デュエルマスターズ | プレイヤーインタビュー | ロマサイ選手

By 安田 悠太郎

2年前、2017年1月に第2回レジェンドCSが行われた。過去の日本一決定戦やGPの優勝者の他、DM:Akashic Recordランキングで上位の選手など、それまで優秀な成績を残してきたプレイヤーたちが集った大会だ。

そこに《ベイB ジャック》入りの【ゴエモンキーループ】を持ち込み、優勝したのがロマサイ選手だ。

twitter(@kdgarireo




以来、ループを得意とする選手として有名になった。かと言ってループしか使えないわけでもなく、GP5thでは【青赤レッドゾーン】を使用、ベスト4に食い込んだ。
最近では【ジョーカーズ】を使用し、たびたびCSで上位入賞している。

ループの探求を続ける、彼の物語を聞いた。
(本インタビューは、5月初旬に行われています)

■ プレイヤープロフィール

・年齢:23歳(1995年度生まれ)
・活動地域:愛知県
・公式戦績:GP5th 4位
・その他:緑系統のループデッキ使いとして有名

■ デュエル・マスターズとの出会い

ロマサイの、デュエル・マスターズとの出会いは比較的早い。2003年、DM-8の発売後に知人からデッキをもらい、ルールを教わって始めた。
初めて当てたスーパーレアが

超神龍バイラス・ゲイル

だったことを覚えていると言う。

「2003年だから、8歳のときです。デュエルロードへは、小学校高学年から出るようになりました。エリア予選も、神化編からE1ブロックまで出ていましたね」




神化編は2009年、E1ブロックは2011年。競技シーンに触れた時間は少なかった。
離れた理由は、引っ越しだ。

引っ越したのは、2011年の高校入学直前。一緒にデュエル・マスターズで遊んでいた友人を失い、プレイする場をvaultに移す。必然、リアルの大会からは足が遠のいた。

そんな彼が復帰するきっかけになったのは、CSサポートだった。

「2015年ごろかな、正式にCSサポートが導入されたじゃないですか。最初は優勝プロモが《「必勝」の頂 カイザー「刃鬼」》だったと思うんですけれど、アレの買取額が高い事を知って。だからまあ……率直に言って、勝てば儲かるぞと。いや儲かるまではいかないかもしれないですけれど、カード代ぐらいは賄えるんじゃないかと思って、それでCSへ出てみることにしました」

復帰するに当たって《龍覇 イメン=ブーゴ》のデッキを揃えた。が、vaultで回してみると、《極・龍覇 ヘルボロフ》に勝てない。《龍覇 サソリス》に乗り換えた。

その年の11月、名駅近くの店でCSに初出場。使ったのは《飛散する斧 プロメテウス》や《薫風妖精コートニー》を採用した青緑サソリスだ。早速、4位入賞を果たした。
再びエリア予選にも参加するようになり、彼は競技シーンの渦中へ身を投じていくことになる。

■ コミュニケーション

1人の知り合いもいないまま、CSに出たロマサイ。だが出場をきっかけに、友人が増えていった。

「初めて声をかけてくれたのは、たーくぼでした。中学の時の友人であるK.K.と再会したことも思い出深いです。
爆発的に知り合いが増えたのは、赤池の店に行ってからかな。色んな方に話しかけてもらえるようになって、交友関係が広がりました」

大きな大会に出る為、関西方面へ遠征もした。その時の縁で、関西の調整チームであるaquawaveに所属していた時期がある。

「平城CSに行った時、maruga君に声をかけられて加入しました。いきなりでしたね。ただ、あまり遠征に行けるわけでもなかったので、結局チームからは離脱しました。仲が悪かった、とかは全然なくて……距離的な問題が大きかったかな。やっぱり、普段会える人たちと調整することになっちゃうので」

ロマサイは、これまでのキャリアで思い出深い戦績を2つあげた。

1つ目は、復帰してから1年半弱が経った2017年1月。第2回レジェンドCSに参加し、決勝でチームHeaven’s Diceのサイタ選手を破って優勝した。
持ち込んだのは、64人中2人しか使用していなかった【ゴエモンキーループ】だ。

「直前に開催されたおやつCS2017冬でウスラトンカチ選手が持ち込み、結果を出していたアーキタイプです。とにかくループがややこしいデッキで、それで使用者が少なかったのではないでしょうか。自分は《ベイB ジャック》が出る前から《蛇手の親分ゴエモンキー!》絡みのループを研究していたので持ち込めましたが、それでもビートダウンにシフトするタイミングは難しかった。CS中に段々わかってきた、という感じでしたね」

この時のゴエモンキーループは《極真龍魂 オール・オーバー・ザ・ワールド》を経由して、《曲芸メイド・リン・ララバイ》を使い回すデッキだった。
ループパーツとして《S級原始 サンマッド》を採用している為、ビートダウンへシフトする事が出来た。それを大会中に修正できるあたり、プレイスキルの高さが伺える。

2つ目は、GP5th。青赤レッドゾーンを持ち込み、4位入賞を果たした。

「GP5thの3日前の時点で、自分は使うデッキが決まっていなかったんです。そんな時、友人のS.Sが使っていた青赤レッドゾーンを見て強さに気づき、持ち込みました。入賞できたのは、デッキも良かったけれど、2byeの影響も大きいですね。ゴエモンキーループで稼いだポイントのおかげでbyeを獲得できたので、ある意味ではこれもループで勝ったと言えるのかも?」

彼は、いつだってループとともにある。

■ ロマサイ流:デッキビルディング

自ら「ややこしい」と認めるようなループデッキを使ってきたロマサイ。彼のビルディングに対する姿勢を尋ねたところ、こんな答えが返ってきた。

「例えば……既存のデッキで必須カードと思われているものを削って、空いた枠を利用して他のギミックを組み込むことがありますね。常に” もっと少ないパーツでデッキを組めないか “と考えています。パズルみたいな」

あー/中村と同じく、” 削る力 “にロマサイは触れた。ビルダー同士、たどり着く結論は同じなのかもしれない。

「あとは、強い新カードが出たら、それが無理なく入る既存のデッキを探すとか、ですかね。そんな変わったことはしていないです。当たり前のことを当たり前にやるのが大事かなと。
最近のデュエル・マスターズは、デザイナーの想定を超えた動きをする新カードが少ない印象です。だから、アーキタイプのテンプレートだと思われるリストを何枚か変えてみることが多いですね。本当に新しいと言えるデッキは、なかなかありません」

調整についても、特別なことはしていないとロマサイは言う。

「学業もあるので、平日はほとんど調整していません。CSに出て、その場にいる人たちと調整して帰る流れが多いですね。S.S.やじゃきー、あとはYamadaProsのメンバーと対人戦を一通りこなして、案を出し合います」

■ 中部の現状

落ち着いた口調で質問に答えてくれたロマサイだったが、話が中部地方の現状に及ぶと声のトーンが落ちた。

中部地方、特に愛知県は昔からデュエル・マスターズの強豪を輩出してきた地域だ。2008年度王者のPULUは全国的に知られているし、2015年度王者のじゃきー、2016年度王者のせいなと、2年連続で日本一となったプレイヤーを出したこともある。

だが、2017年度の日本一決定戦で関西地方のdottoが優勝すると、風向きが変わった。2018年度の全国大会におけるTop8進出者の出身地方の内訳は、関西が1、東北が1、関東が6。かつて” 王国 “と呼ばれた愛知県はもちろん、中部地方のプレイヤーは0だった。

原因の1つに、ロマサイは愛知県のCSのポイント倍率の低さをあげる。

「昨年は4倍のCSがなく、2倍もほとんどない。同じ日に2つ以上のCSが被っちゃうと、サポート成立の危機に晒される。それが愛知県の状況でした。どうしても関東、関西にポイント倍率で劣る」

愛知県は、2018年度のイベント不成立が全国ワースト1位。イベント数は大阪、東京に次ぐ3位だが、倍率の低さも相待って、ポイントを稼ぐのは難しい。
そうなるとGPなどでのbye獲得も難しくなり、また選手のモチベーションも下がるため、結果として競技シーンに影響を与えられなくなる……というのが昨年度の状況のようだ。

だが、決して見通しは暗くない。

「今年になって、ランキング設立以来トーナメントシーンから遠ざかっていた強豪たちが戻ってきています。ツクヨミもそうですし、ユウキングもそう。
中部は強い人たちがたくさんいますけれど、彼らは私生活の都合などもあって、これまでは本気で取り組んでこなかったので。今年は変わると信じていますよ」

もちろん、ロマサイ自身も置いていかれる気はない。2017年度のランキングでは、全国大会への招待にあと数百ポイントと迫った経験がある。
全国大会へ行きたい。優勝したい。その情熱は、未だ消えていない。

「憧れますよね、最強って。デュエマで最強のプレイヤーは誰?っていう質問に、ロマサイだ!って答えられるようになりたいじゃないですか。
その質問の答えは、今はdottoさんやHARUさんでしょう。でも、未来は分からない。勝ちたいです」

過日のGP8thでは、じゃきーが2日目のTop8に進出した。本格復帰した古豪、ユウキングもCSで勝ち星を重ねている。地域に復調の兆しはある。
中部の歴史に、新たな1ページが刻まれる年となるかもしれない。

■ あとがき

取り上げた第2回レジェンドCSは筆者が主催した大会で、今回インタビューさせていただいたロマサイとはその時に知り合った。
当日、紳士的な物腰でループ手順を説明しながら勝ち星を重ねる彼が2015年からCSに出始めたプレイヤーだと知って、衝撃を受けた。いわゆる強豪と呼ばれる選手は2010年代初頭やそれ以前からCSに参加していた人間がほとんどで、彼のような比較的新しい選手が優勝するとは思いもよらなかったからだ。
以来、公式大会などでたびたび取材をさせていただいている。第2回レジェンドCSの優勝プレイマットを未だに使い続けてくれていて、嬉しい限りだ。

本編で取り上げた中部地方のCSのポイント倍率の低さについては、インタビューを実施した5月の時点では課題となっていた。
直近のランキングでは、ユウキングが4度のCS優勝という強烈なポイントの稼ぎ方を見せて上位につけているものの、関東・関西からは「中部のポイント倍率の低さを考えれば、まだ我々が焦る時期ではない」と見られているようだ。
確かに2018年度のランキングでは、その影響がもろに出ていた。

しかし、今年はまだ分からない。中部のCSに人が集まりにくい原因は賞品ではないかと考えた一部の店舗が改善に向けて動き出しており、大規模な個人戦も予定しているようだ。
ポイント倍率が6倍まで拡大されたこともあり、2019年度後半の動きによっては、関東、関西と張り合える状況になっていくかもしれない。

ゲームは最後まで分からない。今年も、熱い盛り上がりが各地で展開されていくことだろう。

 

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