MTG │ 新弾レビュー │ 井川良彦【イニストラード:真紅の契り】
皆さんこんにちは。Rush Prosの井川です。
ということで毎度おなじみ、最新エキスパンションである『イニストラード:真紅の契り』のレビューをお届けします。
前回の『イニストラード:真夜中の狩り』発売からわずか2ヶ月でのリリースということもあり、全体的にカードパワーは少し抑えめな印象。その中にも光るものがいくつかあり、それらの輝きに期待したいなーといったところです。
それではいつも通り趣味100%でお届けします!どうぞ!
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■オリヴィア様!今宵は誰と結婚いたしましょう?
イニストラードといえばオリヴィア・ヴォルダーレン!初代の《オリヴィア・ヴォルダーレン》は圧倒的な制圧力で構築・リミテッド共に大活躍した大エース。二代目の《戦争に向かう者、オリヴィア》は書いてあることこそまずまずだったものの、時代が悪く見向きもされない残念レアでした。
さて三代目となる今回のオリヴィア様は?
これまでとは趣向を変えて、攻撃するだけで墓地から「攻撃状態で」リアニメイトという超性能!墓地から花婿を連れてくる、という設定なのでしょうか?6マナと少し重めですがその分一度着地すれば凄まじいパフォーマンスを発揮してくれます!
幸いにもスタンダードにはルーティング系のスペルがいくつもありますし、クリーチャーを墓地に落とすのは比較的簡単です。どうせならド派手なクリーチャーを釣って相手を圧倒したいですね!
個人的に釣りたいなーと思ったのはこいつら!
継続力の《燃えルーンの悪魔》。盤面に出た段階でアドバンテージを稼げるので、第2波、第3波と仕掛けるのに最適です。安定感の《トヴォラーの猟匠》。単純にスタッツが高く、釣らなくても普通にプレイして強いのが嬉しい。
そしてなんと言っても爆発力の《年老いた骨齧り》!アタックがすべて通れば、なんとオリヴィアのダメージと合わせて宝物が10個!!!10マナ出ればゲームに勝ったも同然!!!
という感じで夢とロマンに溢れるオリヴィア様。ぜひデッキを作って遊びたいですね!
■黒いデッキの新エース!圧倒的マナレシオに平伏せ!
特別楽しいカードではありませんが、純粋なタダ強枠として1枚。
4マナ5/6飛行!!で、でかーい!!!!出した返しに対戦相手が呪文を唱えることを加味すると、アタック時には誘発型能力を含めてパワー6以上あることでしょう。これは凄い!
4マナでタフネス6というのも非常に頼もしく、今活躍しているほぼすべてのクリーチャーが止まるだけでなく、緑単の「パワー4+《吹雪の乱闘》」ですら落とすことができない、破格のスペックです。《冥府の掌握》のような黒い確定除去以外で倒すのはほぼ困難であり、そのサイズ自体が除去耐性ともいえそうです。
スペックだけでいうと、ワールドウェイクにいた《深淵の迫害者》とほぼ同等。しかもデメリットは限りなく小さくなっており、活躍に期待せざるをえません。
ロングゲームになると足を引っ張る「血トークン」ですが、短いゲームの間であればその1マナを捻出するのも難しく、生贄に捧げる余裕がないままトークンだけが増えていく=コイツの打点も上がっていく姿が容易に想像できます。
黒単ビートダウンのマナカーブのトップにしてもよし。《水蓮のコブラ》や《隠棲した絵描き、カレイン》といったクリーチャーから3ターン目に出しても良し。最高峰の4マナ域としてスタンダードに君臨してもらいましょう!
■ついにゾンビが一線級のデッキになるか?
上で紹介した《血瓶の調達者》は吸血鬼でしたが、黒いクリーチャーといえばゾンビも負けていません。
最近プレインズウォーカーが強くないこともあり濫用はおまけ程度になりそうですし、毎ターン1点食らうデメリットもそれなりに厳しいですが、なんといっても2マナ3/3は嬉しい!
そしてこちらは帰ってきた《腐れ肺の再生術師》!!
単体でパワー3あるためクロックとしても優秀で、かつ全体除去に耐性があるという超スグレモノ。ゾンビデッキは基本的にクリーチャー主体のデッキ&横に並べるのが主な戦略になりがちなので、その弱点を補ってくれるカードは貴重です。
この2種の登場により、やっと《滅びし者の勇者》がプレイアブルになりました。ゾンビデッキのこれからに期待!!
■新時代の《真珠湖の古きもの》であり《潮吹きの暴君》!
青デッキ対決でモノを言うのは「この呪文は打ち消されない」の一文。ここ数年で言うと《真珠湖の古きもの》、《パルン、ニヴ=ミゼット》、そして《終局の始まり》などがその代表格です。
そして今回、その系譜に名を連ねるカードが登場しました。それがこちら!
「瞬速」と「この呪文は打ち消されない」の2大キーワードを携えた大型生物!さらに持っている誘発型能力が極めて強力であり、出た後はなんと盤面とスペル両方に干渉することができる、見たことがないレベルのスーパークリーチャー!!!!
相手のエンド前に出して一度アンタップすればほぼ無敵。あとは「適当にスペルを打って殴るだけ」のイージーモードに突入します。え?本当に???と何度もテキストを読み返しましたが、何度読み直しても同じでした。
《潮吹きの暴君》のように相手のパーマネントを戻しつつ、《エレンドラ谷の大魔導師》のように相手のスペルを邪魔して殴り倒しましょう。
この《船砕きの怪物》は圧倒的に先出し有利のカードです。なぜなら後手側はこの《船砕きの怪物》の能力に弾かれて《船砕きの怪物》を盤面に出せないからです。
そんなクソゲーを防ぐためにも、今後は《ゼロ除算》の価値がさらに上がりそうですね。「カウンターされない」もなんのその!
■その他、気になったカードたちをザックリ紹介します
再録なのでアレですが、触れないのもまたアレなので念の為。
過去のスタンダードだけでなくモダン、レガシーなどあらゆるフォーマットで使われ続けている超一流クリーチャー。スペルをベースにしているイゼット系はもちろんのこと、格闘スペルでテンポを取ったり、早いターンでの《エシカの戦車》を主軸としている緑単にも効果的です。
イゼット系はこのカードが非常にキツイので、《棘平原の危険》の枚数を増やして対抗していくことでしょう。
3マナ5/5トランプル!うおおおおお!!!!
搭乗コストは2体と重いですが、パワーの指定がないので《羽ばたき飛行機械》のようなパワーのない生物や、適当なトークンスペルで搭乗できるので、見た目よりも乗れる気がします。こういう使いづらいけどマナレシオに優れたカードを使いこなす人って、素敵ですよね。
《アダントの先兵》《歴戦の神聖刃》と違ってクリーチャー同士の激突には墓地を大量に消費してしまいますが、その分追放除去にも耐性がある、ブリンクでの除去耐性を持っています!
あまりブロッカーが出てこない、コントロール系に対して絶大な威力を発揮する1枚。白系アグロのサイドボードでは定番の1枚になりそうです。
《エシカの戦車》が強すぎるので今すぐには使われないと思いますが、いつか使うことになるのでピックアップ。
4マナ4/4速攻と《探索する獣》に近いスペックを持ちつつ、一度止まっても7マナ揃えれば8/8ロードになって殴れるため、最後まで腐らない優秀なクリーチャー。多分初動は安いので100円ぐらいのうちに買っておくが吉。
「自分でコレを対象に取ると1ドロー」という稀有な能力を持っている割には、単体でも2マナ2/1飛行とかなり優秀なクリーチャーです。
《コーの精霊の踊り手》《上級建設官、スラム》のようにアゾリウスオーラで使っても良し。《執着的探訪》を付けながら《潜水》を構える青単クロックパーミで使っても良し。グッドデザイン。
1→2→3(コレ)と動ければ3マナで5/5+護法2の優秀クリーチャーなので、基本的にはこの動きを目指す構築になります。1→1+1→3(コレ)だと驚異の7/7!!
スタンダードだと1マナの人間クリーチャーのラインナップが弱いのでちょっと微妙かもしれませんが、《エスパーの歩哨》《スレイベンの検査官》が使えるヒストリックならうまく使えそうです。
なお《集合した中隊》で戦場に出す際は、一緒に出すクリーチャーはカウントしないので注意。
おまけ。今回の犬枠です。
「え?起動型能力ソーサリーなの?」と目を疑った犬(といいつつインスタント可だとコモンとしては強すぎるので納得)。シベリアンハスキーみたいでモフモフ。かわいい。
《祭典壊し》はヒストリックやパウパーのサイドで使われたりする《猛火の斉射》の完全上位互換なので、今後ちょくちょく見かけることになるでしょう。やんちゃなワンコ達が大暴れしててかわいい。
■おわりに
ということでお届けしました『イニストラード:真紅の契り』レビュー。
あまり優秀なデッキビルダーではない僕の視点だと「既存のデッキを強化するカードは多いものの、デッキの核となるカードは少ない」印象を受けました。今回のキーワード能力である「訓練」「濫用」が構築的には弱いため、その部分が少し響いている感じですね。
既存のアーキタイプで活躍するであろう優秀なカードたち
また旧環境では「イゼット・緑単・白単」が主流でしたが、そんな肩身が狭かった黒にいくつか単体で強力なカードがあり、黒いデッキ復権の兆しを感じました。頑張れ黒!負けるな黒!
黒の期待の新人たち
とはいえ今回紹介しなかったカードにも多数魅力的なカードがありますので、世界中の名ビルダーたちが素晴らしい新デッキを作ってくれることに期待しましょう!
それでは今回はここまで。また次回の記事でお会いしましょう!