MTG │ デッキ解説 │ 井川良彦【シミックフラッシュ】
皆さんこんにちは。Rush Prosの井川(@WanderingOnes)です。
先週末、MagicFest OnlineのWeeklyChampionshipに参加し、10-4で22位に入賞。翌週に開催されるSeason Finalsの権利を獲得することができました!僕にとっては未だ権利のない、プレイヤーツアーファイナルへの唯一の道(Season Finalsで準優勝以上が必要)なので、無事次のステップに進むことができて嬉しいです。
I made 5-1 today, so totally 10-4 and qualify for Season Finals!! Simic Flash is good deck against Jeskai, Bant and Sultai. Thank you @CCalcano !
Azorius Control ○○
Azorius Blink ○○
Temur-A ×○×
Rakdos ○○
Simic Flash ×○○
Jeskai ○○#WeeklyChampionship #PlayTogether pic.twitter.com/aycJsLfyVu— Yoshihiko Ikawa (@WanderingOnes) March 29, 2020
前回一夜漬けだったデスタク(レガシー)とはうって変わって、1週間みっちり練習したシミックフラッシュ。調整段階でも調子がよくラダーも一時期はミシック#4まで上りつめたほどでした。
練習で勝てたデッキがそのまま本番でも勝てたのは、環境終盤らしくスタンダードのデッキが(種類は多いものの)出揃ってており、想定外のデッキと当たらなかった=練習どおりのプレイ・プランができたのが大きかったかなと実感しています。
そこで今回の記事では、トーナメントで使用したシミックフラッシュの簡単な解説をしていきます。
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■シミックフラッシュの魅力
メインから多めに採用されたカウンターと瞬速クリーチャーによりコントロール~ミッドレンジに対して強く振る舞うことができるのがシミックフラッシュの大きな魅力です。今の環境でいえば、ジェスカイファイアーズ・バントランプ・スゥルタイランプといった大振りなデッキに有利だと個人的に感じています。
また一番人気のアグロデッキであるラクドスサクリファイスは《夜群れの伏兵/Nightpack Ambusher》への対処手段が限られるため、意外と五分程度で戦えます。かなりの先手ゲーであり、微不利ぐらいでしょうか。
とまぁ書いてはみましたが、昨年末から存在しているデッキですのでご存知の方も多いでしょう。デッキタイプの解説は最低限にして、デッキリストの解説に移りましょう。
■今回使用したリストについて
シミックフラッシュを調整することを決めた際に、ちょうどタイミングよく友人であるクリスティアン・カルカノがWeekly ChampionshipのDaily予選をシミックフラッシュで突破していたので、そのリストがベースになっています。
WanderingOnes MFO Weekly Championship 10-4(22位)
《火消し/Quench》4がシミックフラッシュの最近のトレンドでしたが、バント/スゥルタイといった相手には2枚目以降が不要牌になりがちだったのが気になりました。特にサイドボード後は相手も《否認/Negate》《霊気の疾風/Aether Gust》《神秘の論争/Mystical Dispute》といったカードを構えてくるので1枚目すら当たりづらく、サイドアウト候補になります。
そこでメインに《否認/Negate》を採用することによって《否認/Negate》自体のトータルの枚数を増やすことにしました。「マナを浮かせた状態での《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》」「《思考消去/Thought Erasure》からのビッグアクション」といった負けパターンがカバーしやすくなり、良い変更だったと思っています。
メインボードは「4T《世界を揺るがす者、ニッサ/Nissa, Who Shakes the World》」に貢献する点、またアグロ相手に7マナから6ゲイン一気にできる点を評価して《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature’s Wrath》に枠を譲っていますが、サイドボードには採用されています。
サイドボード後はリソースを取り返すカードとして、またタップアウト合戦になった際の最上級のカードとして、2枚目を追加しました。特に相性が悪いティムールアドベンチャーに対しては、《世界を揺るがす者、ニッサ/Nissa, Who Shakes the World》からの《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》というフラッシュ要素0の押し付けが一番強いので、相性差を跳ね除ける上でも必要だと思います。
カルカノのリストでは《過去と未来/Once and Future》が採用されていましたが、僕はここを《薬術師の眼識/Chemister’s Insight》に変更しました。中盤~後半で強いカード2枚に変換できる《過去と未来/Once and Future》も非常に強力でしたが、最序盤に手札に来て何もしないことも多々。
サイドインする相手=ランプ系やコントロール系への一番の負けパターンがマナスクリューだったので、安定して土地を伸ばせる&相手の《神秘の論争/Mystical Dispute》をあまり気にせずプレイできる《薬術師の眼識/Chemister’s Insight》を採用することにしました。採用したときは考えてませんでしたが、実際にプレイしてみると「再活」のコストで《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature’s Wrath》を捨てて、表を経由せずに即「脱出」できるようになったのもプラスでした。
カルカノのリストだと《自然への回帰/Return to Nature》だったスロット。僕は赤単&ティムールアドベンチャーよりもラクドスサクリファイスを意識したかったので、《魔術遠眼鏡/Sorcerous Spyglass》に変更することにしました。実際の大会でもこの《魔術遠眼鏡/Sorcerous Spyglass》で《忘れられた神々の僧侶/Priest of Forgotten Gods》を止めて勝利したので、採用して良かったカードの1枚です。次にトーナメントで使うなら《恋煩いの野獣/Lovestruck Beast》を3枚に減らして《魔術遠眼鏡/Sorcerous Spyglass》の2枚目を採用したいと考えています。
■サイドボーディングガイド
さて皆さんお待ちかねのサイドボーディングガイドです。
最初にお伝えしておくことがあります。まず1つは「デッキリスト公開か非公開かでサイドボーディングは変わる」ということです。何が何枚入っているか、どういったカードが入っているか、それは相手もそうですし、自分もそうです。例えば相手のデッキに《神秘の論争/Mystical Dispute》0枚で《否認/Negate》に寄っていれば《エリマキ神秘家/Frilled Mystic》はサイドボード後も輝きますし、逆に《神秘の論争/Mystical Dispute》4枚の相手だと大量にサイドアウトすることも検討するでしょう。
そしてもう1つは「思考のエッセンスを取り入れるのはいいが、盲信するのはやめよう」ということです。スタンダードは日々進化しているので、今回紹介するインアウトがどこまで通じるか怪しいところですし、僕自身100%この通りサイドボーディングするということはまずありません。ラダーとMFO合わせてもまだ50マッチ程度しかプレイできておらず理解度が低い部分もありますので、「へー、こんな風に考えてるんだ」ぐらいに思っていただければと。
それでは、トップメタに対してのサイドボーディング例をご紹介します。
ジェスカイファイアーズ
先攻
後攻
メインボードは適宜カウンターするだけですが、サイドボード後は一転、相手の《義賊/Robber of the Rich》《徴税人/Tithe Taker》《軍勢の戦親分/Legion Warboss》、そして《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》+《神秘の論争/Mystical Dispute》と戦うことになります。
アクションが重く隙ができる《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature’s Wrath》はサイドアウト候補です。先攻は2ターン目に出せるので《楽園のドルイド/Paradise Druid》を1枚は残し、逆に後攻は《楽園のドルイド/Paradise Druid》全部抜いて《否認/Negate》まで入れて《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》に備えるのが良いでしょう。
お互いフルタップ合戦になった際に《探索する獣/Questing Beast》で《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》を落とし、《世界を揺るがす者、ニッサ/Nissa, Who Shakes the World》→《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》で相手の騎兵を無視して勝つパターンもありますので、どこまで構えるか、どこまで大胆に行けるか、練習して覚えましょう。
スゥルタイランプ
先攻・後攻ともに
個人的にはベストマッチアップの一つ。バントと違って《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》でハマることもなく、重いカードは一度通ってしまっても《霊気の疾風/Aether Gust》で対処できるので《夜群れの伏兵/Nightpack Ambusher》も出しやすく、かなり与し易い相手です。
基本的には消耗戦になるので、《楽園のドルイド/Paradise Druid》はアウトしてOK。相手の《神秘の論争/Mystical Dispute》の枚数に合わせて《エリマキ神秘家/Frilled Mystic》の枚数を変えましょう。
バントランプ
先攻
後攻
同じランプ系と見せかけてスゥルタイとはかなりゲーム感が異なるマッチアップ。《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》《エルズペス、死に打ち勝つ/Elspeth Conquers Death》を通さないようにするため《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature’s Wrath》はプレイしづらいですし、《霊気の疾風/Aether Gust》に裏目が発生するためスゥルタイに比べて負けパターンが多い印象です。
《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》にプレッシャーをかけられる、また序盤から動くことの価値が高いので先攻は《楽園のドルイド/Paradise Druid》を全部残しましょう。またカウンター合戦の末《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》が通ってしまっても、返しに《世界を揺るがす者、ニッサ/Nissa, Who Shakes the World》+《探索する獣/Questing Beast》で落とせたり、大きな《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》で対抗できたりするので諦めないように。
ラクドスサクリファイス
先攻
後攻
相手の2-3マナ域が強力なため、先攻/後攻で勝率が大きく変わるマッチアップ。先攻は《楽園のドルイド/Paradise Druid》を残して《夜群れの伏兵/Nightpack Ambusher》/《エリマキ神秘家/Frilled Mystic》の2択や《世界を揺るがす者、ニッサ/Nissa, Who Shakes the World》でマウントを取りたいところ。後攻は逆に捌く側に回ることになるので、簡単に出させてくれない《エリマキ神秘家/Frilled Mystic》を減らし、盤面を支えてくれる《恋煩いの野獣/Lovestruck Beast》を全部サイドインすることにしています。
ティムール再生/シミックフラッシュ
先攻
後攻
お互い構え合う/インスタントでアクションしあう上に《神秘の論争/Mystical Dispute》《霊気の疾風/Aether Gust》が大量に入っているので《エリマキ神秘家/Frilled Mystic》は重いだけのカードに成り下がることが多いです。土地が伸びやすい再生相手には《火消し/Quench》をさらに減らして《エリマキ神秘家/Frilled Mystic》を残すのもアリです。
《夜群れの伏兵/Nightpack Ambusher》をどう着地させるか、またカウンターされたとしても返しに《世界を揺るがす者、ニッサ/Nissa, Who Shakes the World》からの《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》などのビッグアクションをできるかが肝です。土地を伸ばしつつ、手札と相談して攻守を切り替えましょう。
赤単
先攻/後攻ともに
これもラクドスサクリファイス同様、先攻/後攻が大きく響くマッチアップです。最速《夜群れの伏兵/Nightpack Ambusher》でイージーウィンできればいいですが、そうでない場合は《恋煩いの野獣/Lovestruck Beast》と《霊気の疾風/Aether Gust》で耐えつつ《世界を揺るがす者、ニッサ/Nissa, Who Shakes the World》まで繋げましょう。《エリマキ神秘家/Frilled Mystic》は基本的に重くて出しづらいですが、バリューはあるので、先攻のときのみ《悪意ある妨害/Sinister Sabotage》と少し入れ替えても良いです。
ティムールアドベンチャー
先攻
後攻
間違いなくワーストマッチアップ。《エッジウォールの亭主/Edgewall Innkeeper》《幸運のクローバー/Lucky Clover》という2大アドバンテージソースが軽い上に触れないため、基本的には圧殺されることになります。勝ちパターンは《世界を揺るがす者、ニッサ/Nissa, Who Shakes the World》からの《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》、もしくはカウンター連打からの《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature’s Wrath》。《夜群れの伏兵/Nightpack Ambusher》は《幸運のクローバー/Lucky Clover》からの《砕骨の巨人/Bonecrusher Giant》で捌かれるので過度な期待はしないように。《恋煩いの野獣/Lovestruck Beast》は相手の地上生物へのブロッカーとしてサイドインしています。
こうして見ていただけると、《エリマキ神秘家/Frilled Mystic》のサイドアウト率の高さに驚くかもしれません。特に《神秘の論争/Mystical Dispute》《霊気の疾風/Aether Gust》が増えるサイド後は安定感が低いので、相手が構えてターンエンドしてきた際には割り切ってただの瞬速3/2バニラとして出すことも多いです。
ただしこれは僕がサイド後/後攻の《エリマキ神秘家/Frilled Mystic》をあまり信用していないだけで、他のプレイヤーが同じようにサイドアウトしているとは限らない(というよりはもっと残しているプレイヤーの方が多いと思う)ので、シミックフラッシュを相手にする際は可能な限りケアすることをオススメします。
■最後に
ということでお届けしましたシミックフラッシュ解説、いかがだったでしょうか?「百聞は一見に如かず」という言葉もある通り、実際にプレイしてみないと分かりづらい部分も多いかもしれません。そこで先週末の対戦動画14ラウンド分をすべてまとめましたので、こちらをご覧いただければと思います。
gesohikoのMagic Fest Online Weekly Championshipをwww.twitch.tvから視聴する
サイドボーディングが怪しかったり(上に書いたものと異なるものも多数あります)、酷いプレイミスをしていたり、かと思えば相手の手札を読んだグッドプレイができたり。MPLプレイヤーとの対戦もあり、それなりに楽しめる内容になっていると思いますので、少しでもシミックフラッシュの勉強したい方はどうぞ。
それでは今回の記事はここまで。Season Finalsの権利がある方、これから取る方、再来週は共に頑張りましょう!