MTG │ 大会レポート │ 高橋優太【ストリクスヘイヴンチャンピオンシップ】

先週末に参加した、ストリクスヘイヴンチャンピオンシップの大会レポートです。

スタンダード＆ヒストリックを交互に戦う混合フォーマット。

それぞれの練習過程を記して行きます。

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目次

■チーム練習

自分たちの練習経験的に、混合フォーマット制の大会はどうしても量をこなす必要があり、5人では全然足りません。

今回はいつものリーグメンバー(井川・熊谷・佐藤・高橋・原根)に加えて、予選や前回のチャンピオンシップで権利を獲得した4人(市川・斎藤・増田・松本)に協力してもらい、9人で調整を行いました。

スタンダード

スタンダードはリーグの時からあまり変わらず、スゥルタイ根本原理がトップの使用率。次に多いのがイゼットドラゴンです。

この2つはものすごく不利な相手が少なく、どのデッキとも戦えるため、長丁場の大会で好まれやすいです。また、トップメタであるスゥルタイ根本原理を標的にする形で、白単や赤単といった単色アグロも一定数いると予想していました。

スゥルタイ根本原理は打ち消し呪文のない相手に対して特に強く、アドベンチャー系統のデッキに有利で、逆に序盤から展開する赤単や白単のアグロデッキを苦手とします。

逆にイゼットドラゴンは、《スカルドの決戦》擁するアドベンチャー系統のデッキに少し不利で、単色アグロデッキには軽量除去が多いことから少し有利です。

トップの2つがそれぞれ逆の性質を持っており、どちらかに強くするともう片方に弱くなるという、バランス取りが非常に難しい環境でした。

スゥルタイ根本原理、イゼットドラゴンが2トップで、次点がサイクリング。そしてその次に赤単、白単といった単色アグロ。

僕自身もスゥルタイ根本原理を長い時間調整していたのですが、白単が《精鋭呪文縛り》《傑士の神、レーデイン》といったヘイトベアーで対策してくることから、少し不利だと感じており、使用することに躊躇していました。

スゥルタイ根本原理とイゼットドラゴンに少し有利で、他にも戦える。そんなデッキはないかと模索していたところ、慣れ親しんだデッキが思い浮かびます。

スゥルタイ根本原理とイゼットドラゴンに対して少し有利だという点から、再びディミーアローグを使用候補に。

どちらも5-7マナのカードで仕掛けてくるデッキなので、5-7マナのカードに強い打ち消し呪文を多数擁するディミーアローグは、勝率55％くらいで少し有利です。

世に出回っているイゼットドラゴンに《焦熱の竜火》を取っているリストがほとんど無く、サイド後の《スカイクレイブの影》がこれらのデッキに対して強いことも好印象でした。

懸念となるのはサイクリング、白単、赤単への相性です。

サイクリングは不利ではあるものの勝てない程ではなく、メイン勝率40％ほどだが、《魂標ランタン》《凪魔道士の威圧》で改善の余地あり。

白単に対してはローグ側の飛行ブロッカーが強く、細かい除去から《夢の巣のルールス》というわかりやすいゴールがあり有利。

赤単は《灰のフェニックス》《アゴナスの雄牛》という2種類の脱出を持ちながら、除去もクリーチャーも全て軽いため超不利。勝率20％。

赤単にさえ目を瞑ればローグが戦いやすいメタゲームだったことと、新しく出てきたジェスカイ変容にも有利であることから、ローグを使用することに決めました。

■スタンダード　ディミーアローグ

ディミーアローグ【インポートデータ】
デッキリスト
1:《ロークスワイン城/Castle Locthwain》
4:《清水の小道/Clearwater Pathway》
4:《寓話の小道/Fabled Passage》
6:《島/Island》
4:《沼/Swamp》
1:《欺瞞の神殿/Temple of Deceit》
4:《ゼイゴスのトライオーム/Zagoth Triome》
24 lands

4:《マーフォークの風泥棒/Merfolk Windrobber》
4:《遺跡ガニ/Ruin Crab》
4:《盗賊ギルドの処罰者/Thieves’ Guild Enforcer》
4:《空飛ぶ思考盗み/Soaring Thought-Thief》
16 creatures

 

 1:《塵へのしがみつき/Cling to Dust》
1:《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》
3:《無情な行動/Heartless Act》
2:《取り除き/Eliminate》
4:《湖での水難/Drown in the Loch》
2:《神秘の論争/Mystical Dispute》
1:《心を一つに/Of One Mind》
4:《物語への没入/Into the Story》
2:《アガディームの覚醒/Agadeem’s Awakening》
20 other spells

1:《塵へのしがみつき/Cling to Dust》
1:《死の重み/Dead Weight》
3:《スカイクレイブの影/Skyclave Shade》
2:《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》
1:《神秘の論争/Mystical Dispute》
2:《凪魔道士の威圧/Lullmage’s Domination》
2:《激しい恐怖/Crippling Fear》
2:《魂標ランタン/Soul-Guide Lantern》
相棒
1:《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream Den》
15 sideboard cards

《黄金架のドラゴン》の使用率アップに伴って《軽蔑的な一撃》が効く相手も多くなっており、メインサイド合わせて多めの採用。

最近ではスゥルタイ根本原理がサイド後に《出現の根本原理》をサイドアウトして《長老ガーガロス》《鎖を解かれしもの、ポルクラノス》で肉押ししてくるケースが増えてきました。

そういった肉押しの状況で《否認》だと裏目が発生するので、クリーチャーも打ち消せる《軽蔑的な一撃》は環境に合っています。

主な狙いはサイクリングの《アイレンクラッグの紅蓮術師》、赤単の《鍛冶で鍛えられしアナックス》。

前述の通り、最近はスゥルタイ根本原理がサイド後に肉押しして来るので、相手のクリーチャーの枚数次第では、スゥルタイ根本原理に対して1枚サイドインする事もあります。

脱出した《鎖を解かれしもの、ポルクラノス》が主な標的です。


脱出などの墓地対策としては、継続して撃てる《塵へのしがみつき》の方が優れているので、《魂標ランタン》は対サイクリング専用枠です。

相手の《天頂の閃光》の威力を弱めます。

ヒストリック

この大会に参加するプレイヤー全員が認識していたのは、イゼットフェニックスが圧倒的に強いということ。

序盤から現れて何度も蘇る3/2飛行の強さは言わずもがな。更に《渦まく知識》《信仰無き物あさり》《表現の反復》のドローサポートにより、序盤も終盤もほとんど事故が起こらず、デッキの安定性が非常に高い。

入っているカードはレガシーと比較しても遜色ない性能で、フェアデッキ対決では無類の強さを誇ります。練習中も「多くの調整デッキがイゼットフェニックスにマジレスされてデッキ解体」という過程を繰り返していました。

イゼットフェニックスがデッキとしてあまりにも強かったため、チーム内ではこのデッキを磨き上げる方向で調整が進み、実際に7名がイゼットフェニックスを使用しました。

練習中に見つかったイゼットフェニックスを倒しうる要素として、「コンボ要素を持つコントロールデッキ」というのが挙げられます。

序盤の《スプライトのドラゴン》《嵐翼の精体》といったカードを除去で対処しながら、イゼットフェニックス側のメインの打ち消し呪文が少ない点を突いてコンボを決める。これは禁止改定前に《汚れた契約》《タッサの神託者》がやっていた事そのものです。

今回それに該当したのは2つ。

1つ目は《マグマ・オパス》を捨ててから《ミジックスの熟達》《奔流の機械巨人》で墓地から唱えるコンボを擁するジェスカイオパス。相手の盤面を除去しながら圧倒的なアドバンテージを得ることが出来ます。

しかしこのコンボには問題があって、《マグマ・オパス》《奔流の機械巨人》の両方が《神秘の論争》に弱く、なおかつ《魂標ランタン》などの墓地対策をされやすいのです。


イゼットフェニックスが墓地を多用するデッキでもある事から、今大会で墓地対策が厚く取られているであろうことは想像に難くない。そのため、なるべく墓地を経由しないコンボであることも重要なのです。

この点をクリアしたのが、「コンボ要素を持つコントロールデッキ」の2つ目、《ヴェロマカス・ロアホールド》からの《時間のねじれ》を持つジェスカイターンです。

《ドワーフの鉱山》で出たトークンや《プリズマリの命令》などの宝物トークンを対象に《不屈の独創力》をプレイ。

デッキ内に入っているクリーチャーが《ヴェロマカス・ロアホールド》のみなので、最速4ターン目に戦場に現れ、そのまま速攻で攻撃して上７枚に《時間のねじれ》があればもう1回《ヴェロマカス・ロアホールド》が攻撃！墓地に《時間のねじれ》があるなら《ミジックスの熟達》で更にもう1回攻撃！

前述のように「コンボ要素を持つコントロールデッキ」でありながら、《神秘の論争》《魂標ランタン》にも耐性のあるコンボです。

ベストなフェニックスを組むことに時間をかけて対抗できるデッキを組み上げられなかった。

このロアホールドデッキを練り込めなかった点は、今回のチーム調整の反省点でもあります。

■ヒストリック　イゼットフェニックス

 

イゼットフェニックス【インポートデータ】
デッキリスト
4:《河川滑りの小道/Riverglide Pathway》
4:《尖塔断の運河/Spirebluff Canal》
4:《蒸気孔/Steam Vents》
3:《寓話の小道/Fabled Passage》
3:《島/Island》
3:《山/Mountain》
21 lands

4:《スプライトのドラゴン/Sprite Dragon》
4:《弧光のフェニックス/Arclight Phoenix》
3:《嵐翼の精体/Stormwing Entity》
2:《弾けるドレイク/Crackling Drake》
2:《アゴナスの雄牛/Ox of Agonas》
3 creatures

 

 4:《渦まく知識/Brainstorm》
4:《選択/Opt》
4:《信仰無き物あさり/Faithless Looting》
4:《火柱/Pillar of Flame》
2:《稲妻の斧/Lightning Axe》
4:《表現の反復/Expressive Iteration》
1:《神秘の論争/Mystical Dispute》
1:《約束の終焉/Finale of Promise》
32 other spells

1:《霊気の疾風/Aether Gust》
2:《否認/Negate》
1:《神秘の論争/Mystical Dispute》
2:《厚かましい借り手/Brazen Borrower》
2:《溶岩コイル/Lava Coil》
2:《丸焼き/Fry》
2:《神々の憤怒/Anger of the Gods》
1:《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance》
2:《魂標ランタン/Soul-Guide Lantern》
15 sideboard cards

今回、他のイゼットフェニックスと大きく異なる点です。

イゼットフェニックス同型対決はお互いが《火柱》《稲妻の斧》を撃ち合って消耗戦になることが多いため、追加のドロー手段として《アゴナスの雄牛》を採用。

デッキにドロー呪文が大量に入っているため墓地が貯まりやすく、《信仰無き物あさり》から捨てて即脱出することも多いです。

サイド後に除去を連打してから《アゴナスの雄牛》を出すというわかりやすいゲームプランもあり、入れて良かったと感じました。

サイド後の《神々の憤怒》が対アグロへの相性を担保してくれています。同型対決でも後手ならサイドインします。

この《神々の憤怒》があるからこそ、アグロデッキは《グルールの呪文砕き》を4/4にするプレイなどをしますが、そういったシチュエーションに裏目を作る《溶岩コイル》も強い。

《溶岩コイル》はイゼットフェニックス同型対決でどのクリーチャーでも追放出来るので、裏目の少ない除去として複数採用しました。

4点火力、対ジェスカイコントロールとしてリスト提出前に変更した部分ですが、ここは《神秘の論争》にすべきでした。

イゼットフェニックスを倒しに来るのは「コンボ要素を持つコントロールデッキ」なので、4マナフルタップできるタイミングがあまりにも少ない。

《神秘の論争》は同じ対コントロール枠でありながら、相手の《奔流の機械巨人》《マグマ・オパス》《時間のねじれ》対策という他には出来ない役目を担っているので、3枚目を入れるべきだった。

■大会結果

〈スタンダード〉
×Sam Pardee/赤単アグロ
〇Victor hugo barrosi/イゼットドラゴン
〇Andrew Traynor/ディミーアローグ
〇Marin Toromanoff/ティムールアドベンチャー
〇Fiona Wei/ディミーアローグ
×Brent Vos/スゥルタイ根本原理
〇Guillaume Perbet/イゼットドラゴン
〇Tristan Wylde-LaRue/ジェスカイ変容
.
〈ヒストリック〉
〇Toru Saito/イゼットフェニックス
×Dominik Prosek/ジェスカイ・オパス
〇Thiago Saporito/黒単アグロ
〇Norman Sivi/黒単アグロ
〇Alex Hayne/イゼットフェニックス
×Noah Ma/ジェスカイ・オパス
〇Jeffrey Silver/イゼットフェニックス

スタンダード6-2
ヒストリック5-2

計11-4、13位。

リーグポイント3ポイント獲得。

■おわりに

今回の成績によりリーグでの3勝分に該当するポイントを獲得、これでライバルズリーグ内で5位に上昇。


1か月後にはMPL争いのガントレットが控えており、まだまだ戦いは続きます。

ただそれまではMTGエンジョイ勢としてモダンやレガシーを遊んでいきます。

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