゾリウス兵士。
《毅然たる援軍》《微風の歩哨》《かき消し》といった軽くて瞬速で動けるカードでクロック・パーミッションを仕掛けつつ、最終的には《先兵の飛行士、ハービン》で大ダメージを与えて勝利するデッキです。
このHandshake製のアゾリウス兵士が画期的なのは、デッキ名でもある「兵士」の中核であった《雄々しい古参兵》がなんと0枚になっているところ!!!
・《先兵の飛行士、ハービン》でのワンショットを決めるには、しっかりとリソースを稼いで並べる必要がある
・そのためには《イーオスの遍歴の騎士》を安定してプレイできるよう、1マナ域を増やす必要がある
・プレイアブルな1マナ域として《月皇の古参兵》を使いたい
・そうなると兵士の含有率が下がるので、《雄々しい古参兵》を排し、同様に並べたときに強いカードとして《威厳あるバニコーン》を採用
といった過程を経てこのリストになったのではないかと予想されます。兵士デッキから兵士成分を減らしてデッキの安定性を上げようという発想はお見事!
前回モダンPTでの《彩色の星》&《森の占術》を減らしたトロンといい、Handshakeの既存リストに捕らわれない柔軟な発想は本当に凄いですね。デッキを調整する上で、こういった姿勢は見習いたいなと実感しました。
◎バントコントロール by Greg Orange
【インポートデータ】
コントロールフリークとして知られるGreg Orangeが世界選手権に持ち込んだのは、アドバンテージソースとして《豆の木をのぼれ》を採用したバントコントロール!!
近年のコントロールといえば《記憶の氾濫》を軸にしたリストが多かったですが、《記憶の氾濫》の枚数を最小限に抑え、ひたすら《豆の木をのぼれ》で手札を補充する構成になっています。
序盤を支えつつ後半も腐らないカードとして採用されているのがこの2枚。どちらも「X」を含むため、後半は余ったマナを注ぎ込むことによりマナ総量を5以上にし、《豆の木をのぼれ》を誘発させる=ドローが付いてくるという優れものです。実際にフィーチャーマッチでは複数枚の《豆の木をのぼれ》がある状態でこれらをプレイしまくり、手札が7枚を超えるなんてシーンもありました。
除去兼フィニッシャーとして『エルドレインの森』の新カードが使われているのも良いですね。序盤の除去を兼ねるフィニッシャーは唯一無二の存在であり、「序盤は捌いたけどフィニッシャーは引けなかった」「フィニッシャーばかり引いて耐えることができなかった」といったコントロールあるあるの負け筋を減らしてくれています。
◎シミック大釜コンボ by Alexey Paulot
【インポートデータ】
前回モダンの記事でも紹介した《アガサの魂の大釜》。スタンダードでも無限コンボデッキの中核として活躍しています。この世界選手権では青単と青緑の2タイプがありましたが、今回僕が取り上げるのは青緑バージョンの方です。
コンボの基本はこの2種を戦場および墓地に1枚ずつ揃えて、片方を《アガサの魂の大釜》に突っ込むこと。これにより「タップで3マナ以上出る」→「2マナでアンタップ」という状態になり無限マナになります。(両方を《アガサの魂の大釜》に突っ込んでから適当なクリーチャーに+1カウンターを置くのでもOK) その無限マナを《王国焦がしのヘルカイト》の能力に注ぎ込んで無限ダメージ!
とにかくライブラリーを掘り進めることが大事なので、これでもかと採用されているカードたち。特に《希望の種子》や《レンと次元壊し》は他のデッキでは中々採用されているところを見ない、このデッキならではのカード採択といえます。
《傲慢なジン》を使用したいわゆる青単のサイドボードではおなじみでしたが、この疑似除去がメイン採用されているのはメタゲームを読み切ったからこそといえるでしょう!《アガサの魂の大釜》を使う以上、墓地を対象に取れなくなる《敬虔な新米、デニック》はまさに天敵であり、その《敬虔な新米、デニック》を使用するエスパーミッドレンジ/レジェンズの隆盛を読み切ってのメイン採用です。
発売からほぼ丸一年日の目を見なかったカードたちが採用されているのも面白いですね!この2枚の能力を完全に覚えている人は果たしてどれだけいるのでしょうか。
切削がデッキに噛み合っているからこその採用。またこういったマイナーカードを見逃さずに使える調整力。素晴らしいですね。
◎ラクドスサクリファイス by Benton Madsen
【インポートデータ】
一時期はよく見かけていたものの、最近はめっきり見なくなっていたスタンダード版のラクドスサクリファイス。
じっくり戦いつつもライフを詰めていくのが信条のデッキですが、『エルドレインの森』の新戦力で大きく強化されています。
まずは《食事を終わらせるもの、ジンジャー卿》。血トークンや《鬼流の金床》の構築物トークンなどのアーティファクトが墓地に行くたびにサイズが上がるので2マナクリーチャーとは思えないサイズまで上がることもしばしば。プレインズウォーカーがいる際の常在型能力も《放浪皇》を落とすのには最適です。
そしてなんといっても《擬態する歓楽者、ゴドリック》。「祝祭」を達成しやすいデッキなので、ほぼ毎ターン4/4飛行ドラゴンとして相手を攻撃することが可能になっています!地上を《鬼流の金床》でシャットアウトしつつ、制空権をこのカードで勝ち取りましょう。
サイドボードに目を向けると、このデッキならではのカードがありますね。赤単・白単のようなアグロに対して、そして《婚礼の発表》へのカウンターとして最適な1枚。
3マナでのインスタント全体除去(!)はこのカードが環境唯一でしょう。見事な採択です。
◎スゥルタイフェアリー by 八十岡 翔太
【インポートデータ】
『エルドレインの森』で復活したフェアリー。手札破壊、単体除去などを駆使して相手を捌きつつ、ダメージレースを制して勝つようにデッキがデザインされています。
このデッキは、なんと言ってもミシュラランドのためだけに緑をタッチしているのが凄い!!!
青黒2色で組むと《ミレックス》か《ミシュラの鋳造所》しか使えず、消耗戦の末相手のミシュラランドに苦労したり、どうしても最後詰めきれずに版図ランプに逆転されてしまうこともありました。そんな弱点を克服するために、ミシュラランドだけ足すという逆転の発想!!
これもスタンダードやエクステンデッドで《変わり谷》《忍び寄るタール坑》といったミシュラランドが入ったフェアリーデッキを使い続けた八十岡選手ならではの発想ですね。
■終わりに
今回は成績に関わらず、デッキリストを見て個人的に感銘を受けた=自分にない発想だったデッキを特集してみました。
やはりトップオブトップが集結した世界選手権、珠玉のプレイヤー&デッキが揃っており最高の大会ですね。来年は自分自身も出場できるよう、地域予選からしっかり頑張っていきたいなと改めて感じました。勝つぞ!!!
今の店舗予選シーズンはモダンが中心、常滑の地域予選はパイオニアとスタンダードが好きな人にとっては少し寂しい時期が続きますが、どうやら10月のアリーナ予選のフォーマットがスタンダードのようですので、そこに向けてまたガンガンプレイしていきたいですね。
それでは今回はここまで。
また次回の記事でお会いしましょう!