MTG │ 戦略記事 │ 高橋優太【よくわかるシールドデッキの組み方『イニストラード:真夜中の狩り』】
先日シールドについて意見を述べたところ、大きな反響がありました。
MTGアリーナで資産増やすならシールドが良い。
シールド20回やってノウハウ掴めたので記事書きます。
「黒>青>白>赤>緑」
「まずは黒を1色目で考える」
「マナカーブ命」
「銀弾はいつも入れる」
「カカシは意外と役立つ」B>>>U>W>R>G
Cleary black is best.I always play this artifact in sealed. pic.twitter.com/UHJfcJwFwE— Yuta Takahashi (@Vendilion) September 20, 2021
シールドは6パックを開封して、その中から40枚のデッキを組んで戦うフォーマットです。
MTGアリーナでのシールドは参加費が2000ジェムで6パック開封して、勝っても負けても3パックの褒章が得られるので、カードを集めるには最適です。
しかも6勝で2000ジェム、7勝で2200ジェムと、勝てば参加費が返ってくる仕組みです。
今回の記事では、20回遊んだ経験からシールドのコツを伝授します。
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■クリーチャーの基本サイズ
環境の基本のサイズは2/2と2/3と3/2です。3マナ以下のクリーチャーの殆どがこのサイズです。
これが何を意味するかというと、パワー3かつタフネス4以上の価値が高い環境だという事です。
3/3や4/3だと3/2と相打ちしてしまいますが、3/4以上になると相手の3マナ域を止める事が出来るようになります。3/3と3/4を比べると、見た目以上に戦闘性能に差があります。
3/4で主力となるのがこのクリーチャー達です。タフネス4は《銀弾》《月の憤怒獣の切りつけ》の3点で除去されないというメリットがあります。
《魂標グリフ》《戦墓の大群》は元々のスタッツが良く、中盤の要となるコモン。
サイズが良いのはもちろんのこと、イニストラードは「降霊」「フラッシュバック」により、墓地を多用する環境なので、相手の墓地リソースを追放できる点も重要です。相手が赤い場合には《献身的な精霊術士》での墓地回収を考えて、インスタント・ソーサリーを追放しましょう。
《岐路の蝋燭案内》は意外かもしれません。僕も最初はデッキに入らないくらいの性能だと考えていましたが、環境の基準サイズを認識してからは評価が変わりました。
3/4というスタッツが良く、「降霊」「フラッシュバック」対策になる墓地追放は意外と役立ちます。デッキの22枚目、23枚目で悩んだら入れても良い、シールド向けのカードです。
コモンだと、この2つがよくゲームの主導権を握るカードです。
3/4を乗り越えられるので、4/4以上になるとエース級です。4/4で攻撃しながら、相手のダブルブロックを除去やコンバットトリックで有利トレードしていくのが基本的な動きになります。
タフネス4以上がゲームを作っていくと認識しています。
■まずは黒を1色目で考える
色の強さは「黒>青>白>赤>緑」の順です。それぞれ解説して行きます。
環境の最強色は黒です。それも2位以下を圧倒的に引き離して、ダントツに強い色です。
その理由はコモン除去の性能の高さ。
《踊り食い》は追放なので「降霊」持ちやフェニックスを後腐れなく除去出来て、「腐乱」ゾンビを生贄にすれば1マナでプレイするのも容易。
《オリヴィアの真夜中の待ち伏せ》は序盤の-2/-2除去として強く、さらに夜になれば-13/-13と確定除去になります。
《窓からの放り投げ》は飛行を破壊できない欠点こそありますが、それでもインスタントの確定除去。
《窓からの放り投げ》が存在する事により、5マナ以上の地上クリーチャーで戦場に出た時に何もしないものは弱く感じてしまいます。今回赤や緑の狼男が活躍しにくいのは、黒除去の質が高すぎるからです。
コモンに確定除去3種類で、しかも全部マナコストが軽い!?ここまで除去が強いセットは過去に見たことがありません。
これらの除去が合計3枚以上カードプールにあったら、それだけで黒をやる理由になります。もちろんドラフトでも3種類とも初手級です。
この7種類はデッキに採用する事が多いです。
《有頂天の呼び覚ます者》は前述の通り4/4がゲームを作りますし、「腐乱」ゾンビにより生贄確保も難しくありません。マナカーブが大事な環境なので1マナで動けるのも大事。
《包囲ゾンビ》は「腐乱」ゾンビをタップすることで地味に削っていきますし、赤や黒の吸血鬼は「相手のライフ減少によりメリット」があるものが多いのでその誘発条件も満たせます。
《吸血鬼の侵入者》はブロックできない短所はありますが、2マナの飛行により毎ターン削ってくれて「相手のライフ減少によりメリット」のある吸血鬼の誘発条件も満たせます。
《引きずり足のゾンビ》は相打ちしながら、生贄用の「腐乱」ゾンビ確保。
《不審な旅行者》は表面の2/3威迫で環境の3マナ水準を既に満たしていますが、裏面はゲームを作る4/4威迫と強力。
《戦墓の大群》は除去に次いでの黒コモンのトップで、墓地追放しながら合計値7/8。生贄や《包囲ゾンビ》用のタップとしても最適です。
《地下室からの這い上がり》はフラッシュバックでお手軽にアドバンテージを獲得しながらゾンビを強化してくれます。白黒や緑黒のマルチカラーにも墓地回収呪文があるのですが、多くの場合《地下室からの這い上がり》の方が軽い分使いやすいです。
少し弱めですが、1枚程度ならデッキに入るコモン。
《モークラットのビヒモス》は《窓からの放り投げ》に弱い点が最大の短所ですが、他の5マナ域と比較して、生き残った時にゲームに勝つ性能があるので、1枚なら入れて良いです。入れすぎには注意。
《新米密教信者》は相打ちを取りにくく弱い印象ですが、黒が生贄を要求する色なので1枚なら入れても良いと考えています。
《尊大な無法者》《コウモリに囁く者》は自分より下のマナ域と相打ちしてしまう点がマイナス評価。赤黒ヴァンパイア用のカードの印象です。
《焼印刃》はコンバットトリックとしてはまずまずですが、あまり多くは入れたくないです。
黒は《踊り食い》《有頂天の呼び覚ます者》《モークラットのビヒモス》など生贄によって強く使えるカードが多いので、その補助として「腐乱」「降霊」が必要になってきます。
最強色である黒のカードを上手く使うために、「降霊」で生贄を用意しやすい青や白が補色として強いと考えています。
他の色の強さについても述べて行きます。
■青
2番目に強い色は青です。青は生贄などで黒と相性の良いカードが多く、シールドは青黒になる確率が高いです。
カードプールを見た時、最初に黒、その次に青をチェックすると、思考時間の短縮になります。
この7種類はデッキに採用する事が多いです。
黒ほど突出して強いわけではないのですが、2-4マナにかけてのコモンが使いやすく、マナカーブを整えてくれることが多いです。
青の強さの理由は「降霊」カード、コモンでは《餌鉤の釣り人》《突風漂い》です。どちらもマナコストに見合ったスタッツを持ちながら、膠着した盤面でも飛行でダメージを稼いでくれます。
《異形の隼》は青のコモントップで、自身が飛行に「腐乱」による生贄確保と文句なし。
《臓器の貯め込み屋》は墓地に送ることで「降霊」「フラッシュバック」のシナジーが生まれるので、実質1.5枚ドローの様な働きをしてくれます。
《溺死者の逆襲》は、相手が切削するタイミングや《進化する未開地》を起動したときにスタックでプレイすれば、疑似的な除去して使えることを覚えておきましょう。
《驚愕》は1ドローと「腐乱」による生贄確保、さらに-2/-0とかなり使いやすいコンバットトリックです。4/4で攻撃して《驚愕》で有利トレードというのが起きやすく、2枚入れても良いコンバットトリックです。
少し弱めですが、1枚程度ならデッキに入るコモン。
《またたかぬ観察者》はインスタントを構えやすくはなるのですが、スタッツが低く複数は入れたくない。2マナ域が足りないときに入れる認識です。
《墓地への幽閉》は即効性が低い除去なので僕の評価としてはイマイチです。今回は黒が最強色で、その黒が生贄によるシナジー形成をするので、エンチャント除去の信頼度が少し低いと考えています。
《難破船の選別者》は基本的には弱いのですが、「降霊」持ちが5-6枚入っているデッキなら2マナ2/3になることもあるので1枚程度なら採用可能。
《回路切り替え》は打ち消し+「腐乱」による生贄確保が良い働きをします。しかし打ち消しを構えてエンドすると夜になって相手のカードが強くなることもあり、これも入れても1枚程度。
《霊波》は自分の「降霊」したクリーチャーを戻すと、表面で手札に帰ってきて少しお得な動きが出来ます。ただ、バウンス呪文は基本的にリソースを失いやすいので、これも入れても1枚程度。
《嵐乗りの精霊》は一見すると3/3飛行瞬速と良さそうに見えるのですが、《嵐乗りの精霊》を構えてエンドすると夜になって相手のカードが強くなることが多いです。
また、相手のパワー3を止めることが出来できないことで、瞬速による有利ブロックが狙いにくいです。繰り返しになりますが、3/3と3/4には見た目以上に差があります。
■白
この9種類はデッキに採用する事が多いです。
白や緑はパワーの異なるクリーチャー3体を参照する「集会」があるので、《ガヴォニーの罠師》はその誘発条件にピッタリ。タッパーとしてもそこそこの性能。
《哀悼の巡回兵》は相手の3マナ域と相打ちしながら「降霊」で飛行に変わる、素晴らしい中堅。
《ガヴォニーの銀鍛冶師》は白のコモントップで、環境の基本サイズから1つアップする3/4を複数生み出してくれます。白の強さは《ガヴォニーの銀鍛冶師》に支えられています。
《蝋燭罠》は「集会」が必要にはなりますが、追放除去になる点で青の《墓地への幽閉》よりも強いエンチャント除去です。
前述の通りゲームを作っていくのが3/4や4/4といったサイズのクリーチャーなので、タフネス4を除去できる《日金の連射》は強いです。《日金の連射》は2枚あったら2枚入れています。
少し弱めですが、1枚程度ならデッキに入るコモン。
白のコモンは3/2サイズが多く、相手の「降霊」持ちとの相打ちでアドバンテージ面で損をしやすい短所があります。
なるべくなら《哀悼の巡回兵》《捜索隊の隊長》といったカードアドバンテージで損をしない3マナ域でマナカーブを埋めて、3マナ3/2軍団は入れたくないですね。
3/3の《クラリオン吹きの聖戦士》よりも3/4の《岐路の蝋燭案内》を優先して入れる事が多いです。
《ほとばしる信仰》はコンバットトリックとしてはかなり強い部類なのですが、残念ながら今回は黒の除去、青のバウンスや-2/-0が強いためインスタントタイミングで対応されやすく、コンバットトリックで守る展開が少なめ。
■赤
この7種類はデッキに採用する事が多いです。
《祭り壊し》は誘発すれば、自分より一つ上のマナ域の3/2や2/3と交換できる2マナ域。インスタントやソーサリーは7枚以上は欲しいです。
《硫黄の蛮人》は威迫と本体ダメージ能力により、赤の「相手がライフを失ったらメリット」能力の手助けになります。複数あったら嬉しい、赤の主力クリーチャーです。
《飢えた餌あさり》は攻めているとき、マナ加速から複数展開+ルーターと非常に頼もしい能力。相手が赤いときは、《飢えた餌あさり》を意識して4ターン目の攻撃を受けるかどうか考えましょう。
《忌み者の火刑》もそうですが、赤は「相手がライフを失ったらメリット」能力により攻めているときに強いカードが多いです。逆に守っているときだと5マナ除去は重く感じます。
イニストラードは基本的に軽い複数アクションが大事なので、相手の2マナクリーチャーを効率よく除去できる《炎の供犠》はあるだけ入れて問題ないです。
少し弱めですが、1枚程度ならデッキに入るコモン。
《収穫祭の潜入者》は表面のサイズが標準で相打ちしやすく、《酒場のごろつき》は2/5サイズが4マナ域にしてはイマイチ。2つとも裏面になってようやく戦える性能なので、赤の狼男たちはあまり強くありません。
《馬上の戦慄騎士》は5/4または6/5というサイズが良さそうに見えるのですが、飛行でない5マナクリーチャーは《窓からの放り投げ》の的になりやすい点がマイナス評価です。黒の除去強すぎるー!
基本的にクリーチャーを出すことが優先される環境なので、《電撃の啓示》のようなドロースペルはプレイする暇がありません。ただ赤黒や赤緑をやるとマナフラッドに弱い点があるので、1枚なら許容範囲。
■緑
この7種類はデッキに採用する事が多いです。
《風変わりな農夫》は墓地を肥やしてくれるので、フラッシュバックを軸にした緑コントロールを組む時の中心になってくれます。
《影野獣の目撃》はゲームの主導権を握る4/4トークンを生成します。フラッシュバックのおかげで黒除去に対しても1対1交換になりにくく、2体出せる点が安心。
《支配を懸けた決闘》は緑のトップコモンです。「集会」条件を満たすとインスタントで《弱者狩り》が撃てて、これは歴代のコモン格闘呪文の中でも屈指の性能です。
《狩りの遠吠え》は狼や狼男をアンタップするので、相手が3マナを構えていたら考慮しましょう。
緑は「集会」条件を満たしながらコンバットトリックで押していくのが基本戦略です。《森林地の先達》はパワーの異なるクリーチャーを並べることで「集会」条件達成に貢献してくれます。
少し弱めですが、1枚程度ならデッキに入るコモン。
今回の緑は残念ながら弱い色です。サイズの大きいクリーチャーを出すのが緑の戦略で、《不屈の運び屋》《蝋燭明かりの騎兵》は他の環境だったら強く見えるサイズなのですが、前述の通り、黒の除去が強く、また青にもバウンス・タップがあるので、5マナの戦場に出た時に何もしない地上クリーチャーの価値が低めです。緑が弱い理由がここにあります。
ただ緑を全く使わないわけではなく、《影野獣の目撃》《支配を懸けた決闘》といったカードはかなり強いので、マナカーブの良さとこの2種類の合計枚数次第といった所です。
■マナカーブと色のタッチ
「昼・夜」といった能力があるので、ターンをパスするとそのまま狼男が変身して敗着になります。イニストラードは序盤の事故に対して厳しい環境です。
そのため、2マナ・3マナのターンには展開できるように、マナカーブは極力軽くすることを意識します。
2マナ域5枚、3マナ域6枚、4マナ域3枚、5マナ域2枚といったように、各ターンにクリーチャーを展開できるようなバランスを意識しましょう。
3色にすると序盤に色事故で動けないリスクが増えて、それが敗因にもなります。色マナサポートが少ないこともあり、基本的には2色でデッキを組む環境だと思います。
どうしても自分のデッキに除去が少ない場合にのみ、《進化する未開地》+《沼》1枚で黒除去をタッチすることを検討しましょう。黒のスロウランドが出た時もタッチを考えます。
赤除去は3点で除去として不十分だったり、5マナ5点で重かったりするのでタッチすることは少ないです。もしタッチするなら黒除去を推奨します。
■アーティファクトの採用
《銀弾》はシールドならではの除去で、合計4マナと少し重いですが、狼男を破壊できる点で、相手のアンコモンやレアに対処しやすいです。
ただ、入れすぎるとマナがかかりすぎてしまうので、3枚あるからといって3枚全部入れるカードではありません。最大2枚といったところで、デッキに20枚目くらいの優先度です。
他の微妙なカードを入れるくらいならカカシ。デッキの最後の1枚の穴埋めとしては及第点で、3/4と墓地追放が頼もしいです。
何度か試してみましたが、クリーチャーの展開が大事なイニストラード環境では2マナ起動が重く、あまりデッキに入れない方が良い印象です。
■おわりに
キーワード能力が多くカードパワーが高いので、かなり面白いリミテッド環境です。
シールドはカードを集めるのに最適です。この記事を参考にして、上手くいったらぜひ感想をツイートしてください。僕の次回記事へのモチベーションになります。
カカシ弱い!などの反論も大歓迎です。
それではまた。