MTG │ 新弾レビュー │ 井川良彦【モダンホライゾン3】
皆さんこんにちは。Rush Prosの井川です。
毎度おなじみ、最新エキスパンションである『モダンホライゾン3』のレビューをお届けします。
今月末に迫ったプロツアー・アムステルダムは『モダンホライゾン3』入りのモダンで開催されるので、モダン視点ベースでご紹介していきたいと思います。
それではスタート!
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★帰ってきた「エネルギー」!!果たしてモダンで活躍できるのか?
『カラデシュ』『霊気紛争』以来、実に7-8年振りとなる「エネルギー」!
スタンダード当時は大活躍しましたが、パイオニア以下ではあまり大きな活躍をしていないのが実情。果たして『モダンホライゾン3』のカードたちはどうなんでしょうか。
『モダンホライゾン2』は《敏捷なこそ泥、ラガバン》《ドラゴンの怒りの媒介者》《激情》など赤が強かった印象でしたが、『モダンホライゾン3』は白が強い!
ということでまず紹介するのは、白の次世代のエースかもしれない、新しい1マナ域!
《オークの弓使い》されないタフネス2であり、クリーチャーを出していけば自身の能力で育つところから《内なる空の管理人》に近い使い勝手になりそうだなと予想しています。
《ドラゴンの怒りの媒介者》のようにライブラリー操作はしてくれませんが、地味なライフゲインをしつつ貯めたエネルギーを活かしてただの1マナ域が3/4飛行になったり、横のクリーチャーに+2/+2飛行を付けたりと、マスト除去になるのはプレミアムです。
エネルギーに寄せたデッキでなくても、軽量クリーチャーの多いボロス召集のようなデッキであればしっかり活用できそうですね。
たかがコモンと侮るなかれ。たった1マナなのにクリーチャーかアーティファクトなら何でも釣れるという、凄まじいポテンシャルを秘めた1枚です!!
釣るカードのマナ総量に応じたエネルギーが必要となるので下準備は必須ですが、仕掛ける際にたった1マナで良いのは構築での可能性を感じます。
エネルギーをたくさん貯めてマナ総量が大きいカードを釣る、いわゆるリアニメイト系統の=専用デッキを作っても良いですし、エネルギーに寄せなくても最低でもこれ1枚で2マナ以下のカードを戻すことができるので《オークの弓使い》や《アガサの魂の大釜》を戻して戦うようなデッキでも十分活躍が見込めます。
さらに腐らないようにサイクリングまで付いている親切設計。構築で使ってほしい、使わせようとするWizardsの意志を感じますね!
こちらはレガシーで今でも使われているコンボエンチャント:《魔の魅惑》のエネルギー版です。
エネルギーを用いて勝手に出入りしてくれる《緑地帯の暴れ者》とたった2枚で無限に出し入れが可能になるので、クリーチャー呪文のプレイorクリーチャーのETBで誘発するカードがもう1枚何かあれば無限コンボの完成です。例えば《魂の管理人》なら無限ライフ、《機知ある怨怒取り》なら無限ダメージ、《群の祭壇》ならライブラリーアウトなど。《原初の祈り》で出せるほうが望ましいので、できれば勝ち手段もクリーチャーがいいですね。
基本的に3枚コンボとなるとハードルが高くなりますが、手札からプレイするのが実質的に《原初の祈り》の1枚だけで良く、かつ一度《原初の祈り》が出てしまうと、他のコンボパーツはインスタントタイミングでプレイできるため妨害は困難。しっかり組めばコンボデッキの一角として活躍できるかもしれませんね。
★もう一つの目玉は「エルドラージ」!三神以外にも様々なカードがありますよ!
そして「エネルギー」と同じぐらいこのセットでプッシュされているのがエルドラージ!人気のクリーチャータイプでこれまでにも色々な形で登場しているのは皆さんご存知でしょう。
今回の三神はこれまでのように「出たら勝ち!」といった感じではなく、どれも少し特殊な使い方を要求されています。特に《再誕世界、エムラクール》は12マナのコストを「マッドネス」で6マナまで減らせる分、無色のマナベースとディスカード手段という相性の悪そうな2つを要求しており、構築手腕が問われそうです。
数あるエルドラージの中でも、個人的に注目しているのがこちら!
《予見のスフィンクス》に似た効果を持っているこのエルドラージ。最序盤が大事なエルドラージデッキをライブラリー操作で支えてくれます。初手7枚を見た上でライブラリー上4枚の中から好きなカード1枚を選べんでトップに置けるので、非常に安定して動くことができそうです。
特にエルドラージは《エルドラージの寺院》や今回収録された《ウギンの迷宮》などでマナ加速することが重要になるので、それらを探しつつ《ウギンの迷宮》のコストになりますし、さらに消耗戦後に《ウギンの迷宮》から回収してプレイするのにも適したサイズと能力なので、デッキにとてもマッチした1枚です。
《ウギンの迷宮》を使うには7マナ以上のカードを何枚入れるか難しいところですが、まず間違いなく《運命を貪るもの》4枚から構築が始まるでしょう!
先程の《運命を貪るもの》はどちらかというと同じエルドラージでも「エルドラージトロン」寄りのカードでしたが、こちらはビートダウンである「エルドラージストンピィ」用のカードです。
モチーフであろう《無謀な嵐探し》よりも基本スペックが高いので、《エルドラージのミミック》との組み合わせが容易に想像できます。2ターン目に8点殴りたい!!
過去にあった赤緑エルドラージは、過去に緑マナしか価値のない《貴族の教主》を使っていましたが、今では《下賤の教主》がありますし、《存在を盗むもの》で相手の《罠の橋》《アガサの魂の大釜》《飢餓の潮流、グリスト》なども無理なく対処できるようになりました。GPを制したこともあるアーキタイプなので、新戦力で返り咲いても驚きはありません。
『モダンホライゾン3』により各種エルドラージは復権しそうなので、持っていない人は《エルドラージの寺院》を確保しておきましょう!
あとは個人的に《全ては塵》も注目してます。《ウギンの迷宮》で追放して良し、《ギルドパクトの力線》+《ドラコの末裔》を全部まとめて追放しても良し!
★そんな簡単にコピーして大丈夫?歴代屈指のバケモン土地!!
各色のレア土地シリーズからはこちらをピックアップ。条件さえ満たせば、墓地の好きなパーマネントのコピーになれるというとんでもない能力です。バケモン。
主な用途は2つ。まずはアミュレットタイタンやヨーグモスで除去された《原始のタイタン》や《スランの医師、ヨーグモス》に変身するために1-2枚使う、サブプラン要員。
そしてもう1つは4枚ガッツリ採用して、《全知》や《グリセルブランド》などをコピーして即勝利を目指すメインプラン要員。モダンを破壊するならこちらでしょうか。
どちらのパターンでも土地なのでカウンターや手札破壊ができず、非常に強固なプランになりそうです。とにかく将来性∞なので、4枚集めておきましょう!
★みんな大好き両面土地が帰ってきた!
『ゼンディカーの夜明け』で登場し、マジックの常識を覆した両面土地。
スタンダードやパイオニアではフラッド/スクリューを緩和するバランスの取れたカードとして活躍しましたが、その一方でモダンやレガシーといった環境では《欄干のスパイ》や《ゴブリンの放火砲》のような極悪コンボを強化した一面もありましたね。カードの強弱ではなく存在自体が罪なパターン。
今回は「単色=アンタップイン」「多色=タップイン」となっているのですが、その中でも特に強いものをピックアップします。
白は4マナ2/2の《再利用の賢者》。土地の枠なので無理なくメインから採用できる《解呪》系としては破格の性能です!
白主体のデッキ、たとえばモダンのハンマータイムなどでは無理なく採用できますし、レガシーのイニシアチブでは《金属モックス》に刻印できる&メインから《罠の橋》系統に触ることができるようになるので重宝しそうです。
こちらはモダンのラクドス想起にジャストフィット。《アガディームの覚醒》はプレイする機会がほとんどなく、《マラキールの再誕》は相性こそ良いもののタップインが痛かったので微妙でした。今回の《不敬者破り》であれば、《悲嘆》のコストとして、そして後半の確定除去として活躍が見込めそうですね。
緑からはこちらを。6マナ3/3になった《ボーラスの信奉者》ということで能力自体が強いわけではなく、《召喚士の契約》からサーチできるアンタップインランドというのがポイントです。《召喚士の契約》を使うデッキ、特に《召喚士の契約》を打ったターンにそのまま勝ちまで繋がるネオブランドやアミュレットタイタンなどで採用するかもしれません。
その他、青、黒、緑の両面ランドについてはスパイやベルチャーといったデッキの単純強化ですね。弱いタップイン両面土地や色の合っていないアンタップイン両面土地とはサヨナラ!凄い!!
★その他、気になったカードたちをザックリ紹介します
シャーッって感じで威嚇している可愛い猫。《オークの弓使い》で殺られてしまうのは悲しいものの、先攻1ターン目に出したときの爆発力はなかなかのもの。そして近年こういう「除去られなきゃ強い」系はなんだかんだ強いことが多いなって気がしています。
先に紹介した《魂の導き手》、そして次に紹介する《ナカティルの最下層民、アジャニ》と共に、モダホラ3を代表する白い三連星として活躍してくれることに期待!
2マナで2面展開、トータルで3/3相当とハイスペックなアジャニさん。さらにレジェンドというかさばるデメリットすら、最悪片方を墓地に落として変身できるのでそこまで気にならなそうというスグレモノ。モダン観点だと今回の両面PWシリーズで一番強いかなと思ってます。
愛用していた《野生のナカティル》や《ステップのオオヤマネコ》と一緒に使ってノスタルジーに浸りたい。犬派の僕ですが、猫も好きなのです。
《絶え間ない飢餓、ウラモグ》に親を殺された人が作ったオリカ。ふざけたらアカン。《儀礼的拒否》と全てのトロン愛好家に謝ってください。
様々なフォーマットでマーフォークデッキが使うのはもちろんのこと、イゼットマークタイドやレガシーのデルバー系がコレを使う可能性大。
土地ハメしたいデッキに赤いカードは要らないので、青が出る価値のほうが圧倒的に高いはず。島を2枚揃える前に我慢できずに《血染めの月》を出して、《対抗呪文》《濁浪の執政》が腐って負けたプレイヤーはこの世に10,000人います。(井川調べ)
《月の大魔術師》と違って《稲妻》など赤い除去を封じれるのも◎。総じて強カードですね。今後の定番になるでしょう。
《ファイレクシアの供犠台》が生物になった!!
《墓所這い》や《見捨てられた鉱夫》のように1マナで墓地から帰ってくるクリーチャーと、戦場に出たときに何かする系のカードで無限コンボですね。後者の場合「悪事」が必要になりますが、《血の芸術家》などで簡単に達成できます。
コンボに寄せても良し、アグロデッキに組み込むも良しということで、色々な形で模索されそう。モダンはもちろん、統率者戦などでもよく見るクリーチャーになるでしょう。
刹那付き《粉砕》。要するに《トーモッドの墓所》《大祖始の遺産》《魂標ランタン》などの墓地対策キラーですね。
再録からはこちらをピックアップ。相性が良いので2枚セットで使っても良いですし、それぞれ単体でも活躍が期待できます。
《生き埋め》はレガシーのように《弧光のフェニックス》を埋めると気持ち良いですね。《魔力変》、《はらわた撃ち》や反復、計画などと一緒にうまく3回唱えましょう。
《犠牲》はコンボに寄せるなら2枚釣って勝てる《詐欺師の総督》&《鏡割りのキキジキ》のような組み合わせが理想。もしくは純粋なパワーカードとしてヨーグモスに入れるとかかな。
今回の犬枠。麗脚卿という爵位を授与されているので、大抵の兵士より偉そうです。
武装してて偉い!かわいい!
★おわりに
ということでお届けしました『モダンホライゾン3』レビュー。
『モダンホライゾン』の《甦る死滅都市、ホガーク》や各種ピッチスペル、『モダンホライゾン2』の《敏捷なこそ泥、ラガバン》や各種インカーネーションのように見ただけで「ぶっ壊れてる!」というカードは多くないように見えますが、こういった事前の想定は基本外れるので、僕が見落としている強カードがきっとプロツアーを盛り上げてくれるに違いありません。
トップメタを強化するカードこそ少ないですが、マイナーアーキタイプを補強するカードが多く、モダン全体のデッキパワーを大きく底上げしてくれそうですね。
ただしこれはあくまでファーストインプレッションですので、「実際に使ってみたら/使われてみたらめちゃくちゃ強い!」というカードが出てくるのがカードゲームの常。凝り固まった頭をもっと柔らかくして、様々な角度からカードを評価できるようになりたいです。
今回の僕のオススメはこの3枚。
特に《魂の導き手》は《オセロットの群れ》《ナカティルの最下層民、アジャニ》と合わせて4枚ずつ、計12枚揃えておきましょう!デッキ次第では全員一緒に活躍できるスペックを備えていると思います!
《エルドラージの戦線破り》はオンリーワンの能力を持っているので、モダンだけでなくレガシーなどでも使うかなと予想!!
そして《変容する森林》は可能性無限大の土地!
それでは今回はここまで。また次回の記事でお会いしましょう!