MTG │ 大会レポート │ 高橋優太【カルドハイムチャンピオンシップ】
先週末はカルドハイムチャンピオンシップに参加しました。
以下に大会までの過程を記して行きます。
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■これまでのスタンダードあらすじ
先週の記事でこれまでのスタンダードの流れをまとめていますので、そちらも参考にどうぞ。
■スタンダード 赤単アグロ
赤単アグロ | |
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デッキリスト | |
19《冠雪の山/Snow-Covered Mountain》 2《エンバレス城/Castle Embereth》 4《不詳の安息地/Faceless Haven》 25 lands 4《熱烈な勇者/Fervent Champion》
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4《霜噛み/Frost Bite》 4《エンバレスの宝剣/Embercleave》 8 other spells 2《レッドキャップの乱闘/Redcap Melee》 |
チーム内で練習を積み重ねて行き、現在のスタンダード環境で強いデッキは「スゥルタイ根本原理」「ティムールアドベンチャー」「赤単アグロ」「ディミーアローグ」の4つまで絞れました。
この4つ以外のデッキ、例えばサイクリング・ナヤアドベンチャー・白単アグロといったデッキは不利なマッチが多く、環境が進む上で淘汰されると考えて選択肢から除外しました。
その上で、スタンダードの各デッキの相性を簡易にまとめると以下の通りです。
スゥルタイ根本原理
→ナヤアドベンチャー系など《予言された壊滅》など中速デッキ対決で最も強い。赤単とディミーアローグに弱い。
ティムールアドベンチャー
→スゥルタイ根本原理とは五分で、赤単に強くディミーアローグに弱い。
赤単アグロ
→スゥルタイ根本原理とディミーアローグに強く、ティムールアドベンチャーに弱い。
ディミーアローグ
→スゥルタイ根本原理とティムールアドベンチャーに強く、赤単に極端に弱い。
上記の内容を踏まえて直近の大会結果を分析した上で、スゥルタイ根本原理が一番多いと予想。次点でティムールアドベンチャー。
スゥルタイ根本原理は不利マッチでも4:6くらいの印象で、《塵へのしがみつき》《長老ガーガロス》を多く取る事で対応しやすくプロが好みそうなデッキです。
スゥルタイ根本原理に有利を取れる前提を満たした、赤単アグロとディミーアローグが最終候補の2択。
参加者達も練習を積んで来ているため、同じような思考でディミーアローグを選択する可能性は高い。そう考えると赤単アグロとディミーアローグの直接対決になった場合、赤単側が8:2で圧倒的に有利と考え選択しました。
赤単アグロはティムールアドベンチャーに対して不利ですが4:6くらいの印象で、意外と勝つ可能性があります。2マナ除去《焦熱の竜火》などがオボシュの関係で採用できない事もその要因になっています。
■ヒストリック ジャンドフード
ジャンドフード | |
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デッキリスト | |
4《草むした墓/Overgrown Tomb》 3《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》 3《血の墓所/Blood Crypt》 4《闇孔の小道/Darkbore Pathway》 3《岩山被りの小道/Cragcrown Pathway》 3《寓話の小道/Fabled Passage》 2《沼/Swamp》 1《山/Mountain》 1《森/Forest》 1《ファイレクシアの塔/Phyrexian Tower》 25 lands 4《金のガチョウ/Gilded Goose》
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4《魔女のかまど/Witch’s Oven》 4《パンくずの道標/Trail of Crumbs》 4《古き神々への拘束/Binding the Old Gods》 12 other spells 3《致命的な一押し/Fatal Push》 |
今回は調整チーム内でスタンダードとヒストリックを分担。スタンダード担当だった僕はヒストリック班から「白黒オーラ」「ジャンドフード」を提示されました。
他のメンバー達はオルゾフオーラを選択しましたが、僕のみジャンドフードを使用。《コーの精霊の踊り手》《上級建設官、スラム》を求めるマリガン率の高さと、ジャンドフードに対してそこまで有利だと感じなかった事がその理由です。
僕自身の試行回数が不十分だったことでリストの細かい部分で煮詰まっていない箇所があり、例えば《フェイに呪われた王、コルヴォルド》の4枚目がそれにあたります。
「1枚目をゲーム中かならず引きたい、デッキの動きの中心になるカード。除去されなければそのまま勝つので4枚採用が肯定される」
カードの性質としては《世界を揺るがす者、ニッサ》に近いです。
除去されなければそのまま勝ち、除去されても2枚目おかわりが強い。そういうカードは伝説であっても4枚採用すべきです。
サイドボードにある4枚目の《フェイに呪われた王、コルヴォルド》は明らかに失敗でメイン採用すべきでした。
直近の大型大会ではジャンドフードが高い勝率を出しており、メタゲームのトップになると予想されていました。
自分がメタゲームのトップのデッキを使う時は対戦相手がそれを意識したデッキを持ち込むと考えるべきで、今大会で言うなら《鎮まらぬ大地、ヤシャーン》がそうです。
《鎮まらぬ大地、ヤシャーン》を除去出来るかつミラーマッチの《フェイに呪われた王、コルヴォルド》を除去出来る《壮大な破滅》とまでは考えたのですが、これらのクリーチャーは出た時点で2枚以上のカードを獲得しているので除去しても損。単純にソーサリーの2マナ除去が弱いなど問題がありました。
相手のクリーチャーが《鎮まらぬ大地、ヤシャーン》だけの場合《壮大な破滅》は手札で腐るリスクもあり、サイドインが躊躇われます。
《壮大な破滅》と比較して《戦争の犠牲》は対策カードへの対策として強く、《墓掘りの檻》などまとめて破壊できる上にジャンドフードの同型対決でも超強力なカードです。6マナと重くとも3枚にすべきでした。
■大会結果
〈スタンダード〉
〇ディミーアローグ
×スゥルタイ根本原理
〇スゥルタイ根本原理
.
〈ヒストリック〉
×アブザンミッドレンジ
〇ラクドスミッドレンジ
×オルゾフオーラ
×緑単エルフ
3勝4敗で初日落ち。
アブザンミッドレンジは《鎮まらぬ大地、ヤシャーン》《秋の騎士》《エルズペス、死に打ち勝つ》を多数採用したジャンドフードに対するメタデッキでした。
しかし《戦争の犠牲》を引けたゲームは勝てたので、ジャンドフードを対策するデッキに対して強いカードだと再認識。
■敗北との向き合い方
①思考を整理する時間を作る。
当然ですが、大会で負けたら悔しいです。
悔しさのあまり大会後にMTGアリーナをプレイし続けましたが、こういう時はティルト状態(※)に陥っている事が多く、練習しても冷静な判断や経験が得られません。僕も数えきれないほどティルトで失敗してきました。
心身の状態は練習効率にも大きく影響するので、一度ゲームを休んで自分の試合履歴などを振り返る時間が必要です。
こういったとき、ランニングや筋トレなどの運動が思考を整理するのに特に向いています。
自分の思考を文章にしてまとめることで、自分に不足している箇所を認識するのも大事です。僕にとってこの記事がまさにそうです。
※プレイヤーが合理的な判断ができなくなり、感情にかられた行動をとるようになってしまった状態
②運以外の部分を減らす努力をする。
カードゲームである以上、絶対に不運で負ける事は発生しますし、逆に自分が幸運で勝つ事も発生します。
重要なのは運以外の部分を減らすベストを尽くせたかどうかと言う事。
マリガンして負けた→ダブルマリガンすべき初手ではなかったか。
色事故して負けた→このデッキのマナベースは緑マナを引く確率が足りていないからショックランドを増やそう。
相性が悪いマッチで負けた→相性を改善できるようなサイドボードを見つけよう。
ティルト状態に陥っていると何でも運のせいにしがちですが、不運で負けたと感じたゲームでもあなたの認識次第で実力を上げるチャンスに変わります。
③継続する。
優勝は目立つし記憶にも残りやすい。
しかし1回優勝するより、複数回トップ8に入賞するような人が真の強者だと思う。
勝負事には運もあるしデッキ選びの当たり外れもある。継続して勝つ人は、練習によって運以外の部分を突き詰めて勝つイメージ。— Yuta Takahashi (@Vendilion) March 16, 2021
1回優勝するより、複数回に渡って上位入賞することの方が難しいです。
そして複数回に渡って上位入賞するための方法は、負けても敗因を分析し練習を継続すること。
■赤単サイドボードガイド
スゥルタイ根本原理
4《霜噛み/Frost Bite》
1《灰のフェニックス/Phoenix of Ash》
↓
2《乱動する渦/Roiling Vortex》
3《アクロス戦争/The Akroan War》
相手が構えている場合は《軽蔑的な一撃》《神秘の論争》など、カウンターの種類を考える。
相手のガーガロス、ポルクラノスの枚数次第で《アクロス戦争》3枚目インも検討。
《影の評決》《絶滅の契機》は割り切らないといけない展開もある。思い切って全展開。
ただし相手が序盤をマナブーストに充てて1体も除去してこなかった場合は全体除去を考えたプレイをする。
ティムール(先手)
3《リムロックの騎士/Rimrock Knight》
1《火刃の突撃者/Fireblade Charger》
1《灰のフェニックス/Phoenix of Ash》
2《エンバレスの宝剣/Embercleave》
↓
2《レッドキャップの乱闘/Redcap Melee》
2《魂焦がし/Soul Sear》
3《アクロス戦争/The Akroan War》
疑問アリ。後手と同じにしても良いかも。
ティムールその②(後手)
3《リムロックの騎士/Rimrock Knight》
4《義賊/Robber of the Rich》
1《灰のフェニックス/Phoenix of Ash》
4《エンバレスの宝剣/Embercleave》
↓
2《魂焦がし/Soul Sear》
2《焦熱の竜火/Scorching Dragonfire》(マンモス有無で検討)
2《レッドキャップの乱闘/Redcap Melee》
3《アクロス戦争/The Akroan War》
3《アゴナスの雄牛/Ox of Agonas》
赤単
4《熱烈な勇者/Fervent Champion》
3《リムロックの騎士/Rimrock Knight》
4《エンバレスの宝剣/Embercleave》
1《灰のフェニックス/Phoenix of Ash》
↓
2《レッドキャップの乱闘/Redcap Melee》
2《魂焦がし/Soul Sear》
2《焦熱の竜火/Scorching Dragonfire》
3《アクロス戦争/The Akroan War》
3《アゴナスの雄牛/Ox of Agonas》
ローグ
4《火刃の突撃者/Fireblade Charger》
2《エンバレスの宝剣/Embercleave》
↓
2《焦熱の竜火/Scorching Dragonfire》
1《灰のフェニックス/Phoenix of Ash》
3《アゴナスの雄牛/Ox of Agonas》
相手のサイドは打ち消しを抜いて《激しい恐怖》《死の重み》など除去追加と《塵へのしがみつき》《魂標ランタン》。
相手のサイドインが-2/-2、-3/-3に寄っており《無情な行動》が少ないならトーブラン残しに変更。
サイクリング
3《リムロックの騎士/Rimrock Knight》
1《灰のフェニックス/Phoenix of Ash》
↓
2《レッドキャップの乱闘/Redcap Melee》
2《魂焦がし/Soul Sear》
白単
3《リムロックの騎士/Rimrock Knight》
4《義賊/Robber of the Rich》
1《灰のフェニックス/Phoenix of Ash》
2《エンバレスの宝剣/Embercleave》
↓
2《魂焦がし/Soul Sear》
2《焦熱の竜火/Scorching Dragonfire》
3《アクロス戦争/The Akroan War》
3《アゴナスの雄牛/Ox of Agonas》
ナヤ
3《リムロックの騎士/Rimrock Knight》
4《義賊/Robber of the Rich》
1《灰のフェニックス/Phoenix of Ash》
2《エンバレスの宝剣/Embercleave》
↓
2《魂焦がし/Soul Sear》
2《焦熱の竜火/Scorching Dragonfire》
3《アクロス戦争/The Akroan War》
3《アゴナスの雄牛/Ox of Agonas》
4c予言された壊滅
4《霜噛み/Frost Bite》
1《火刃の突撃者/Fireblade Charger》
1《エンバレスの宝剣/Embercleave》
↓
2《魂焦がし/Soul Sear》
1《灰のフェニックス/Phoenix of Ash》
3《アゴナスの雄牛/Ox of Agonas》
■おわりに
ゲームを真剣にやると必ず直面する、敗北との向き合い方。
文章にして認識することで自分の感情や思考を整理しやすくなるので、これは僕自身のためでもあります。
今後はこういったメンタルの保ち方もテーマとして扱って行きます。
それではまた。