MTG │ デッキ紹介 │ 高橋優太【アメリカ地域チャンピオンシップから考えるパイオニア】
今週末には「プレイヤーズコンベンション静岡」が開催!
スタン、パイオニア、モダン、レガシー、さらにはヴィンテージや統率者と、各フォーマットごとにイベントが開催されて、2日間遊びつくせるイベントです!
僕も会場に行き、パイオニアで開催のチャンピオンズカップファイナルに参加する予定です。
チャンピオンズカップファイナルは、上位入賞者にプロツアーの権利が付与される競技イベント!
今回の記事では、大会に向けて現在のパイオニア環境を考察して行きます。
※ラッシュメディア記事内紹介のカードは
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■参考情報
Regional Championship – SCG CON Washington DC
先週末にアメリカで開催された、地域チャンピオンシップの結果を参考にしています。
参加者1817人と、かなり大規模のイベントを勝ち上がったのはどんなデッキなのか、さっそく見て行きましょう。
■ラクドス大釜コンボ
優勝したのは、《アガサの魂の大釜》を用いたコンボデッキ!
まずは手札から捨てる能力と組み合わせて、《地獄の樹》と《ヴォルダーレンの興奮探し》を墓地に落とします。これらを《アガサの魂の大釜》で追放する事により、それぞれの起動型能力を付与出来ます。
《地獄の樹》はタップで自分のタフネスと相手のライフを交換します。例えば2/2のクリーチャーを対象に《アガサの魂の大釜》で《地獄の樹》を追放して、+1/+1カウンターを乗せれば、能力起動で相手のライフは3に!その後《ヴォルダーレンの興奮探し》の、クリーチャーを生贄にしてダメージを飛ばす能力を起動すれば、一撃必殺のコンボが成立!
新カードの《殺人人形、マーヴィン》はコンボと相性が良く、《アガサの魂の大釜》無しでも勝てるパターンが増えました。
《殺人人形、マーヴィン》《地獄の樹》と揃えばマーヴィンの能力起動で相手のライフを2にできます。2にできたらその後は攻撃しても良し、《ヴォルダーレンの興奮探し》の本体ダメージで勝っても良し。
《アガサの魂の大釜》はコンボ以外でも単純に墓地対策として強く、相手の《弧光のフェニックス》の復活を阻むことも可能です。
引いて捨てる効果により、デッキを回して行くカード達。
《逸失への恐怖》は、引いて捨てる効果でデッキを回して行き安定度を高めます。昂揚した際の2回攻撃も強く、このデッキなら昂揚達成も難しくない!
《鏡割りの寓話》《税血の収穫者》はパイオニアのラクドスでの定番で、序盤の安定性を上げつつ、どちらも引いて捨てる効果を持っているので、能動的に《地獄の樹》を墓地に落とせます。
《思考囲い》《鏡割りの寓話》《税血の収穫者》で、普通のラクドスミッドレンジとして動きつつ、相手が《鏡割りの寓話》《税血の収穫者》の対処にマナを使ったタイミングでコンボを決めらて行きます。
どれも単体性能が高いので、コンボ一辺倒ではなくクリーチャーで攻めて行くプランも持ち合わせています。
サイドボードの《熱烈の神ハゾレト》は最近アグロデッキで注目されており、追放除去の少ない相手には無類の強さ。
《敵対するもの、オブ・ニクシリス》は、使用者が増加してきているアゾリウスコントロールに特に強いカードで、犠牲によりコピーされるので、打ち消し1枚や除去1枚では対処しにくいプレインズウォーカーです。
■ラクドス異形化
準優勝は《異形化》コンボ!優勝準優勝と、2種類のラクドスコンボデッキが目立つ結果となりました。
まずはトークンを生成する《謎の骸骨の事件》《鏡割りの寓話》で準備。《謎の骸骨の事件》は骸骨が居なくなったら解明で好きなカードサーチして、《鏡割りの寓話》は2章で手札を入れ替えと、どちらもデッキを回して行く能力を持ちます。
そしてトークンを対象に《異形化》することで、デッキ内のクリーチャーが《偉大なる統一者、アトラクサ》のみなので、確定でアトラクサが出てきます。
エンチャント・アーティファクトなどカードタイプが散っているので、アトラクサで5-6枚は手札に加える事が出来て、そのままアドバンテージ差と7/7飛行で勝利するデッキです。
優勝準優勝の2つのデッキに共通するのが、多めの手札破壊。
どちらも《思考囲い》4枚に《強迫》2枚、さらにサイドボードに追加の《強迫》と、手札破壊してから自分のコンボを通すという意思が感じ取れます。
手札破壊で相手を妨害しながら、《勢団の銀行破り》や《鏡割りの寓話》でリソース差を広げて行く動きは、特にコントロールデッキ相手に強い戦略です。多めに採用されている《敵対するもの、オブ・ニクシリス》も、対コントロールで強力!
気になって優勝準優勝の2人の戦績を確認したのですが、2人ともアゾリウスコントロール相手には全勝していました。やはり手札破壊8枚+《敵対するもの、オブ・ニクシリス》が強い!
■奇怪な具現
《奇怪な具現》を中心としたミッドレンジです。エンチャントを生贄にして、そのマナ総量に1を足したクリーチャーを出すことで、アドバンテージを稼いで行きます。
生贄用に、まずは軽いエンチャントを用意。《豆の木をのぼれ》は最適で、《ホーントウッドの大主》《力線の束縛》のプレイでカードを引きつつ、生贄のタネにもなります。
誘発の多いデッキなので、《機械の母、エリシュ・ノーン》をサーチすれば2倍になって莫大なアドバンテージ!
《乱伐者、ボニー・ポール》で盤面を作ったり、最終的には《産業のタイタン》や《偉大なる統一者、アトラクサ》で勝利するデッキです。
カードを引いたりパーマネントを増やす事を得意としており、中速のミッドレンジ対決では無類の強さを誇ります。
しかしタップインが多かったり軽い除去が少ない事から、ラクドス果敢のような速攻デッキは少し苦手。
新カードの《ホーントウッドの大主》は3マナでマナ加速しつつ、《奇怪な具現》で生贄に捧げれば6マナのクリーチャーをサーチできます。3ターン目《ホーントウッドの大主》から4ターン目《奇怪な具現》、そこから《乱伐者、ボニー・ポール》の動きが強力!
さらに《ホーントウッドの大主》で出てくる《遍在地トークン》は全ての基本地形タイプを持っているため、《力線の束縛》を1マナに軽減してくれて、山なので《岩への繋ぎ止め》のエンチャント先にもなります。マナ総量が5なので《豆の木をのぼれ》でドローもするし、《ホーントウッドの大主》は《奇怪な具現》デッキのために生まれてきたと思えるほど、最高に相性が良いです。
もう一つの新カード《咆哮する焼炉+蒸気サウナ》は2マナで除去しつつエンチャントを出せます。《奇怪な具現》で部屋を生贄にする際は、空いている部屋のマナ総量を参照するので、《咆哮する焼炉》の方で開ければ2マナ、《蒸気サウナ》なら5マナと可変です。2マナ除去かつ5マナでも出せて便利なので、今後は採用が増えて行きそう。
ちなみに《空を放浪するもの、ヨーリオン》で《咆哮する焼炉+蒸気サウナ》をブリンクすると、どちらも開いてない状態の部屋として戦場に戻って来ます。
その後2マナ払って《咆哮する焼炉》で除去として使ったり、《蒸気サウナ》を5マナで開けたり、再度マナを払えば開く事が出来ます。
■ラクドス果敢
ラクドス果敢 by ERIC GRAY Regional Championship – SCG CON Washington DC TOP4 |
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デッキリスト | |
2:《山/Mountain》 4:《血の墓所/Blood Crypt》 4:《黒割れの崖/Blackcleave Cliffs》 4:《硫黄泉/Sulfurous Springs》 2:《バグベアの居住地/Den of the Bugbear》 3:《ラムナプの遺跡/Ramunap Ruins》 1:《反逆のるつぼ、霜剣山/Sokenzan, Crucible of Defiance》 19 lands 4:《僧院の速槍/Monastery Swiftspear》 |
4:《熊野と渇苛斬の対峙/Kumano Faces Kakkazan》 4:《巨怪の怒り/Monstrous Rage》 3:《タイタンの力/Titan’s Strength》 1:《裏の裏まで/Turn Inside Out》 4:《祖先の怒り/Ancestral Anger》 1:《無謀な怒り/Reckless Rage》 1:《致命的な一押し/Fatal Push》 2:《立身+出世/Claim+Fame》 27 other spells 1:《湧き出る源、ジェガンサ/Jegantha, the Wellspring》 |
「雄姿」を持つ《心火の英雄》《熾火心の挑戦者》や、呪文を唱えるとパワーの上がる《精鋭射手団の目立ちたがり》を中心に、クリーチャー強化呪文で大ダメージを狙って行きます。
それぞれのクリーチャーのパワーの上がり幅が大きく、強化呪文でパワーが6-7になり、そのまま《無感情の売剣》の出来事により一撃で10点以上のダメージ!
相手が除去やブロッカーを用意してこなければ、3ターンキルする事も珍しくない、超高速アグロデッキです。
最近特に増えているデッキで、このデッキの存在により1マナ除去の価値が非常に上がっています。1マナ除去が少なかったり、序盤の展開が遅いデッキだと、ラクドス果敢にどうしても不利が付いてしまいます。
パイオニアをやる上では必ず意識した方が良い、強いデッキです。
クリーチャー強化呪文たち。
《巨怪の怒り》《祖先の怒り》はトランプル付与でブロッカーを乗り越えて行きます。
新カードの《裏の裏まで》は+3/+0と修正値が高く、除去に対しても次のクリーチャーを予示で用意できるのでデッキに噛み合っています。今後は採用が増えて行きそう。
《立身+出世》は除去が多い赤や黒に対して、1マナで戻す動きが強く、2マナの+2/+0呪文としても使えて便利。
井川さんがこのデッキについて解説した記事もあるので、参考にどうぞ。
MTG │ デッキ解説 │ 井川良彦【パイオニア:ラクドス果敢】
環境初期は《残響の力線》が試されていましたが、徐々に減って来ています。
初手にあればクリーチャー強化呪文のコピーで2ターンキルが狙えますが、そんな事をせずとも十分3ターンキルできるデッキなので、ブレ幅のある《残響の力線》よりも安定性を求めた方が良さそうです。
■セレズニアカンパニー
セレズニアカンパニー by Zevin Faust Regional Championship – SCG CON Washington DC TOP8 |
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デッキリスト | |
3:《平地/Plains》 4:《寺院の庭/Temple Garden》 4:《剃刀境の茂み/Razorverge Thicket》 4:《低木林地/Brushland》 4:《枝重なる小道/Branchloft Pathway》 1:《皇国の地、永岩城/Eiganjo, Seat of the Empire》 1:《シェフェトの砂丘/Shefet Dunes》 21 lands 4:《エルフの神秘家/Elvish Mystic》 |
4:《集合した中隊/Collected Company》 4 other spells 2:《人狐のボディガード/Werefox Bodyguard》 |
8枚入った《ラノワールのエルフ》《エルフの神秘家》でマナ加速。《集合した中隊》を軸にして、相手を妨害しながら攻撃して行くデッキです。
新カード《永劫の無垢》4枚により、中盤のリソースが途切れにくい構成になっています。マナクリーチャーデッキにありがちな、後半《ラノワールのエルフ》引くと弱い点も1ドローに代わるのが良い所。
相手の呪文にスタックで《集合した中隊》から《エイヴンの阻む者》が出れば、その呪文を計画させます。インスタントタイミングで使えるカードが2種類ある事で、マナを構えながら相手に合わせて動いて行きます。
妨害能力持ちのクリーチャーを中心に構成されており、《スレイベンの守護者、サリア》や《エメリアのアルコン》は、非クリーチャー呪文を連打するラクドス果敢やイゼットフェニックスに対して特に強いです。《選定された平和の番人》は相手のキーパーツのマナコストを上げて、《スカイクレイブの亡霊》でパーマネント除去。
《波乱の悪魔》に弱そうですが、最近はサクリファイス系のデッキが減ったこともあり、メタゲーム上位のデッキには有利に戦えそう。
この大会で最も高い勝率を出したデッキであり、今後も要注目です。
■おわりに
その他トップ8に入賞したのはイゼットフェニックス、アゾリウスロータスなど。
イゼットフェニックスには《美術家の才能》が採用。除去されにくい《帳簿裂き》と考えると強く、ターン1回の制限も無いのでデッキをどんどん回して行けます。
The metagame and win rates from the U.S. Regional Championship! 📊 pic.twitter.com/eiHq2XidZQ
— Frank Karsten (@karsten_frank) October 7, 2024
Frank Karstenさんが各デッキごとの勝率を数値で出してくれていました。セレズニアカンパニーが最多勝率、2位はラクドス大釜コンボと、少し予想外の結果!
ダスクモーンの新カードで強化されたデッキもあり、パイオニアも大きく変わったので、僕はまだデッキを悩み中。使いなれたアゾリウスコントロールが候補でしたが、あまり良い選択ではないのかも。
来週は大会レポートの予定です。
それではまた。