
MTG │ 攻略記事 │ 高橋優太【レガシーメタゲーム解説】
Hi,
今週末12/22にはレガシーの大会、エターナルパーティが開催されます。
僕も久しぶりに参加する予定です。
・エターナルパーティ2019(外部リンク)
https://mtg.bigweb.co.jp/etp-mmmf2019
今回はレガシーのメタゲームを追っていきましょう。
※ラッシュメディア記事内紹介のカードは
カード名のリンク、記事末尾のバナーを
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通販サイト(https://www.cardrush-mtg.jp/)
最近のレガシー
直近のレガシーグランプリでの優勝はバント奇跡。バントの流行はレガシーにも来ています。
GPボローニャ2019(レガシー):優勝はオーコミラクル、トップ8にはドレッジやスゥルタイデルバーなど
毎週紹介していますが、レガシーでもこの3つのセットは一級品。《不毛の大地/Wasteland》をケアして基本地形を並べつつ、4色のマナベースを支える《アーカムの天測儀/Arcum’s Astrolabe》。
青の打ち消し呪文、黒の手札破壊と除去。それらに対抗できる《夏の帳/Veil of Summer》がメインから採用されています。
オーコが《虚空の杯/Chalice of the Void》等の厄介なアーティファクトを大鹿に変えて、《意志の力/Force of Will》や《トーラックへの賛歌/Hymn to Tourach》を《夏の帳/Veil of Summer》で弾く。そして《終末/Terminus》奇跡で全体除去。バント奇跡は弱点が少なく、非常にバランスの良いデッキです。
レガシーはANTやスニークショー等のコンボデッキも一定数いるため、コンボに弱い《氷牙のコアトル/Ice-Fang Coatl》はモダンと比較して枚数が抑えられています。
フェッチランドから《神秘の聖域/Mystic Sanctuary》をサーチして墓地の《終末/Terminus》をトップに置けば、意図的に奇跡を起こすことも可能。「デス&タックス」は《レンと六番/Wrenn and Six》禁止により復権したように思えましたが、バント奇跡に1マナで全体除去を連発されるため最近は勝てていません。
■本命:バント奇跡(4色メンター)
3《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》
1《氷牙のコアトル/Ice-Fang Coatl》
3《僧院の導師/Monastery Mentor》
4《アーカムの天測儀/Arcum’s Astrolabe》
4《思案/Ponder》
4《渦まく知識/Brainstorm》
1《呪文貫き/Spell Pierce》
4《剣を鍬に/Swords to Plowshares》
2《夏の帳/Veil of Summer》
2《紅蓮破/Pyroblast》
1《否定の力/Force of Negation》
4《意志の力/Force of Will》
1《至高の評決/Supreme Verdict》
3《王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crowns》
2《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》
1《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》
4《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》
4《霧深い雨林/Misty Rainforest》
1《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
1《Savannah》
1《Tropical Island》
1《Tundra》
1《Volcanic Island》
5《冠雪の島/Snow-Covered Island》
1《冠雪の平地/Snow-Covered Plains》
1《冠雪の森/Snow-Covered Forest》
サイドボード
4《安らかなる眠り/Rest in Peace》
1《ゼンディカーの同盟者、ギデオン/Gideon, Ally of Zendikar》
1《宮殿の看守/Palace Jailer》
1《終末/Terminus》
2《外科的摘出/Surgical Extraction》
2《紅蓮破/Pyroblast》
1《血染めの月/Blood Moon》
1《夏の帳/Veil of Summer》
1《至高の評決/Supreme Verdict》
1《摩耗+損耗/Wear+Tear》
先週末のStarcityGamesで優勝したのが、バント奇跡の派生である4色メンター。ミラーマッチで弱い《終末/Terminus》を減らし、よりバントの同型対決を意識した形です。
ミラーマッチはお互いが《夏の帳/Veil of Summer》《紅蓮破/Pyroblast》を構え合うゲームになるため、青くないパーマネントは重要。
多くの場合《意志の力/Force of Will》以外ではスムーズな交換が出来ないため、ミラーマッチで最も活躍するカードです。トークンが2体以上出せるように5マナ以降でプレイする事を意識しましょう。
それと《夏の帳/Veil of Summer》《紅蓮破/Pyroblast》に関するプレイングに関して。
例えば相手が《冠雪の森/Snow-Covered Forest》のある状態で《王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crowns》をプレイしてきて、自分の手札に《紅蓮破/Pyroblast》があるとします。
相手の《夏の帳/Veil of Summer》をケアするなら、《紅蓮破/Pyroblast》を「青の呪文を打ち消す」ではなく「青のパーマネントを破壊する」モードで撃つことで、《夏の帳/Veil of Summer》の影響を受けずに破壊できます。
《夏の帳/Veil of Summer》は「呪文は打ち消されず、青と黒からの呪禁」なので《紅蓮破/Pyroblast》による破壊を防ぐことが出来ません。良くあるシチュエーションなので覚えておきましょう。
サイドボードで目を引くのが墓地対策の枚数。
通常2枚程度の《安らかなる眠り/Rest in Peace》が4枚フル投入!それだけ墓地デッキにメインが不利だという証で、後述するホガークを強く意識しているのが伺えます。ホガークは本当に強いデッキなので、中速デッキを使うなら4枚以上は墓地対策を取りたい所です。
■対抗:ホガーク
4《面晶体のカニ/Hedron Crab》
4《縫い師への供給者/Stitcher’s Supplier》
4《墓所這い/Gravecrawler》
4《恐血鬼/Bloodghast》
4《復讐蔦/Vengevine》
4《甦る死滅都市、ホガーク/Hogaak, Arisen Necropolis》
4《入念な研究/Careful Study》
3《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
3《むかしむかし/Once Upon a Time》
4《狂気の祭壇/Altar of Dementia》
4《黄泉からの橋/Bridge from Below》
4《霧深い雨林/Misty Rainforest》
4《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》
1《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》
1《湿地の干潟/Marsh Flats》
1《汚染された三角州/Polluted Delta》
1《ドライアドの東屋/Dryad Arbor》
3《Underground Sea》
2《Bayou》
1《沼/Swamp》
サイドボード
4《虚空の力線/Leyline of the Void》
2《思考囲い/Thoughtseize》
2《恭しき沈黙/Reverent Silence》
3《活性の力/Force of Vigor》
2《突然の衰微/Abrupt Decay》
2《暗殺者の戦利品/Assassin’s Trophy》
青いデッキがお互いを対策し合って《夏の帳/Veil of Summer》《紅蓮破/Pyroblast》を入れるようなら、それらを無視できる墓地コンボデッキの出番です。
モダンで禁止された《甦る死滅都市、ホガーク/Hogaak, Arisen Necropolis》も、レガシーではフルパワー。特に青の中速デッキにはメインで高い勝率を誇ります。バント奇跡にもメイン戦はかなり有利。ほとんどのクリーチャーが除去耐性を持つため、《剣を鍬に/Swords to Plowshares》《終末/Terminus》以外の除去は効果が薄いです。
《狂気の祭壇/Altar of Dementia》はコンボスピードを上げて、ホガークを生贄にすることで最速3ターン目には相手のライブラリーを空にします。レガシーのコンボデッキの平均キルターンは3ターン目なので、それに追いつくためにも必要なスロット。追放除去に対応して生贄も可能です。
3ターン目までの初動が重要なデッキなので、土地とコンボパーツの《面晶体のカニ/Hedron Crab》《縫い師への供給者/Stitcher’s Supplier》を探せる《むかしむかし/Once Upon a Time》は4枚にしたい気持ちがあります。生贄シナジーが少ないので、《黄泉からの橋/Bridge from Below》は減らしても良いかも。
0マナで撃てる全体エンチャント破壊。相手の《虚空の力線/Leyline of the Void》や《安らかなる眠り/Rest in Peace》を複数見るようならサイドインします。
このデッキを10ゲームほど回したのですが、1マナのクリーチャーが少ないため《復讐蔦/Vengevine》の誘発が難しく、継続した生贄が《狂気の祭壇/Altar of Dementia》しかないため《黄泉からの橋/Bridge from Below》が使いにくい印象を受けました。《面晶体のカニ/Hedron Crab》《入念な研究/Careful Study》を抜いて、《信仰無き物あさり/Faithless Looting》《屍肉喰らい/Carrion Feeder》を使うジャンド型も検討しています。
■対抗:ANT
4《渦まく知識/Brainstorm》
4《思案/Ponder》
2《定業/Preordain》
4《思考囲い/Thoughtseize》
4《暗黒の儀式/Dark Ritual》
4《陰謀団の儀式/Cabal Ritual》
4《冥府の教示者/Infernal Tutor》
1《願い爪のタリスマン/Wishclaw Talisman》
1《苦悶の触手/Tendrils of Agony》
1《むかつき/Ad Nauseam》
4《夏の帳/Veil of Summer》
2《燃え立つ願い/Burning Wish》
1《炎の中の過去/Past in Flames》
4《水蓮の花びら/Lotus Petal》
4《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion’s Eye Diamond》
1《防御の光網/Defense Grid》
4《汚染された三角州/Polluted Delta》
2《霧深い雨林/Misty Rainforest》
2《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》
1《冠雪の島/Snow-Covered Island》
1《冠雪の沼/Snow-Covered Swamp》
1《Badlands》
1《Bayou》
1《Tropical Island》
1《Underground Sea》
1《Volcanic Island》
サイドボード
3《残響する真実/Echoing Truth》
1《永劫のこだま/Echo of Eons》
1《虐殺/Massacre》
1《苦悶の触手/Tendrils of Agony》
1《ぶどう弾/Grapeshot》
1《巣穴からの総出/Empty the Warrens》
1《炎の中の過去/Past in Flames》
1《粉みじん/Pulverize》
1《恭しき沈黙/Reverent Silence》
2《突然の衰微/Abrupt Decay》
1《防御の光網/Defense Grid》
1《森/Forest》
マナ加速から《むかつき/Ad Nauseam》によって大量のカードを獲得し、最後は20点以上の《苦悶の触手/Tendrils of Agony》で決めるコンボデッキ、ANT。(Ad Nauseam Tendrilsの略称です)
レガシー環境が《紅蓮破/Pyroblast》と《王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crowns》に寄ってきており、ANTは黒いカードが中心なので《紅蓮破/Pyroblast》が効きにくく、《王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crowns》はほとんど無視できます。
その2つの影響を受けにくいコンボデッキとして再び活躍しています。《夏の帳/Veil of Summer》の影響で、《狼狽の嵐/Flusterstorm》の採用が減ってきているのも、ANTにとって追い風。
《夏の帳/Veil of Summer》は「このターン呪文が打ち消されない」効果なので、1ターン中に複数の呪文を唱えるANTにとって最高の妨害呪文。相手の視点だと、まずは《夏の帳/Veil of Summer》を打ち消さないとそのターン中に負ける可能性があるためプレッシャーが大きい。
ただANT側も相手に《夏の帳/Veil of Summer》を撃たれると「黒からの呪禁を得る」により《苦悶の触手/Tendrils of Agony》の対象に出来なくなるため、そのターン中に勝てないという欠点がありました。
そのためサイドボードから赤い呪文で勝てるように《燃え立つ願い/Burning Wish》型に変化しています。これなら《夏の帳/Veil of Summer》を撃たれたターンでも大丈夫で、サイドボードから状況に合わせてドローや除去もサーチ可能。
■スゥルタイ《緑の太陽の頂点/Green Sun’s Zenith》
2《貴族の教主/Noble Hierarch》
2《金のガチョウ/Gilded Goose》
1《漁る軟泥/Scavenging Ooze》
4《氷牙のコアトル/Ice-Fang Coatl》
2《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》
2《トレストの使者、レオヴォルド/Leovold, Emissary of Trest》
1《不屈の追跡者/Tireless Tracker》
2《疫病を仕組むもの/Plague Engineer》
1《探索する獣/Questing Beast》
4《渦まく知識/Brainstorm》
2《アーカムの天測儀/Arcum’s Astrolabe》
4《緑の太陽の頂点/Green Sun’s Zenith》
2《突然の衰微/Abrupt Decay》
1《森の知恵/Sylvan Library》
4《王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crowns》
1《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》
4《意志の力/Force of Will》
4《霧深い雨林/Misty Rainforest》
3《汚染された三角州/Polluted Delta》
3《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》
2《冠雪の森/Snow-Covered Forest》
2《冠雪の島/Snow-Covered Island》
1《冠雪の沼/Snow-Covered Swamp》
1《ドライアドの東屋/Dryad Arbor》
1《Bayou》
1《Tropical Island》
1《Underground Sea》
2《不毛の大地/Wasteland》
サイドボード
1《カラカス/Karakas》
2《花の絨毯/Carpet of Flowers》
1《弱者の石/Meekstone》
2《真髄の針/Pithing Needle》
2《外科的摘出/Surgical Extraction》
3《夏の帳/Veil of Summer》
1《フェアリーの忌み者/Faerie Macabre》
1《疫病を仕組むもの/Plague Engineer》
1《三なる宝球/Trinisphere》
1《虚空の力線/Leyline of the Void》
グランプリボローニャ準優勝の、スゥルタイ《緑の太陽の頂点/Green Sun’s Zenith》。環境が《紅蓮破/Pyroblast》《王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crowns》に寄るなら、緑のクリーチャーを中心としてアドバンテージを取る戦略が良いかと考えて10ゲームほど回しましたが、このリストのままだとデッキの印象は良くなかったです。
マナクリーチャーを多用するためどうしても《終末/Terminus》で複数交換されやすく、メインで相手の妨害手段が《意志の力/Force of Will》《トレストの使者、レオヴォルド/Leovold, Emissary of Trest》だけなのでコンボデッキにも負けやすい。変更を加えるとしたら《否定の力/Force of Negation》の採用と、サイドボードに4枚の《虚空の力線/Leyline of the Void》があると良いかなと。
■おわりに
下のフォーマットほど《王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crowns》《夏の帳/Veil of Summer》の便利さが目立ち、いかにこの2種類を無視できるデッキ構築をするかが課題になっています。
この2枚を使うバント奇跡か、この2枚を無視できるホガークか。もう少し細部を詰めて行こうかなと。
それではまた。