MTG │ デッキ紹介 │ 井川良彦【最近勝ってるパイオニアの注目デッキ】

皆さんこんにちは。Rush Prosの井川です。

まだサイクル2のエリア予選が終わっていませんが、1月上旬から既にサイクル3の店舗予選が始まっていますね。基本的にはパイオニアでの開催が多く、エリア予選やチャンピオンズカップファイナルもパイオニアでの開催が予定されています。

僕も来月に開催されるプロツアー(3年3ヶ月振りの海外!!)に向けて、パイオニアに着手し始めました。ずっと禁止改定が出ると思って待ってたんですけど、まさか出ないとはね。。。

そこで今回の記事では、「トップメタではないけど、最近勝ってる注目デッキ」を順に紹介していきたいと思います!

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★最近のパイオニア環境について

(引用:MtgGoldfish

こちらは1/31時点の、MTG Goldfishに掲載されている「直近1ヶ月の掲載デッキ数」です。(正確な意味ではメタゲームではないので、あえてこう書きます)

11~12月に開催された各国・各地域の大型大会(日韓は常滑でしたね)では最終的にラクドスミッドレンジが勝ち組となり、メタゲームを支配した形でした。

ですが上に載せた通り現在時点でのデータを見てみると、上位10デッキで76.4%、かつ一番多いデッキでも緑単信心の12.3%という平たい分布となっており、禁止改定が出なかったのも納得できます。

こちらの掲載数はMagic Onlineでの大会成績が多くを占めるため、ロータスコンボやセレズニア天使などが多いリアルでのメタゲームとは異なりますが、今のパイオニアは非常にバランスの取れた良環境であると言えるのではないでしょうか。

★デッキ紹介:黒単ミッドレンジ

LIZZIEBUS 黒単ミッドレンジ
PIONEER CHALLENGE(4位)
デッキリスト
11:《沼/Swamp
4:《イフニルの死界/Ifnir Deadlands
3:《廃墟の地/Field of Ruin
4:《ロークスワイン城/Castle Locthwain
2:《目玉の暴君の住処/Hive of the Eye Tyrant
1:《見捨てられたぬかるみ、竹沼/Takenuma, Abandoned Mire
1:《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth
26 lands


2:《残忍な騎士/Murderous Rider
3:《墓地の侵入者/Graveyard Trespasser
3:《黙示録、シェオルドレッド/Sheoldred, the Apocalypse
4:《苦難の影/Misery’s Shadow
12 creatures

2:《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil
1:《不笑のソリン/Sorin the Mirthless
4:《血の署名/Sign in Blood
4:《思考囲い/Thoughtseize
4:《絶望招来/Invoke Despair
4:《致命的な一押し/Fatal Push
3:《パワー・ワード・キル/Power Word Kill
22 other spells


2:《真髄の針/Pithing Needle
2:《領事の旗艦、スカイソブリン/Skysovereign, Consul Flagship
2:《強迫/Duress
3:《絶滅の契機/Extinction Event
3:《真っ白/Go Blank
1:《レイ・オヴ・エンフィーブルメント/Ray of Enfeeblement
2:《食肉鉤虐殺事件/The Meathook Massacre
15 sideboard cards

ラクドスミッドレンジから赤を抜き、単色でまとめてあるのがこの黒単ミッドレンジ。《思考囲い》《致命的な一押し》といった軽い妨害、《苦難の影》《墓地の侵入者》《黙示録、シェオルドレッド》といった優秀なクリーチャーを採用しているといった点ではラクドスミッドレンジと変わりませんが、単色ならではの優秀なカードがいくつか採用されているのが特徴です。

構築シーンではかなり久しぶりの登場となるこのカード。2点ルーズ、黒黒というシンボルの濃さゆえに使えるデッキこそ少ないものの、2マナで2ドローは破格の一言。

自分に打って2ドローするのが基本的な使い方ですが、実は対戦相手を対象に打つことも可能です。特に《黙示録、シェオルドレッド》がいれば2マナ6点という超高水準の本体火力に化けるので、ライフを詰めているシーンでは特にお忘れなく!

そしてスタンダードで大活躍中の《絶望招来》。ラクドスミッドレンジでもミラーマッチへのエッジとして1-2枚メインやサイドに採用されることはありましたが、このデッキでは堂々の4枚フル採用!

5マナ域が4枚とラクドスミッドレンジより少し重い構成になってはいますが、その重さが気にならないほど圧倒的なカードパワーを誇るこのカード。特に最近は青白コントロールが増えていることもあり、《放浪皇》《ドミナリアの英雄、テフェリー》といったプレインズウォーカーを咎める役割をしっかり果たしてくれそうです。

そしてなんといっても単色の強みは土地!26枚採用された土地のうちマナが出るだけの土地は《》11枚と《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》1枚だけで、残りの14枚は起動型能力を持ったバリューランドで埋められています。

特に4枚採用された《イフニルの死界》で除去不足を防ぎ、そして同じく4枚採用された《ロークスワイン城》でロングゲームを制するという鉄の意志を感じますね。土地が強いデッキは強い!!

★デッキ解説:アゾリウススピリット

REARRANGEDAS アゾリウススピリット
PIONEER CHALLENGE (4位)
デッキリスト
4:《神聖なる泉/Hallowed Fountain
2:《変わり谷/Mutavault
6:《島/Island
4:《連門の小道/Hengegate Pathway
1:《皇国の地、永岩城/Eiganjo, Seat of the Empire
1:《天上都市、大田原/Otawara, Soaring City
4:《アダーカー荒原/Adarkar Wastes
22 lands


4:《鎖鳴らし/Rattlechains
2:《無私の霊魂/Selfless Spirit
4:《霊廟の放浪者/Mausoleum Wanderer
4:《呪文捕らえ/Spell Queller
4:《至高の幻影/Supreme Phantom
4:《幽体の船乗り/Spectral Sailor
4:《鎖霊/Shacklegeist
26 creatures

4:《執着的探訪/Curious Obsession
2:《呪文貫き/Spell Pierce
4:《霊灯の罠/Geistlight Snare
2:《下支え/Shore Up
12 other spells


3:《ネベルガストの伝令/Nebelgast Herald
3:《霊気の疾風/Aether Gust
3:《神秘の論争/Mystical Dispute
4:《ポータブル・ホール/Portable Hole
2:《下支え/Shore Up
15 sideboard cards

緑単信心やロータスに滅法強いものの、ラクドスミッドレンジやイゼットフェニックスが非常に厳しいため、一時期数を減らしていた青単スピリット。

ですがメタゲームの変化と白を足すという新しいアプローチにより復活。最近はMagic Onlineのイベントでの上位入賞が目立っています。

メインの白要素として、《呪文捕らえ》と《無私の霊魂》の2種類が採用されています。このためのタッチ白とも言える2枚であり、最近増えているアゾリウスコントロールとロータスコンボに入っている至高の評決》を強く意識しているのは間違いないでしょう。

アゾリウスコントロールはメインから、ロータスコンボはサイドからそれぞれプレイしてくる《至高の評決》は、従来の青単スピリットでは《とんずら》で避けるしかなく、プレイできても1体しか守れないため被害は甚大でした。そこでメタゲームに合わせた最適化として《呪文捕らえ》《無私の霊魂》を採用して対抗しています。

また《ポータブル・ホール》を採用できるようになったのもタッチ白の大きなメリットです。

元々青単がゆえに相手に触る手段が乏しく、特に自分より早くて盤面の強い白単人間を苦手としていました。ですが今回白をタッチしたことにより、最上級の1マナ除去を使えるようになり、白単人間やミラーマッチなどでのマッチ(特に後手)での勝率が改善されました。これは比較的不器用だった青単スピリットにとって大きな進化と言えるでしょう!

『ファイレクシア:完全なる統一』が出ると《金属海の沿岸》が使えるようになり、マナベースが強化されます。白いカードをもう少し増やす構築も検討できるかもしれませんね。

★デッキ解説:ディミーアナーセット

EMURAKIRIN ディミーアナーセット
PIONEER CHALLENGE (3位)
デッキリスト
2:《ガイアー岬の療養所/Geier Reach Sanitarium
2:《異臭の池/Fetid Pools
4:《水没した地下墓地/Drowned Catacomb
4:《湿った墓/Watery Grave
2:《島/Island
2:《沼/Swamp
2:《寓話の小道/Fabled Passage
3:《清水の小道/Clearwater Pathway
2:《ストーム・ジャイアントの聖堂/Hall of Storm Giants
1:《難破船の湿地/Shipwreck Marsh
1:《見捨てられたぬかるみ、竹沼/Takenuma, Abandoned Mire
25 lands


2:《概念泥棒/Notion Thief
2 creatures

4:《覆いを割く者、ナーセット/Narset, Parter of Veils
4:《一日のやり直し/Day’s Undoing
3:《煤の儀式/Ritual of Soot
1:《サメ台風/Shark Typhoon
2:《時を越えた探索/Dig Through Time
4:《致命的な一押し/Fatal Push
4:《検閲/Censor
2:《否認/Negate
2:《悪意の熟達/Baleful Mastery
1:《パワー・ワード・キル/Power Word Kill
4:《考慮/Consider
2:《ローナの渦/Rona’s Vortex
33 other spells


1:《概念泥棒/Notion Thief
2:《ゲトの裏切り者、カリタス/Kalitas, Traitor of Ghet
2:《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke
1:《煤の儀式/Ritual of Soot
1:《否認/Negate
2:《神秘の論争/Mystical Dispute
1:《サメ台風/Shark Typhoon
2:《絶滅の契機/Extinction Event
1:《悪意に満ちた者、ケアヴェク/Kaervek, the Spiteful
2:《切り崩し/Cut Down
15 sideboard cards

基本はディミーアカラーのコントロールデッキとして振る舞いますが、その実態は《覆いを割く者、ナーセット》or《概念泥棒》+《一日のやり直し》というコンボを搭載しているコンボ・コントロールです。

4枚採用した《覆いを割く者、ナーセット》をアドバンテージソースだけでなくコンボパーツの片割れとして運用しつつ、その《覆いを割く者、ナーセット》でコンボパーツのもう片割れである《一日のやり直し》を探すことができる、美しい構成ですね。

このコンボが決まると相手は手札が1枚だけになってしまう=盤面だけで戦うことになるので、白単人間のようなアグロ以外には決まれば勝利は目前。特に《覆いを割く者、ナーセット》自体がキラーカードとして刺さるロータスコンボに対して非常に強い、いわゆるメタデッキという位置づけです。

「《概念泥棒》や《覆いを割く者、ナーセット》を運用するのに《一日のやり直し》だけではもったいない!」ということで「相手にカードを引かせる」カードが採用されています。

どちらも盤面とタイミングを選んでプレイすれば、相手のドローを無効化したり、《概念泥棒》でこちらが1ドローをもらいながら運用できる、超高性能カードとして機能します。

Magic Onlineではセレズニア天使が流行っていることもあり、盤面によっては打ち漏らしやすい《絶滅の契機》ではなく、《煤の儀式》を全体除去枠に採用しています。メイン3・サイド1と計4枚採用していることからも、このカードに絶大な信頼を置いてあると予想されます。

絶滅の契機》が効きやすいイゼットフェニックスが下火であり、緑単には全体除去ではなくカウンター/単体除去で対応した方が効率良いことを考えると、《煤の儀式》の採用にも納得ですね。こういった「メタゲームに合わせた採択」は、コントロールデッキを調整する上で非常に大事になるポイントなので、見習いたいところです。

■終わりに

上位デッキには大きな変化がなく、僕はもちろんのこと皆さんも見飽きていると思いましたので、今回の記事では「トップメタではないけど、最近勝ってる注目デッキ」をお届けしました。

個人的には、ラクドスミッドレンジの中核である《鏡割りの寓話》に加えて緑単信心の何か(《大いなる創造者、カーン》or《ニクスの祭殿、ニクソス》)あたりが1月中旬~下旬には禁止になると予想していたのですが、先にも述べた通り思った以上にパイオニアが健全だったため、禁止改定は出ないままプロツアーを迎えることになりそうです。

既存のデッキをブラッシュアップするのか、はたまた特製のチームデッキを仕上げるのか。今回も多くの友人たちとチーム一丸で調整しますので、ご期待ください!!

それでは今回はここまで。
また次回の記事でお会いしましょう!

 


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