MTG │ デッキ紹介 │ 高橋優太【指輪物語で大きく変化するモダンのデッキ】

今月末に開催される、プロツアー・バルセロナに向けて、モダンの練習を始めました。

環境がどう変化したのか、早速追っていきましょう。

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■指輪物語のモダンへの影響

一つの指輪》と、それを打ち消されなくする《喜ぶハーフリングをセット採用したデッキの活躍が目立っています。

それに加えて《オークの弓使いも様々なデッキで使われています。もともとモダンは《敏捷なこそ泥、ラガバン》《ドラゴンの怒りの媒介者といったタフネス1クリーチャーの使用率が高く、《オークの弓使い》はそれらを除去しながら盤面にクリーチャーが2体残るので、相手から単体除去を撃たれても損しにくい。

オークの弓使い》は《一つの指輪を使うデッキに対しても強く、プロテクション(すべて)を得た次のターンからカードを多く引こうとすると、能力でプレイヤー本体のライフを狙っていけます。

黒かったらとりあえず《オークの弓使い》を入れるほど、環境の中心になっているクリーチャーです。

レンと六番》と《オークの弓使い》により、いよいよタフネス1が焼き尽くされるようになってきました。《敏捷なこそ泥、ラガバンは相手がフルタップしたときに疾駆で出す、《ドラゴンの怒りの媒介者》は3/3になってから出す、などのプレイングも求められるようになっています。

■参考情報

・モダンチャレンジ(7/1)

・モダンチャレンジ(7/2)

・モダンチャレンジ(7/2)

7月1日、2日の間にマジックオンライン上で開催された大会から、最新のモダン環境を見ていくと、なんと3回全ての大会を《創造の座、オムナス》《一つの指輪》デッキが優勝しています!

デッキ構成に細かい差異はあるものの、《虹色の終焉》《力線の束縛》で序盤を凌いで、中盤を《レンと六番》《時を解す者、テフェリー》でアドバンテージを得つつ、後半に《創造の座、オムナス》《一つの指輪》で勝つのは一緒です。この4枚による基盤が強固であることを、結果が証明しています。

一つの指輪》を用いたオムナスデッキについては、先週の記事でも紹介していますので、そちらも参照してください。(先週の記事はこちら

■指輪オムナス(青白ベース)

モダンチャレンジ優勝:By MCWINSAUCE
デッキリスト
4:《溢れかえる岸辺/Flooded Strand
4:《沸騰する小湖/Scalding Tarn
2:《神聖なる泉/Hallowed Fountain
1:《蒸気孔/Steam Vents
1:《聖なる鋳造所/Sacred Foundry
1:《繁殖池/Breeding Pool
1:《ラウグリンのトライオーム/Raugrin Triome
1:《ゼイゴスのトライオーム/Zagoth Triome
1:《平地/Plains
2:《島/Island
3:《霧深い雨林/Misty Rainforest
1:《耐え抜くもの、母聖樹/Boseiju, Who Endures
1:《天上都市、大田原/Otawara, Soaring City
1:《水辺の学舎、水面院/Minamo, School at Water’s Edge
24 Lands


2:《創造の座、オムナス/Omnath, Locus of Creation
4:《孤独/Solitude
6 creatures

3:《虹色の終焉/Prismatic Ending
3:《レンと六番/Wrenn and Six
4:《力線の束縛/Leyline Binding
4:《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler
4:《一つの指輪/The One Ring
2:《虚空の杯/Chalice of the Void
2:《至高の評決/Supreme Verdict
2:《激しい叱責/Dress Down
2:《否定の力/Force of Negation
4:《対抗呪文/Counterspell
30 other spells


2:《狼狽の嵐/Flusterstorm
1:《虚空の杯/Chalice of the Void
2:《ドビンの拒否権/Dovin’s Veto
1:《天界の粛清/Celestial Purge
1:《至高の評決/Supreme Verdict
1:《神聖なる月光/Hallowed Moonlight
2:《塵への崩壊/Crumble to Dust
1:《活性の力/Force of Vigor
1:《夏の帳/Veil of Summer
1:《黄昏の享楽/Sunset Revelry
1:《耐え抜くもの、母聖樹/Boseiju, Who Endures
1:《孤児護り、カヒーラ/Kaheera, the Orphanguard

15 sideboard cards

指輪オムナスは《激情》《復活した精霊信者、ニッサを採用したエレメンタル中心の構成が増えていましたが、このデッキは青白コントロールベースです。

対抗呪文》と《否定の力により相手の呪文への干渉力を上げており、これにより《死せる生》やウルザトロンなどへの耐性がアップ。特に《否定の力は、《一つの指輪》を出してフルタップになるターンでも0マナで打ち消せるのがよく、《一つの指輪》をより強く使えます。

一つの指輪》のプロテクション(すべて)でライフを守りながら大量ドローして、《至高の評決》で盤面をリセット。カードを多く引いて重荷カウンターが溜まったら、《時を解す者、テフェリー》で《一つの指輪を戻して重荷カウンターをリセット。エレメンタル中心の構成よりも、更に《一つの指輪を効率良く使うことを念頭に置いたデッキ構成と言えます。

力線の束縛》《創造の座、オムナス》のためにマナベースは4色なのですが、4枚固定と思われていたカードの枚数調整をしているのが面白い試みです。

まずは《創造の座、オムナス》が2枚!デッキの中心とも言えるカードですが、同じ4マナなら《一つの指輪》の方が優先してプレイされること、4マナが多くて重くなりすぎるなどから、このデッキでは2枚にまで減量されています。確かに、《創造の座、オムナスだけをたくさん引いてしまうよりは、《至高の評決》や《一つの指輪》とばらけて引く方がプレイの選択肢が増えます。

そして4枚採用が当たり前になっていた《レンと六番》も3枚!序盤には絶対に引きたいカードではあるのですが、マナの伸びる中盤から後半では役割が薄い場合もあるので、3枚にする気持ちもわかります。僕も指輪オムナスを使っているとき、特に後手では1枚《レンと六番》をサイドアウトしていました。

レンと六番》が3枚とはいえ、《レンと六番で回収して強い土地として《天上都市、大田原》《耐え抜くもの、母聖樹》はしっかり採用されています。

水辺の学舎、水面院》は《一つの指輪をアンタップする動きが強いので、今後セットで採用されていくでしょう。

■ウルザトロン

モダンチャレンジTop4:By DAZAI
デッキリスト
3:《森/Forest
4:《ウルザの鉱山/Urza’s Mine
4:《ウルザの塔/Urza’s Tower
4:《ウルザの魔力炉/Urza’s Power Plant
1:《ウギンの聖域/Sanctum of Ugin
1:《耐え抜くもの、母聖樹/Boseiju, Who Endures
1:《爆発域/Blast Zone
18 Lands


2:《ワームとぐろエンジン/Wurmcoil Engine
2:《隔離するタイタン/Sundering Titan
2:《絶え間ない飢餓、ウラモグ/Ulamog, the Ceaseless Hunger
2:《街並みの地ならし屋/Cityscape Leveler
8 creatures

4:《彩色の宝球/Chromatic Sphere
4:《彩色の星/Chromatic Star
3:《大祖始の遺産/Relic of Progenitus
4:《探検の地図/Expedition Map
4:《古きものの活性/Ancient Stirrings
4:《森の占術/Sylvan Scrying
2:《歪める嘆き/Warping Wail
2:《忘却石/Oblivion Stone
4:《大いなる創造者、カーン/Karn, the Great Creator
3:《一つの指輪/The One Ring
34 other spells


1:《罠の橋/Ensnaring Bridge
1:《虚空の杯/Chalice of the Void
1:《隔離するタイタン/Sundering Titan
1:《三なる宝球/Trinisphere
2:《トーモッドの墓所/Tormod’s Crypt
1:《歩行バリスタ/Walking Ballista
2:《夏の帳/Veil of Summer
2:《機能不全ダニ/Haywire Mite
1:《石の脳/The Stone Brain
1:《金線の酒杯/The Filigree Sylex
1:《一つの指輪/The One Ring
1:《湧き出る源、ジェガンサ/Jegantha, the Wellspring
15 sideboard cards

探検の地図》《森の占術》といった土地サーチを駆使して《ウルザの塔》《ウルザの鉱山》《ウルザの魔力炉》を揃え、土地3枚から7マナを生み、重いカードを連打して勝つデッキです。

今のモダンの攻めるデッキは赤と黒を中心にしたものが多く、除去耐性と絆魂を持つ《ワームとぐろエンジン》は赤と黒両方に強い性質があります。

隔離するタイタン》は、《力線の束縛》のために4~5色にしたデッキに対して特に強く、相手の土地を最大5つ破壊!
絶え間ない飢餓、ウラモグ》は唱えた時の誘発型能力なので《対抗呪文》されたとしてもパーマネントを2つ追放して、場に残ったならすぐに勝利をもたらす優秀なフィニッシャーです。

トロンは指輪オムナスに対して相性が良いことに着目して、僕が使用してモダンチャレンジで入賞しました。

モダンの《大いなる創造者、カーン》は、最高の相棒である《マイコシンスの格子》こそ禁止されていますが、それでもなお取れる選択肢が非常に多いカードです。

サイドボードから《トーモッドの墓所》で墓地対策、《罠の橋》《金線の酒杯》でクリーチャー対策、《虚空の杯》《三なる宝球》で呪文対策、《隔離するタイタン》土地対策とすべてをこなしてくれます。

大いなる創造者、カーン》の常在型能力で相手の《一つの指輪》を封じ、自分は《一つの指輪》を持ってくる!指輪環境で最も輝くカードと言っても過言ではありません!

以前はウルザトロンの定番だった《解放された者、カーン》ですが、最近は枚数を減らしつつあります。

理由として《大いなる創造者、カーン》《一つの指輪》によって、トロンが揃わない4マナの状態でも取れる選択肢が増えた点、《街並みの地ならし屋》が登場した点です。

ウルザトロンは序盤の1-2ターンは土地を揃える行動をするのでノーガードで、《解放された者、カーン》を出した後に「-3」能力で除去しないといけないパターンが多いです。しかし「-3」を使った後の忠誠度は3で、これは《稲妻》や《ドラゴンの怒りの媒介者》での攻撃で落ちる忠誠度。環境に赤いデッキが多いため、この状況は頻発します。

比較して、《街並みの地ならし屋》の場合は火力で落ちにくい8/8というサイズで、唱えた時の誘発型能力なので《対抗呪文》されたとしても相手のパーマネントを破壊できます。

ただ《解放された者、カーン》にも良い所はあります。ウルザトロン同系で物凄く強く、相手の《一つの指輪》を対処できる点です。環境次第ですが、枚数は0-2枚程度かなと思います。

デッキのカードが無色とシングルシンボルだけなので《湧き出る源、ジェガンサ》を相棒にでき、マナフラッドの受け先になりつつ、《血染めの月》を出された後の5/5としても頼もしいです。

虚空の杯》や《歩行バリスタ》などコストがXXのカードをメインにサイドインすると、《湧き出る源、ジェガンサ》を相棒に出来なくなるので注意!

機能不全ダニ》は、《血染めの月》《一つの指輪》を対処できる良いサイドカードです。

■黒緑ヨーグモス

モダンチャレンジTop4:By DEMONICTUTORS
デッキリスト
1:《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth
1:《ドライアドの東屋/Dryad Arbor
3:《森/Forest
1:《沼/Swamp
2:《黄昏のぬかるみ/Twilight Mire
2:《草むした墓/Overgrown Tomb
2:《花盛りの湿地/Blooming Marsh
2:《霧深い雨林/Misty Rainforest
4:《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs
1:《成長の揺り篭、ヤヴィマヤ/Yavimaya, Cradle of Growth
2:《耐え抜くもの、母聖樹/Boseiju, Who Endures
21 Lands


4:《根の壁/Wall of Roots
4:《絡み根の霊/Strangleroot Geist
4:《若き狼/Young Wolf
1:《血の芸術家/Blood Artist
4:《スランの医師、ヨーグモス/Yawgmoth, Thran Physician
4:《下賤の教主/Ignoble Hierarch
3:《オークの弓使い/Orcish Bowmasters
4:《喜ぶハーフリング/Delighted Halfling
28 creatures

4:《一つの指輪/The One Ring
4:《飢餓の潮流、グリスト/Grist, the Hunger Tide
4:《召喚の調べ/Chord of Calling
12 other spells


2:《屍呆症/Necromentia
4:《思考囲い/Thoughtseize
4:《忍耐/Endurance
2:《活性の力/Force of Vigor
1:《辺境地の罠外し/Outland Liberator
1:《漁る軟泥/Scavenging Ooze
1:《金線の酒杯/The Filigree Sylex
15 sideboard cards

スランの医師、ヨーグモス》の能力で、不死クリーチャーを生贄にして除去しながらアドバンテージを得るデッキです。不死クリーチャー2体とヨーグモス、《血の芸術家》が揃えば無限ドレインのコンボ!

ヨーグモスと《飢餓の潮流、グリスト》によるクリーチャー除去能力、そして不死による地上ブロックにより、クリーチャー主体のデッキに対して有利にゲームを運べます。

以前のヨーグモスは《極楽鳥》《下賤の教主》とタフネス1が多く、どうしても《レンと六番》が苦手でした。

極楽鳥》が《喜ぶハーフリング》に置き変わったことで《レンと六番》への耐性があがり、《敏捷なこそ泥、ラガバン》をブロックできるようになったのは大きい!打ち消されない能力により、《対抗呪文》を恐れずにヨーグモスや指輪をプレイできます。

オークの弓使い》は序盤に1点除去しつつ、軍団によりクリーチャー2体分なので、ヨーグモスの生贄も確保。更に《召喚の調べ》の召集コストを2下げてくれるなど、能力全てがヨーグモスというデッキに合っています!

マナクリーチャーが多いので《一つの指輪》を3ターン目にプレイしやすく、新セットのカードが満載で、ヨーグモスは最も強化されたデッキと言えます!

■死せる生

モダンチャレンジ2位:By NAMMERSQUATS
デッキリスト
1:《森/Forest
1:《島/Island
1:《踏み鳴らされる地/Stomping Ground
2:《繁殖池/Breeding Pool
4:《霧深い雨林/Misty Rainforest
2:《蒸気孔/Steam Vents
1:《耐え抜くもの、母聖樹/Boseiju, Who Endures
2:《天上都市、大田原/Otawara, Soaring City
14 Lands


4:《意思切る者/Architects of Will
4:《断片無き工作員/Shardless Agent
4:《秘法の管理者/Curator of Mysteries
4:《縞カワヘビ/Striped Riverwinder
4:《通りの悪霊/Street Wraith
4:《悲嘆/Grief
2:《激情/Fury
4:《オリファント/Oliphaunt
4:《気前のよいエント/Generous Ent
34 creatures

4:《死せる生/Living End
4:《暴力的な突発/Violent Outburst
4:《否定の力/Force of Negation
12 other spells


3:《虚空の力線/Leyline of the Void
3:《活性の力/Force of Vigor
4:《緻密/Subtlety
3:《忍耐/Endurance
2:《激情/Fury
15 sideboard cards

デッキ内に2マナ以下のカードを入れずに、続唱で唱える呪文を《死せる生》に固定。各種サイクリングクリーチャーを墓地に送り、《死せる生》で相手のクリーチャーを除去しながら強大なクロックで勝利するデッキです。2マナ以下をデッキに入れられないので、相手への妨害は《否定の力》や各種想起エレメンタルを用います。

新セットの土地サイクリングクリーチャーにより、土地を切り詰めた構成が出来るようになりました。《オリファント》《気前のよいエント》はどちらも《踏み鳴らされる地》などのショックランドをサーチ出来ます。そして、《オリファント》により赤カウントが増えて、《激情》を使えるようになりました。

新しいサイクリングクリーチャーにより、《死せる生》解決後に20点を超えるパワーを用意出来るようになり、以前より勝つターンが1ターン早くなっています。

特に《悲嘆》想起を絡めたときのブン回りは圧巻で、あらゆるデッキを粉砕する力があります。上位入賞率が高く、今後もメタゲームの一角となるでしょう。

■おわりに

指輪物語はモダンにも大きな影響を与えました。特に《一つの指輪》《オークの弓使い》の2つは、これを使わない事のが損に思えるほど、圧倒的なカードパワーがあります。どちらか、あるいは両方を使いたい!そういう意味では、ヨーグモスはかなり良い選択です。

一つの指輪》《オークの弓使いの両方を対策できるカードとして、《火の中へ投げ捨てるも今後良く見るようになりそうです。

それではまた。


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