MTG │ デッキ紹介 │ 井川良彦【アゾリウスヨーリオン(エクスプローラー)】
皆さんこんにちは。Rush Prosの井川です。
前回のニューカペナチャンピオンシップが終わり、現状の目標は皆無。Magic Onlineでヴィンテージキューブをちょっと遊ぶ程度で、最近はガチなマジックからは離れた生活をしていました。
そこで迫るは、トータルでたった32名しか招待されたないという狭き門、アリーナチャンピオンシップ予選。1回の予選につき1-2人程度しか突破者をTwitterで見かけない=圧倒的な難易度を誇るため最初はそこまでやる気なかったのですが、「ここで真剣にやらないとプレイヤーとしてヤバいだろ!」と思って一念発起。重い腰を上げて1週間弱エクスプローラーを練習しました。
残念ながら結果はダメダメでしたが、過程も大事。ということで今回は実際に使用したアゾリウスヨーリオンについて徒然と書いていこうと思います。
パイオニアとも被っている部分があるので、パイオニアのアゾリウスヨーリオンにも多少は流用できる点もあるかもしれませんね。それではどうぞ!
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■今回の調整はアゾリウスヨーリオン一本に絞りました
今回の予選で使用したデッキは前述の通りアゾリウスヨーリオン。というより練習過程も含めてコレしか回していません。
ヒストリックで同デッキを使ったこともあり経験値は十分。パイオニアと比べても《至高の評決/Supreme Verdict》以外はほぼ戦力ダウンなしで使えるということでデッキパワーも保証。さらに僕自身はコントロール好き。と文句ない状態でのスタート。
最初は他のデッキも回してみる予定だったのですが、ラダーの調子も手応えもそれなりによく、さらにはポジションも良さそうということで他デッキに乗り換える理由も特に見いだせず。結局プラチナ4からミシック到達後も微調整を繰り返しながら回し続けました。
■使用したデッキリストについて
今回使用した最終的なリストはこちら。
微調整をしながらラダーを計70マッチ行いましたが、メインについてはカウンターと土地バランスの数枚以外はほぼずっと(60マッチ以上)固定でした。回していて違和感/不満がなかったというのが一番の理由ですが、今回のように基本的に強くてある程度完成されているデッキの場合は、大きく変えることがマイナスに働くことも多いです。
とはいえいくつかポイントがありますので、採用したカード、採用しなかったカードについて簡単に解説していきます。
パイオニアでは史上最強レベルの《神の怒り/Wrath of God》である《至高の評決/Supreme Verdict》がありますが、エクスプローラーではまだ採録されていないためこのラス枠は基本的に《集団失踪/Depopulate》と《空の粉砕/Shatter the Sky》との二択になります。
結論から言うと、圧倒的に《集団失踪/Depopulate》が上です。《至高の評決/Supreme Verdict》が出るまではラス枠は基本的にコレを使いましょう。
環境のアグロデッキが赤単・青単・緑単・セレズニア天使・セレズニア人間といった単色/準単色なので《集団失踪/Depopulate》で引かれるケースは限られてきます。
ラクドスの《税血の収穫者/Bloodtithe Harvester》が多分もっともよく出される多色かつパワー3以下のクリーチャーですが、実際にプレイしているとラクドスの《税血の収穫者/Bloodtithe Harvester》に全体除去を打つケースは多くありません。《砕骨の巨人/Bonecrusher Giant》や《墓地の侵入者/Graveyard Trespasser》を《鏡割りの寓話/Fable of the Mirror-Breaker》と合わせて流すケースが一番多いので、ラクドスだけ見ても《集団失踪/Depopulate》の方が優秀です。Don’t Play 《Shatter the Sky》!
ラス枠ということで一応こちらにも言及。赤単系に速攻クリーチャーが多いこと、緑単/天使/人間の各アグロが《集合した中隊/Collected Company》から攻めてくる&サイドに《タミヨウの保管/Tamiyo’s Safekeeping》《英雄的介入/Heroic Intervention》を採用している可能性を考えて、追加のラス枠は久しぶりに《残骸の漂着/Settle the Wreckage》を採用しました。
セレズニア人間には《精鋭呪文縛り/Elite Spellbinder》で裏目るパターンもあるので一長一短ですが、今回はアリーナ予選=デッキリスト非公開制という強みも活かせるだろうという姑息な狙いもあります。
ミラーマッチ、ラクドス、ジャンド、変身系などなど様々なデッキに対してサイドインできる、ロングゲームの王。《空を放浪するもの、ヨーリオン/Yorion, Sky Nomad》との相性が良いのも嬉しいですね。
サイドインする相手が多いとはいえ、それはあくまでお互いの無駄牌がなくなり必然的に消耗戦=ロングゲームを強いられるサイド後のゲームだからこそ強力なのであって、よほどメタが偏らない限りはメインには不要だと考えています。
今回練習をする前、そして予選後も含めて結構な数のアゾリウスヨーリオンのリストを見ましたが、《神秘の論争/Mystical Dispute》を4枚採用していない人がほとんど。甘い、甘すぎる。
ミラーマッチも欲しいですが、何よりも欲しいのが対青単スピリット!基本的には不利マッチであるこのマッチアップに食らいつくためにも、まずは《神秘の論争/Mystical Dispute》を4枚採用するところからスタートしましょう!
採用を見送った枠。イゼットフェニックスがメタ上位にいるパイオニアと異なり、墓地を利用するデッキがパルヘリオンしかおらず、さらにエスパー型のパルヘリオンはサイド後墓地の依存度を下げてミッドレンジとして戦ってくることが多いので、真に墓地対策が必要なのはマルドゥ型のパルヘリオンのみ。
マルドゥパルヘリオンにガードを上げるのであればもちろんサイドにあった方が良いですが、カウンターやインスタント除去で《大牙勢団の総長、脂牙/Greasefang, Okiba Boss》を対処できる点、最悪《パルヘリオンⅡ/Parhelion II》コンボで13点食らってもライフさえ残ればラス系で捌けるだろうという予想から、今回は《安らかなる眠り/Rest in Peace》をすべてカットし他のサイドボードの枠に使いました。
採用を見送った枠。アグロ対策ではあるのですが赤単、ラクドスサクリファイスといった細いアグロにしか通用せず、他の緑単、天使、人間といった相手にはほとんど役に立たない余りにも狭いサイドボードということでカット。
この枠(計3枚)は汎用的アグロ対策である《悪斬の天使/Baneslayer Angel》2枚と追加のラス枠1枚に変更。なお予選ではちゃんと赤単に当たって死亡しました。納得の敗北。
■アゾリウスヨーリオンのマッチアップ相性について
エクスプローラーにおけるアゾリウスヨーリオンのマッチアップ相性は僕視点だと以下の通り。
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【有利】
ジャンドフード、グルール異形化、ジェスカイ独創力、セレズニア天使
【微有利~五分程度】
ラクドスミッドレンジ
【五分程度~微不利】
青単アグロ、緑単アグロ
【不利】
赤単アグロ、ラクドスサクリファイス、セレズニア人間
【不明】
パルヘリオン(ほとんどマッチせず)
※パッと思いついたのを列挙しただけなので、ここに無いデッキがあっても特別な意図はありません。
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ラダーをやっていて、ジャンドフード・グルール異形化・ジェスカイ独創力・そしてセレズニア天使は明確に有利な相手だと感じました。
どれも適度に中速デッキで、カウンターへの耐性が低いデッキなので適当に捌いていれば勝てる試合がほとんど。ジャンドフードや各種変身系はある程度のシェアがいると予想しており、メタの上位に対して有利に戦えるアゾリウスヨーリオンは良いデッキだなと今でも考えています。
対ラクドスミッドレンジは意見が分かれるところだと思いますが、個人的にはアゾリウスヨーリオン側が少し有利。消耗戦の末に降臨する《空を放浪するもの、ヨーリオン/Yorion, Sky Nomad》というゴールが攻防ともに強力であり、「相棒」というシステムの強さを最も感じるマッチアップでもあります。
プレイ指針を1点だけ。《鏡割りの寓話/Fable of the Mirror-Breaker》はもちろんカウンターしても良いのですが、除去が余ってる/カウンターが薄い場合はあえて通してトークンだけ潰すのでも大丈夫です。《鏡割りの寓話/Fable of the Mirror-Breaker》の変身後は横にコピー先がいないとただの2/2でしかないので、横に出てきたクリーチャーを除去ったり、まとめてラス系で流す形でキレイに捌けます。数ターン放置することもしばしば。
ちなみに《空を放浪するもの、ヨーリオン/Yorion, Sky Nomad》なしの60枚青白コンだと不利に傾く可能性が高いと予想しています。このマッチは《空を放浪するもの、ヨーリオン/Yorion, Sky Nomad》の与える影響がデカすぎる。
コントロールの天敵、青単スピリット。基本的には不利ですが、全く勝てないわけではありません。試行回数こそ少ないものの僕はラダーで勝ち越しているので、一定以上には戦えます。
相手のデッキにアドバンテージ源が《執着的探訪/Curious Obsession》と《幽体の船乗り/Spectral Sailor》しかない点に注目し、この2つを徹底的に潰しつつロングゲームを目指していきましょう。カウンターバックアップからの《執着的探訪/Curious Obsession》を着地前に捌ける《ドビンの拒否権/Dovin’s Veto》はサイドアウトしない。通っても大した脅威にならない&カウンターされやすい《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria》はサイドアウト。
緑単アグロは相手のタッチカラーによって相性が上下するなという感想。
一番厳しいのはタッチ青。メインから《呪文貫き/Spell Pierce》《断固たる否定/Decisive Denial》のようなカードを採用している場合は簡単に負けてしまいます。次はタッチ黒。こちらはサイドボードに《思考囲い/Thoughtseize》があるのでタイミングよく打たれると厳しい展開も多いでしょう。一番楽なのが純正です。
赤単、ラクドスサクリファイス、セレズニア人間といった殺意が高くてゲームが短い相手には、《海の神のお告げ/Omen of the Sea》が足を引っ張るため明確に不利です。これはデッキ構造の問題なので、専用サイドボードを大量に取らない限りは覆らないでしょう。
■そもそもアゾリウスコントロールは80枚?60枚?
今後意見が変わるかもしれませんが、現状の僕の率直な意見を書いておきます。
・80枚(ヨーリオン)のアゾリウスコントロールはラクドスミッドレンジ、ジャンドといったミッドレンジ以降のデッキに強く、逆に《海の神のお告げ/Omen of the Sea》が足を引っ張りやすい赤単やセレズニア人間のような早いアグロ系が苦手です。
・60枚(ヨーリオンなし)アゾリウスコントロールは、その安定性とサイドボードカードの引きやすさからアグロ系には80枚より耐性が上がりますが、ラクドスサクリファイスには《空を放浪するもの、ヨーリオン/Yorion, Sky Nomad》というゴールがない分厳しく、ミラーマッチもまたデッキの中身の差から不利が付きます。
以上から「60>80」になるのは基本的にアグロ系が多いメタゲームの場合ですが、そのメタゲームの場合はそもそも青白コントロールを使うべきでしょうか?
アゾリウスコントロールを使いたいメタゲーム=ラクドスミッドレンジ、ジャンド、変身系などが多いメタゲームですが、当然同じことを考える人もいるためミラーマッチも多く予想されます。60アゾリウスを使うと同じポジションである80アゾリウスに不利を背負うため、結果的に下位互換ともいえるデッキ選択になってしまいます。
よって、「青白コンを使うべきタイミングなら80枚のアゾリウスヨーリオンを使え!」「80枚のアゾリウスヨーリオンがメタ的にダメそうなら、60枚アゾリウスに変えるのではなく別のデッキを使え!」というのが僕の現時点での結論です。ミラーに弱いデッキは悪!使うなら80!
■おわりに
ということでアリーナ予選こそ一瞬で負けてしまいましたが、それなりに回したアゾリウスヨーリオンについて書き連ねてみました。今後エクスプローラーやパイオニアでアゾリウスコントロールを使う方の参考になれば幸いです。
日本選手権Finalのボロスアグロのときもそうでしたが、普段のチーム調整では1つのデッキをここまで使い込むことはせずフラットに見れるよう様々なデッキを触るようにしているので、1つのデッキだけを使い込むのはこれはこれで楽しいなと改めて実感しました。
誰にも迷惑かけない、自由なときこそ自身の腕=最大値を上げる絶好のタイミングだと思うので、今後もチーム調整でないときは1つのデッキを掘り下げるスタイルで競技マジックを楽しんでいきたいなと思います。
それでは今回の記事はここまでです。また次回の記事でお会いしましょう!