MTG │ デッキ紹介 │ 井川良彦【プロツアー直前!モダンの要注目デッキ特集】
皆さんこんにちは。Rush Prosの井川です。
今週の6/28(金)から、今シーズン最後のプロツアーであるプロツアー・モダンホライゾン3が開幕します!
この記事がお届けできる頃には、僕も開催地であるオランダ・アムステルダムにいることでしょう。
プロツアー直前特集ということで、先週末に開催された大型大会から、注目デッキをピックアップしていきたいと思います!
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★先週末に開催された大型大会
◎東西モダン最強決定戦2024(東) 参加者:289名
優勝:ナドゥコンボ
準優勝:ボロスエネルギー
3位:ボロスエネルギー
4位:マルドゥ想起
トップ8:ディミーアマークタイド
トップ8:ボロスエネルギー
トップ8:ジェスカイウィザード
トップ8:マーフォーク
◎東西モダン最強決定戦2024(西) 参加者:144名
優勝:黒単ネクロ
準優勝:エルドラージトロン
3位:ボロスエネルギー
4位:アゾリウスコントロール
トップ8:ドメインシフト
トップ8:赤単果敢
トップ8:ジェスカイウィザード
トップ8:アミュレットタイタン
◎NRG Series $10,000 Showdown 参加者:167名
優勝:マーフォーク
準優勝:ジェスカイウィザード
3位:ナドゥコンボ
4位:ジェスカイコントロール
トップ8:リビングエンド
トップ8:ドメインズー
トップ8:アゾリウスコントロール
トップ8:ナドゥコンボ
3大会とも優勝デッキは異なりますし、上位のアーキタイプも多種多様。『モダンホライゾン3』により混沌とした環境になっているのがひと目で分かりますね!
特にボロス・ジェスカイで使われているエネルギーシナジーは、今のモダンを象徴するシナジーの一つといえるでしょう。まさか《稲妻》《邪悪な熱気》よりも強い1マナ除去が現れるなんて!
※筆者注:構成/アクションが異なるので、《知りたがりの学徒、タミヨウ》《アノールの焔》型を「ジェスカイウィザード」、《一つの指輪》型を「ジェスカイコントロール」と分類しました。
★上位デッキ紹介
◎ナドゥコンボ
東の最強決定戦を優勝したのは、Aさんこと松本友樹さんが使用したナドゥコンボ!
準々決勝でボロスエネルギー、準決勝でマルドゥ想起、決勝でボロスエネルギーと今をときめく《火の怒りのタイタン、フレージ》デッキたちを圧倒。すべて2-0で勝利しての優勝となりました。
基本的な動きについては、前々回の高橋さんの記事で紹介してありますのでそちらをご覧ください。
《根の壁》の枚数を減らして《樹上の草食獣》を4枚採用しているのが特徴的なリストで、ミラーマッチやストームなどでスピード勝負で負けないだけでなく、《敏捷なこそ泥、ラガバン》などへのブロッカーとしても活躍できるので、今大会の隠れたMVPだったのではないかと予想しています。
最近採用率が上がっているのがこの懐かしい土地。「リソースを使わずにクリーチャーを対象に取れる」のが非常に偉く、「《有翼の叡智、ナドゥ》はあるけど「《手甲》はない」といった場合にも対象を取って掘り進めることができるので、特にサイド後の消耗戦で活躍します。
もちろん《春心のナントゥーコ》を《オークの弓使い》から守るといった普通の用途もありますし、《血染めの月》をケアするとかでない限りは絶対に採用した方が良い土地です。ちなみに同様の用途として《先祖の院、翁神社》を追加で採用しているリストもあります。
こちらは使用率こそ高くないものの、センスが光る1枚。
赤単(タッチ緑)果敢やボロスエネルギーの早いビートダウンを止めるだけでなく、《有翼の叡智、ナドゥ》を《電気放出》から守れますし、さらには憎き対策カードである《過酷な指導者》を無効化し、コンボを決めに行くこともできます!
マナ総量が1ととにかく軽いので《召喚の調べ》からサーチしやすかったり、《過酷な指導者》下でライフを犠牲に探しに行くときにも◎。
◎黒単ネクロ
東西モダン最強決定戦2024、関西では強豪・堀 雅貴さんが黒単コントロールを手に見事優勝!
帰ってきた《ネクロポーテンス》である《ネクロドミナンス》、そして指輪物語が誇る最高峰のドローソースである《一つの指輪》。両方を搭載した、まさに新時代のデッキといえるでしょう。
モダンで《ネクロドミナンス》の強さを支えているのが、コールドスナップのピッチスペルである《魂の撃ち込み》。《徴用》や《アロサウルス乗り》はよく見かけたカードでしたが、ついにこのカードにも見せ場ができました。
大量ドローからのピッチで4点ドレイン!さらにそこで得たライフでさらなるドローに繋げる、ということで《ネクロドミナンス》《一つの指輪》の失ったライフとテンポをリカバリーしてくれます。
その《魂の撃ち込み》の「黒いカード2枚」と非常に重いもの。土地を多めに引いて打てなかったら困りますよね。
そんなあなたに両面土地!《悲嘆》とコンボする《マラキールの再誕》、追加の除去として機能する《不敬者破り》、そして《火の怒りのタイタン、フレージ》などへの墓地対策になる《ボガートの獲物さらい》と3種10枚を採用しています。
余談ですが、《ネクロドミナンス》がある場では《悲嘆》+《まだ死んでいない》/《マラキールの再誕》コンボができないので気をつけてくださいね!僕は知らずにやって負けました。
苦手なエルドラージトロンにはコレ!《陥没孔》であり、長期戦では一方的な《ハルマゲドン》としても打つことができる専用サイドです。
こちらのリストでは不採用ですが、《ファイレクシアの塔》を使っているバージョンでは超過も見据えていくと良いでしょう。
◎ボロスエネルギー
東西モダン最強決定戦2024(東)準優勝 by 松浦 拓海 | |
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デッキリスト | |
2:《平地/Plains》 1:《山/Mountain》 4:《霊気拠点/Aether Hub》 3:《聖なる鋳造所/Sacred Foundry》 2:《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》 4:《乾燥台地/Arid Mesa》 2:《湿地の干潟/Marsh Flats》 2:《優雅な談話室/Elegant Parlor》 2:《栄光の闘技場/Arena of Glory》 22 lands 4:《魂の導き手/Guide of Souls》 |
4:《稲妻/Lightning Bolt》 4:《電気放出/Galvanic Discharge》 4:《不安定な護符/Unstable Amulet》 4:《静牢/Static Prison》 2:《鏡割りの寓話/Fable of the Mirror-Breaker》 18 other spells 2:《ドラニスの判事/Drannith Magistrate》 |
東で松浦さんが準優勝しただけでなく、東で小坂さんが3位、西で日下部さんが3位と最も先週末活躍したデッキがこのボロスエネルギーです!
《魂の導き手》、《ナカティルの最下層民、アジャニ》、《火の怒りのタイタン、フレージ》など『モダンホライゾン3』のカードが大量に採用されています。イゼットマークタイドを『モダンホライゾン2』デッキとするならば、間違いなくボロスエネルギーは『モダンホライゾン3』デッキの代表格といえます!
このカードがここまでのパワーカードだと、カードリスト発表段階で気づいていた人はどれだけいたでしょうか?
《霊気拠点》や《魂の導き手》、《電気放出》などのサポートがあれば、なんと2ターン目に《鏡割りの寓話》すら出すこともできる最強2マナ域!
《血編み髪のエルフ》が2マナになったと考えれば、こんなに強いカードもありませんよね。《血編み髪のエルフ》が禁止されていた時期があったなんて今では嘘みたいです。モダンもここまで来たかと思わずにはいられません。
《魂の導き手》《電気放出》《不安定な護符》と、今回のエネルギー関連のカードは本当に強い!!
『モダンホライゾン3』のレア土地シリーズ。事前では緑の《変容する森林》が高評価でしたが、モダンで今最も旬なのはこの《栄光の闘技場》です!
《火の怒りのタイタン、フレージ》を戻して速攻でアタックすれば、《稲妻のらせん》を2回打ちつつ本体に6点!
全体除去に耐性が付きますし、《火の怒りのタイタン、フレージ》だけでなく《湧き出る源、ジェガンサ》とも相性が良い1枚。ボロスエネルギーを使うのであれば、松浦さんのように2枚採用するのが良さそうです。
◎ディミーアマークタイド
東西モダン最強決定戦2024(東)5位 by 高橋 優太 | |
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デッキリスト | |
3:《島/Island》 1:《沼/Swamp》 2:《湿った墓/Watery Grave》 4:《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》 4:《汚染された三角州/Polluted Delta》 4:《闇滑りの岸/Darkslick Shores》 1:《地底街の下水道/Undercity Sewers》 19 lands 3:《知りたがりの学徒、タミヨウ/Tamiyo, Inquisitive Student》 |
2:《呪文貫き/Spell Pierce》 3:《呪文嵌め/Spell Snare》 4:《考慮/Consider》 4:《致命的な一押し/Fatal Push》 4:《対抗呪文/Counterspell》 2:《否定の力/Force of Negation》 4:《定業/Preordain》 3:《綿密な分析/Deep Analysis》 26 other spells 2:《海の先駆け/Harbinger of the Seas》 |
東西のトップ8計16個のデッキの中で最も異彩を放っていたのが、高橋さんが使ったこのディミーアマークタイドでしょう!
彼の試合を数戦観戦したのですが、《超能力蛙》の起動型能力を積極的に使ってライフにプレッシャーをかけつつ、《超能力蛙》か《濁浪の執政》で早期に大型のクリーチャーを盤面に定着させ、要所だけカウンターして勝つデッキのように見えました。
リソース管理とライフ管理が非常に大事なカードですが、すべてのリソースを注ぎ込むことで特大のクリーチャーに化けるため、《サイカトグ》のように早期から相手にチャンプブロックを強要することができます。
個人的には昔のモダンの親和で、上手いプレイヤーが《電結の荒廃者》をすぐに5/5ぐらいのサイズに育てて殴っていたのを思い出しました。こういったカードを上手く使うには、卓越したスキルが必要そうですね。
このデッキについては、プロツアーで使うにせよ使わないにせよ、きっと彼が解説記事を後日書いてくれると思いますので楽しみにしています。
◎マーフォーク
NRG Series $10,000 Showdown 優勝 by Nikachu | |
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デッキリスト | |
2:《魂の洞窟/Cavern of Souls》 9:《島/Island》 1:《水辺の学舎、水面院/Minamo, School at Water’s Edge》 2:《天上都市、大田原/Otawara, Soaring City》 3:《変わり谷/Mutavault》 17 lands 2:《リシャーダの荷運び/Rishadan Dockhand》 |
4:《霊気の薬瓶/AEther Vial》 3:《否定の力/Force of Negation》 3:《拒絶の閃光/Flare of Denial》 4:《朦朧への没入/Sink into Stupor》 3:《四肢切断/Dismember》 17 other spells 1:《四肢切断/Dismember》 |
『モダンホライゾン』で《否定の力》、『モダンホライゾン2』で《海と空のシヴィエルン》、《激浪の形成師》、《リシャーダの荷運び》と強化されてきたマーフォーク。『モダンホライゾン3』でも着実に強化され、今回NRG Series参加者168名の頂点に立ちました!
ちなみに優勝者のNikachuさんは生粋のマーフォーク使いとして非常に有名な方で、モダンだけでなくパイオニアなどでもひたすらマーフォークだけを使い続けています。まさに達人。
土地コンボだけでなく、多色デッキへのアンチカードとして働く《海の先駆け》。《血染めの月》《月の大魔術師》と異なり《稲妻》《電気放出》といった赤い単体除去を封殺できるのが本当に強く、ケアして基本地形を置けていない対戦相手を簡単にハメることができます。
コイツ自身がマーフォークなこともあり、《アトランティスの王》《真珠三叉矛の達人》のバックアップを受けて島渡りで殴ることもできるため、純粋な戦力として数えられるのが《月の大魔術師》との大きな差ですね。
地味ではありますが、両面土地である《朦朧への没入》の追加も嬉しいです。
元々フラッドにはあまり強くないデッキでしたので後半の土地が《ゼロ除算》になるのは強力ですし、土地を《否定の力》のコストにできるというのも大きい!
レアケースではありますが、《窒息》《沸騰》といった「島メタカード」への耐性も上がりました。
■終わりに
『モダンホライゾン3』のレビュー記事段階では正直こんなに強いとは思ってませんでした。まさかモダンがここまで激変するとはね!
《有翼の叡智、ナドゥ》や《モンスーンの魔道士、ラル》ストームなどもいますが、最もモダンを変えたのは《火の怒りのタイタン、フレージ》かなと感じています。プロツアー《火の怒りのタイタン、フレージ》です。
さて冒頭にも書きました通り、今回のプロツアーの開催地はオランダ・アムステルダム!
画像:マジック:ザ・ギャザリング公式
過去にはワールド・マジック・カップなども開催された地ではありますが、純粋なプロツアーとしては2010年のプロツアー・アムステルダム(エクステンデッド)以来実に14年振りとなります。
当時も参加していたので、14年経ってまた同じ場所にプロツアーで行けるのは感慨深いです。前回のアムステルダムは初日落ちでしたが、果たして今回はどうなるか。
前回王者として参加するので1stドラフトはフィーチャーされる確率が高いのですが、今のところ僕自身のドラフトの成績は極めて悪く、記憶にないぐらい負けてます。負けすぎてメンタル崩壊してたぐらいです。
※人生イチ負けてます。まさかPT前にミシックになれないなんて…
なので今回のプロツアーは全く自信がありません。PT王者の肩書は一旦忘れて、またイチ参加者として頑張っていきたいと思います。負けて元々、勝ってラッキー。応援よろしくお願いします!
それでは今回はここまで。
また次回の記事でお会いしましょう!